
人間の安全保障基金によるインドネシア・パプア州における人間の安全保障の推進と先住民族の貧困削減プロジェクト支援について
平成17年7月25日
- わが国政府および国連は、7月25日(月曜日)、国際労働機関(ILO)がインドネシアにおいて実施する「人間の安全保障の推進と先住民族の貧困削減プロジェクト」に対し、人間の安全保障基金を通じ、158万1,142ドル(約1億7392,6万円)の支援を行うことを決定した。
- インドネシア・パプア州の先住民は、過去30年間に亘ってインドネシアの雇用制度から除外され、低い社会的地位に置かれており、更に同国移住政策によるパプア州への移民の増加が、この傾向を強めている。本プロジェクトは、先住民への雇用差別やジェンダー差別を軽減させていくことによって先住民の貧困を削減し、地域においてより安定した社会的・経済的・政治的環境を促進することを目的としており、具体的には、以下のような活動を行う:
(1)地域の政府職員および先住民を対象に、移住者コミュニティとの共存を考慮した効果的な地域政策に関する研修やワークショップの実施;(2)先住民のうち、特に女性と少女を対象とした、機能的識字力を含む基礎能力の訓練;(3)コミュニティ内での起業意識を高めることによる企業の設立と、雇用機会の創出;(4)医療施設の改善とコミュニティ医療保険システムの構築;(5)ジェンダー理解のための研修の実施と、地域開発計画におけるジェンダー差別撤廃の観点の重視。
- このプロジェクトの実施により、先住民のコミュニティ能力の強化が見込まれるだけでなく、人間の安全保障が守られた継続的で豊かなコミュニティ環境が、当該地域にそして広くは国のレベルで促進されることが期待される。
(参考)
人間の安全保障基金は、1999年3月にわが国の主導により国連に設置された信託基金であり、現在までに総額約290億円(約2.6億ドル)を拠出している。これまでも、この基金を通じ人間の生存、生活、尊厳に対する多様な脅威に対して人間の安全保障の視点から取り組む国連関係国際機関の130件以上のプロジェクトを支援してきている。