(1)ニュージーランド南島での地震の発生について
【外務報道官】本日、午後2時過ぎ、現地で対策本部の陣頭指揮をとる徳永外務大臣政務官や国際緊急援助隊の方々を乗せた政府専用機が成田を出発いたしました。現地には、日本時間の本日24時過ぎに到着する予定になっています。邦人の安否の状況については、新たに付け加える情報はございませんが、現時点で我々が把握している内容について説明しますと次の通りです。まず、クライストチャーチのキングス・エデュケーションという語学学校のビルが倒壊した関連で、日本人の留学生も含まれているのではないかということですが、富山外国語専門学校の関係者については教師の方2名を含む23名のうち13名について救出が行われ、現在、残りの10名の方について安否確認が行われている状況です。それ以外に、その他の語学学校、ワールドアベニュー、またはM.I.海外留学などが手配した留学生が計約10数名おられる可能性があり、これらの方については引き続き安否確認を行っているところです。それ以外に、在留邦人は、昨年10月始めの時点で大使館に届け出をいただいているベースで2,820名おられます。世帯になおすと1,558世帯ですが、その方々についても今、確認を進めております。また、邦人旅行者については、日本旅行業界協会の協力を得て調べた数字によれば、全体で1,333名おられるうち、現在までに(ツアー旅行の)1,110名の方について安全確認済みです。その他223名については、チケットのみ手配している旅行者ですが、現在安否中です。現地のクライストチャーチには、三田村大使他、計5名の館員が入っており、現地での安否確認、更には緊急援助隊の受け入れなどに当たっています。今後必要に応じて大使館関係者の増員をしていくことになっています。
(2)タイ・カンボジア情勢に関するASEAN非公式外相会議について
【外務報道官】本日、本件に関し、以下の内容の外務報道官談話を発出しました。
22日(火曜日)、タイ・カンボジア情勢に関し、ASEANがインドネシアで非公式外相会議を開催し、タイ・カンボジア両国による更なる衝突を回避するとのコミットメントやインドネシアからの停戦監視団派遣等を内容とする議長声明を発出したことに関し、我が国は、両国国境地域の紛争解決に向けたASEAN及び議長国インドネシアの努力を高く評価します。ASEANを含め全ての国際社会の努力が両国の信頼醸成に資するものになることを期待しています。
我が国としては、タイ・カンボジア両国の関係改善は、メコン地域の発展、更にはASEANの連結性向上を通じたASEAN共同体構築にとっても重要と考えており、両国間の問題については、国際的なルールに則り、対話を通じて平和的に解決されるよう引き続き双方に呼びかけていきます。
(3)「ジャーナリスト会議2011」の開催について
【外務報道官】3月3日、外務省は、「ジャーナリスト会議2011」を日本プレスセンタービルにおいて開催いたします。今年で16回目になる企画ですが、今回は「アジア太平洋時代と日本外交-内外メディアの視点」をテーマにして、日本を拠点として活動している豪州・中国・韓国・米国・ベトナムのジャーナリストの方々、日本の主要メディアの論説委員の方々をパネリストとして、議論していただきます。
【NHK 稲田記者】2点お聞かせ下さい。先遣隊はもう既に入っていると思いますけれども、先遣隊から現段階でどういった情報が入っているかということが1点。それから、クライストチャーチの倒壊現場についてですが、現在現地の警察当局等による救出作業が中断しているという情報があります。これに対して日本政府として、何らかの働きかけをしているのか、またそのことについて、まだかなりの方が残っておられると見られる中でどのように受け止めていらっしゃるのか、お聞かせ下さい。
【外務報道官】最後の点から申し上げますと、現在そのような情報について確認を行っております。我々としては、日本人の方々を含む多くの方々が生き埋めになっている可能性があるわけですので、捜索の継続をさまざまな形で働きかけていきたいと考えております。現地の情報については、いろいろな情報がきておりますので、この時点でいちいちご報告するのは難しい状況でございます。
【NHK 稲田記者】先遣隊からの情報ではどういうものが来ているかということはどうでしょうか。
【外務報道官】先遣隊は今、緊急援助隊が到着し次第、活動が行えるよう関係方面と調整をしております。緊急援助隊がどういう場所で、どういう形で作業するかということについて現地の政府と調整をしているところです。
