「石見銀山遺跡とその文化的景観」については、世界遺産一覧表に記載される資産として求められている「顕著な普遍的価値」の証明等との関係で、主として以下の点が指摘され、本資産の世界遺産一覧表への「記載延期」を勧告している。
(参考)
<主な指摘事項の概要>
(1) 我が国がユネスコ世界遺産センターに提出した推薦書(以下「推薦書」)では、石見銀山遺跡を「東アジア地域のみならず欧州社会を含めた東西世界の文明交流の歴史に多大な影響を与えた顕著な普遍的価値を持つ鉱山遺跡である」としているが、イコモスは「この点を証明する詳細な物証が示されていない」と指摘。
(2) 推薦書では、石見銀山遺跡を「16世紀に独特の精錬技術を応用して銀生産を軌道に乗せ、採掘から製錬に至る小規模な労働集約型経営を集積させることによって優れた運営形態を進化させ、大量で良質の銀生産に成功したことを示す極めて重要な遺跡である」としているが、イコモスは、この点について「更なる調査研究が必要」と指摘。
(3) 推薦書では、石見銀山遺跡とその文化的景観について「銀山と鉱山町」、「街道」、「港と港町」など、往時の鉱山運営に関わる土地利用の総体を明瞭に示し、山林に覆われて当時のまま遺存しているところなどに顕著な普遍的価値がある」としているが、イコモスは「採掘活動がどのように顕著な景観を形成したのか明らかにする調査研究が必要」と指摘。
(4) 推薦書では、構成資産として銀鉱山と関連した「街道」、「鉱山町」や「港町」を、文化財保護法により国の文化財として指定・選定しているが、イコモスは「これらの指定・選定の範囲が不十分である」と指摘。
(5) 顕著な普遍的価値の証明に関連し、推薦書においては、他の鉱山遺跡との比較研究の成果を示しているが、イコモスは「アジア地域にある日本国外の他の鉱山遺跡との比較研究に関する情報が不十分」と指摘。
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