報道発表

「ル・コルビュジエの建築と都市計画(国立西洋美術館(本館))」の世界遺産一覧表記載に関する第33回ユネスコ世界遺産委員会における審議結果

平成21年6月27日
  1. 6月22日(月曜日)から6月30日(火曜日)まで、スペインのセビリアで開催されている第33回ユネスコ世界遺産委員会において、日本をはじめとする6か国が世界遺産に推薦していた、国立西洋美術館(本館)を含む「ル・コルビュジエの建築と都市計画」に関する審議が行われ、現地時間6月27日(土) 12時32分(日本時間6月27日(土) 19時32分)、「情報照会」との決議が採択されました。
  2. 世界遺産委員会の審議においては、複数の大陸に所在する「国境を越えたシリアル・ノミネーション」(複数国に所在する連続性のある資産の推薦)であるル・コルビュジエの作品群の「顕著な普遍的価値」の存在は認められるべきであるとの意見が大勢を占めました。また、相当数の委員国から世界遺産リストへの「記載」を支持する意見も表明されましたが、本推薦に関しては、「顕著な普遍的価値」についての議論の強化、構成資産の選択、保存管理等の観点から課題が残り、「記載」についてのコンセンサスには至らず、投票に付された結果、「記載」には至りませんでした。更なる審議の結果、本推薦の意義等に鑑み、本年5月のイコモス勧告であった「記載延期」の判断は本世界遺産委員会において変更され、追加情報の提出を必要とする「情報照会」の決議がコンセンサスにより採択されました。
  3. 本年5月、「記載延期」との本件資産の価値等に対する厳しい勧告が世界遺産委員会の諮問機関の一つであるイコモス(国際記念物遺跡会議)から行われたことを受け、政府は、世界遺産委員会に向けて、共同推薦国と協力しつつ本件資産の価値について委員国の理解を得るべく努力をしてきました。今回の世界遺産委員会において本件資産群の「顕著な普遍的価値」の存在が認められ、当初イコモスにより示された厳しい判断とは異なる「情報照会」との決議に至ったのは、日本を含む共同推薦国による努力によって、本件資産の価値に対する委員国の理解が得られた結果と評価しています。
  4. 政府としては、国立西洋美術館(本館)を含むル・コルビュジェの作品群は世界遺産に相応しい価値があるものと考えています。今回の審議結果を踏まえた今後の対応については、審議結果を詳細に分析した上でフランスを中心とする関係国と十分に協議しつつ検討することとしています。

(参考)

  1. 共同推薦6か国:日本、仏、独、スイス、ベルギー、アルゼンチン
  2. 「情報照会(Referral)」:世界遺産一覧表記載の推薦に対する世界遺産委員会の下す決定は、「記載」、「情報照会」、「記載延期」、「不記載」の4種類であり、今回の「情報照会」は、追加情報の提出を求めた上で次回以降の審議に回すというもの。
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