我が国漁船の拿捕事件の防止のためには、そもそも違法操業が行われないようにすることが重要であり、この点については、政府より関係漁業者に対し、引き続き指導を徹底していく考えである。
【参考】
第73条2 拿捕された船舶及びその乗組員は、合理的な保証金の支払又は合理的な他の保証の提供の後に速やかに釈放される。
第292条1 締約国の当局が他の締約国を旗国とする船舶を抑留した場合において、合理的な保証金の支払又は合理的な他の金銭上の保証の提供の後に船舶及びその乗組員を速やかに釈放するというこの条約の規定を抑留した国が遵守しなかったと主張されているときは、釈放の問題については、紛争当事者が合意する裁判所に付託することができる。抑留の時から10日以内に紛争当事者が合意しない場合には、釈放の問題については、紛争当事者が別段の合意をしない限り、抑留した国が第287条の規定によって受け入れている裁判所又は国際海洋法裁判所に付託することができる。
3 裁判所は、遅滞なく釈放に係る申立てを取り扱うものとし、釈放の問題のみを取り扱う。ただし、適当な国内の裁判所に係属する船舶又はその所有者若しくは乗組員に対する事件の本案には、影響を及ぼさない。抑留した国の当局は、船舶又はその乗組員をいつでも釈放することができる。
国連海洋法条約に基づき1996年に設立。本部は独ハンブルク。選挙で選ばれた全21名の裁判官により構成される。
(1)「第88豊進丸」
(株式会社「池田水産」(富山県入善町)所有、中型さけ・ます流し網漁船(173トン)、乗組員17名(全員日本人))
2007年 6月 1日以降 ロシア側の臨検を受ける(カムチャッカ半島東方沖)
6月 3日 違法漁獲等の嫌疑で拿捕
6月 5日 カムチャッカの港に到着
6月 7日 漁獲物の陸揚げ検査開始
6月26日 船長に対する刑事捜査の開始を決定
(2)「第53富丸」
(株式会社「金井漁業」(北海道釧路市)所有、底引き網漁船(279トン)、乗組員21名(うち日本人14名、全員帰還済み))
2006年10月31日以降 ロシア側の臨検を受け、要請に応じてカムチャッカの港へ
11月 2日 カムチャッカの港に到着
11月 5日 漁獲物の陸揚げ検査開始
12月28日 船主に対する行政法違反事件に関する裁判(第1審)
(船体没収及び罰金の判決)
2007年1月24日 行政法違反事件の控訴審(第1審の判決支持)
2月 8日 一部乗組員が帰国
3月29日 船長を除く乗組員帰国
5月15日 船長に対する刑事事件に関する裁判(罰金等の判決)
5月31日 船長帰国
(船主は、船体没収の判決を不服として上告中)