外務省は、平成20年1月にブラジルにおける対日世論調査を行ったところ、概要以下のとおり。今回の調査は、本年1月に日本ブラジル交流年・日本人ブラジル移住100周年が開始した機会を捉え、同国一般市民を対象として実施したものである。
(1)今次調査結果においては、74%が日伯関係は友好的であると回答し、約9割が今後両国関係は維持・強化されると認識しており、ブラジルにおいて日伯関係に対する肯定的なイメージが広範に存在していることが改めて確認された。
(2)他国との比較においても、良く知られている国として日本は米国(78%)に次ぎ第二位となり(58%)、また、将来有望視できるアジアの国として第一位に日本が挙げられ(46%)、中国(45%)やインド(11%)よりも高い期待感、親近感が示された。さらに、大多数(75%)が日本の国連安保理常任理事国入りを支持しており、民主主義・人権等の価値観の共有、国際平和・安全への貢献等、国際貢献の面からも肯定的な回答が示された。
(3)このような日本に対する高評価の背景として、日本のブラジルの経済発展への貢献(72%が肯定的回答)及び日系人のブラジル社会における貢献(81%が肯定的回答)が大きな要因であることが示された。また、日本に対する関心・期待分野については科学技術が第一位に挙げられた。
(1)実施時期: 平成20年1月
(2)実施方法: ブラジルの民間調査機関・IBOPE社に委託し、対面調査にて実施。
(3)実施対象: サンパウロ、リオデジャネイロ、ブラジリアのブラジル主要3都市における一般市民約1,000名。
(1)日伯関係
(イ)7割以上(74%)が日伯関係は友好的であると回答し、約9割が両国関係は維持・強化されると回答している。また、約8割(78%)が日本を信頼すると回答している。
(ロ)半数近くが将来有望視できるアジアの国として日本を挙げており、これは中国、インドよりも高く第一位となっている(日本46%、中国45%、インド11%)。また、ブラジルが関係強化すべき国として、約3分の1が日本を挙げている(米国45%、日本34%、中国20%)。
(ハ)約7割(72%)が日本はブラジルの経済発展に貢献していると回答。9割以上(91%)が、日本企業のブラジル進出を歓迎すると回答しており、今後の対ブラジル投資を期待する分野として、自動車・エネルギープラントなどの重工業(41%)、クリーンエネルギーや環境(40%)、農業(30%)等が挙げられている。経済協力については、保健(54%)、教育(38%)、環境(35%)、産業開発(28%)、農村・農業開発(23%)、エネルギー開発(17%)等、広範な分野において我が国協力に対する期待が寄せられている。
(ニ)75%が、日本は国連安保理の常任理事国となるべきと回答。その理由として、経済大国である日本の存在は安保理の機能の実効性を強化する(55%)との回答の他に、民主主義、人権といった価値観の共有(34%)、国際の平和と安全への大きな貢献(24%)、常任理事国入りした日本が国際の平和と安全に果たす今後の役割に期待する(23%)との回答が寄せられている。
(2)対日関心
(イ)良く知られている国として、日本は米国に次ぎ二番目に高く(米国78%、日本58%、中国27%)、日本に関する情報源としてはテレビ(72%)、インターネット(30%)が多い。
(ロ)日本に関して知っていることとして、約半数が科学技術(47%)を挙げており、次いで料理(24%)、伝統文化と歴史(15%)となっている。日本について更に知りたいこととして、関心対象はまず科学技術(35%)、次いで教育(27%)、料理(24%)となっており、また日本に期待することとして科学技術の知識(46%)が最も高く挙げられているところ、日本の科学技術に対する高い関心がうかがえる。
(ハ)日本文化の中で特に関心のある分野については、日本料理(31%)が最も多く、日本建築と日本庭園(25%)、スポーツ(22%)が続いている。
(3)日本及び日本人に対するイメージ
(イ)大半が技術・生活水準・経済の面で進んでいるというポジティブなイメージを持っている。(39%が技術的に進んでいる国と回答し、次いで生活水準の高い国(32%)、経済的に進んでいる国(26%)というイメージを挙げている。)
(ロ)日本人に対しては、礼儀正しく熱心な努力家というイメージを抱いている。(45%が献身的/努力家というイメージを有しており、次いで能率的(37%)、礼儀正しい(35%)というイメージを挙げている。)
(ハ)ブラジルに住む日本人について、約7割(69%)がブラジルに適応しブラジル人とよく共存していると回答し、約8割(81%)が日系人はブラジルに貢献していると回答している。
(参考) 外務省によるブラジルを対象とした過去の対日世論調査実績
(ともに、今次調査と同じIBOPE社に委託し、有識者500名を対象に実施。)