1.2月16日(木曜日)、わが国政府および国連は、国連開発計画(UNDP)が2年間にわたって実施する「アフリカン・ミレニアム・ビレッジ・イニシアティブ」第一フェーズに対し、人間の安全保障基金を通じ、917万9,164ドル(約10億1,889万円)の支援を行うことを決定した。
2.このプロジェクトは、ガーナ共和国、ケニア共和国、マラウイ共和国、マリ共和国、ナイジェリア連邦共和国、セネガル共和国、タンザニア連合共和国およびウガンダ共和国のアフリカ8カ国における9つの農村において人間の安全保障を推進をはかるものである。また、このプロジェクトにより、これらの村落において、慢性的な貧困からの脱却を視野に、コミュニティが参画し主導する開発アプローチの導入が促進されるものである。主な活動目的は以下のとおりである。
(1)食糧生産の向上および栄養価の高い食糧の普及による村落における飢餓と栄養失調の解消。とくに妊娠・授乳期の女性と2歳未満の幼児の栄養状態の改善。
(2)住民の生活改善および農村の内外で実施される活動を通じた所得向上による極度の貧困からの脱却。
(3)男女の児童双方で初等学校への完全就学率の実現および学校における男女間の格差の縮小。
(4)女性の健康改善と児童・妊産婦の死亡率の抜本的な低下をとくに重視した医療サービスへのアクセス改善。
(5)HIV/エイズ、マラリア、結核ならびにその他の主要疾病の感染率の低下および抗レトロウイルス剤等の基幹薬品の入手の改善。
(6)環境資源の活用のために「持続可能な開発」の原則を村落開発プログラムに統合。
(7)家庭、学校、医療機関用にエネルギー、清浄な空気、水、衛生サービスへのアクセス改善。
(8)特にインターネットや携帯電話へのアクセスといった通信技術の導入によるデジタルデバイドの解消。
3.このプロジェクトの実施により、上記の村落において住民の生活改善が進められていくとともに、アフリカにおけるミレニアム開発目標の実現に向けたモデルケースが提供されていくことが期待される。
(参考)
人間の安全保障基金は、1999年3月にわが国の主導により国連に設置された信託基金であり、現在までに総額約290億円(約2.6億ドル)を拠出している。これまでも、この基金を通じ人間の生存、生活、尊厳に対する多様な脅威に対して人間の安全保障の視点から取り組む国連関係国際機関の140件以上のプロジェクトを支援してきている。