報道発表

「石見銀山遺跡とその文化的景観」の世界遺産一覧表への記載推薦に関する国際記念物遺跡会議(イコモス)の評価結果及び勧告について

平成19年5月12日


  1. 我が国政府は、世界遺産一覧表へ記載する我が国の資産として「石見銀山遺跡とその文化的景観」の推薦書をユネスコ世界遺産センターに提出しており、その記載可否は、世界遺産委員会の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)による審査を経て、第31回世界遺産委員会(本年6月23日から7月2日、於:ニュージーランド)において決定されることとなっている。
      今般、イコモスによる評価結果及び勧告がユネスコ世界遺産センターを経由して通知された。

     
  2. イコモスの評価結果及び勧告の要旨

    「石見銀山遺跡とその文化的景観」については、世界遺産一覧表に記載される資産として求められている「顕著な普遍的価値」の証明等との関係で、主として以下の点が指摘され、本資産の世界遺産一覧表への「記載延期」を勧告している。

    (参考)
    <主な指摘事項の概要>
    (1) 我が国がユネスコ世界遺産センターに提出した推薦書(以下「推薦書」)では、石見銀山遺跡を「東アジア地域のみならず欧州社会を含めた東西世界の文明交流の歴史に多大な影響を与えた顕著な普遍的価値を持つ鉱山遺跡である」としているが、イコモスは「この点を証明する詳細な物証が示されていない」と指摘。

    (2) 推薦書では、石見銀山遺跡を「16世紀に独特の精錬技術を応用して銀生産を軌道に乗せ、採掘から製錬に至る小規模な労働集約型経営を集積させることによって優れた運営形態を進化させ、大量で良質の銀生産に成功したことを示す極めて重要な遺跡である」としているが、イコモスは、この点について「更なる調査研究が必要」と指摘。

    (3) 推薦書では、石見銀山遺跡とその文化的景観について「銀山と鉱山町」、「街道」、「港と港町」など、往時の鉱山運営に関わる土地利用の総体を明瞭に示し、山林に覆われて当時のまま遺存しているところなどに顕著な普遍的価値がある」としているが、イコモスは「採掘活動がどのように顕著な景観を形成したのか明らかにする調査研究が必要」と指摘。

    (4) 推薦書では、構成資産として銀鉱山と関連した「街道」、「鉱山町」や「港町」を、文化財保護法により国の文化財として指定・選定しているが、イコモスは「これらの指定・選定の範囲が不十分である」と指摘。

    (5) 顕著な普遍的価値の証明に関連し、推薦書においては、他の鉱山遺跡との比較研究の成果を示しているが、イコモスは「アジア地域にある日本国外の他の鉱山遺跡との比較研究に関する情報が不十分」と指摘。

  3.  

  4. 政府としては、今般のイコモスの評価結果及び勧告につき、第31回世界遺産委員会に向けて文化遺産の国内推薦官庁である文化庁を中心に分析を行い、世界遺産委員会を構成している委員国(日本を含む21か国)の本件資産に関する理解を得られるよう努めて参りたい。
     

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