
貿易経済に関する日露政府間委員会共同議長間会合 結果概要
平成22年4月27日
岡田克也外務大臣は,本27日17時10分より約1時間20分間,訪日中のフリステンコ産業貿易大臣との間で貿易経済に関する日露政府間委員会(以下,「政府間委員会」)共同議長間会合を行ったところ,概要以下のとおりです。今次会合は,ロシア側のイニシアティブで開催されました。
- 総論
(1)昨年12月に開催された政府間委員会共同議長間会合において設置に一致した次官級の貿易投資分科会が本年3月末に開催されたことを受け,今次共同議長間会合では,昨年12月末以降の日露経済関係と日露両政府による取組を総括し,今後の作業の方向性について議論を行いました。
(2)冒頭,岡田大臣より,日露首脳間で確認されている政治と経済を「車の両輪」として進めるとの基本的方針の下,領土問題の前進が望まれるが,政府間委員会として経済面での協力を積極的に進展させたい旨述べ,フリステンコ大臣も,昨年来,貴大臣と合意した事項が,その後,着実に履行されていることが重要である旨応じました。
- 各論
(1)両大臣は,極東・東シベリア地域における各種プロジェクトを中心に,これまで政府レベルで取り上げられてきた協力案件の具体的な進捗に向け,政府間委員会として優先的に取り組んでいくことを確認しました。今次会合では,特に,エネルギー分野等を中心に議論しました。この関連で,石炭分野について,岡田大臣より,本年5月下旬に予定される官民ミッションを通じた協力の進捗を期待すると述べ,フリステンコ大臣の協力を求めました。
(2)また,フリステンコ大臣からは,日露経済関係の伝統的な協力分野に加え,核セキュリティ・サミットの際に開催された日露首脳会談(4月13日)において言及された,ロシアが進める経済近代化の取組に関する協力について,政府間委員会の枠組みを通じて実現していきたい旨述べ,メドヴェージェフ大統領が提唱する経済近代化の5つの方向性に含まれる,エネルギー効率,医療,宇宙等の分野における協力は日露経済の新たな可能性を与えるものとして期待を表明しました。
(3)岡田大臣より,これらの協力に関する民間の取組を後押しするために,政府レベルで具体的な支援策を取る必要がある旨強調し,特に,ロシア側における積極的な取組を要請し,先方は検討を約しました。
(4)岡田大臣より,昨年12月に行われた政府間委員会共同議長間会合に引き続き,改めてロシア側の一連の関税の引上げ措置を早急に撤廃することを求めるとともに,メドヴェージェフ大統領の進める投資環境の整備(労働許可,税関手続の簡素化等)について,日本企業に対する迅速な情報提供を要請しました。
(5)フリステンコ大臣より,(ア)昨年は金融危機にも拘わらず,ロシア側の平均関税率は下げられている,(イ)自動車等限定的に導入された関税引上げ措置は,ロシアの産業政策に基づくものであり, 2016から2017年までを念頭に置いた中期的な措置である,(ウ)投資環境の改善のための各種手続の簡素化について,現在作業中であり,日本企業に情報提供を行う用意がある,との説明がありました。
(6)両大臣は,貿易投資分科会につき,近く副議長間の会合を実施して具体的な取組を進めるとともに,その進展状況をみつつ,次官級の貿易投資分科会,及び閣僚級の政府間委員会本会合の開催を検討していくことで一致しました。