【朝日新聞 大島記者】昨晩、前原大臣が「可能であれば政府専用機に、被災者の方々のご家族も乗せたい」とおっしゃって、そして、一方で防衛省としては「公式にそうした要請は受けていない」、また防衛大臣も「聞いていない」と言っているわけですが、外務省から防衛省に対してどういう話があったのかと、現時点で(被災者の)ご家族の
方々を乗せるということはなかったのですが、どうしてなくなったのか、その辺りの事実関係を教えていただけますか。
【外務報道官】前原大臣は、できれば政府専用機に被災者の家族の方々の同乗も検討したいということを言われたわけですが、その後、緊急援助隊をできるだけ早く出発させるということで作業しておりました一方、ご家族の方の渡航については現地での滞在の安全性の確認とか旅券の緊急発給とか、実際日本を飛び立つためには若干準備を要するということがわかってきましたので、今回は緊急援助隊をできるだけ早く出発させるということを優先させていただいた関係で、政府専用機にはご家族の方々は同乗されないということになりました。しかしながら、現地入りを希望されております学校関係者や家族の方については、本日夕刻以降の便で、できるだけ早く現地に入れるよう旅券の緊急発給も含めて外務省として支援を行わせていただいているところです。
【朝日新聞 大島記者】こういった場合、政府専用機に被災者の方のご家族を乗せるというのは、法律の趣旨という観点から可能なのかどうか、その法的な考え方というのはどのようになっているのか、お願いします。
【外務報道官】政府専用機の運航に関しては、いくつかの法律があります。その制度的な解釈については、今、さまざまな観点から検討しておりまして、今回はご家族の方は事実上時間に間に合わないということになったものですから、そういう判断をするまでもなく至っている状況です。今朝も官房長官が記者の質問に答えておられましたけれども、家族の方が帰りの便で政府専用機に同乗するという可能性も含めて、引き続き制度面の検討は行っているということです。
【毎日新聞 犬飼記者】午前の官房長官会見で出た、既にニュースで流れていますけれども、東京海洋大学の1人と琉球大学の2人の方がニュージーランドへの渡航を確認されているが、渡航者との連絡がとれず安否を確認中ということを文科省から報告がきているということで、外務省としてどのように把握しているのかということと、これは果たしてどの数字に入るのかと、いわゆる一般旅行者の数字に入るのか、先ほど言った20数人の方の数字に入るのか、場合によってはワールドアべニューとかを通じて留学されている可能性もあるのかもしれないですが、その辺りの整理をお願いしたいと思います。
【外務報道官】ご質問にあった方々については、我々も確認作業を続けております。現時点で申し上げたキングス・エデュケーション学校関連の留学生の数には入っておりません。それ以外の邦人旅行者の数、日本旅行協会等の調べを通じて出した数字ですが、ここに入っているかどうか、今、確認をしているところです。
【産経新聞 桜井記者】在留邦人の1,558世帯のうち、現段階で安全確認がとれているのは何人でしょうか。また、午前の段階では2割と聞いているのですが、その確認が時間がかかっている理由についてもお願いできますか。
【外務報道官】在留届をベースに大使館が電話やメールで連絡をとろうとしているわけですけれども、現地の通信事情がなかなかよろしくないこともあって、確認作業に手間取っているという状況です。特に被害に遭われた方を中心に、救助が必要かどうかという人を中心に照会をしている関係で、自分が安全だという方については若干大使館への報告が遅れているという面もあろうかと考えております。引き続き確認作業を進めてまいります。
【産経新聞 桜井記者】今のところ、怪我をしただとかそういう情報はないということでしょうか。
【外務報道官】現時点では、邦人の被害の情報はございません。
(1)パキスタン・イスラム共和国大統領アーシフ・アリー・ザルダリ閣下の来日について
【外務報道官】2月21日(月曜日)から2月23日(水曜日)まで、パキスタン大統領のアーシフ・アリー・ザルダリ閣下が、実務訪問賓客として訪日されます。ザルダリ大統領の訪日は、2009年4月に日本で「パキスタン支援国会合」が開かれた際に来られて以来、2年ぶりということになります。滞在中は天皇陛下との御会見、菅直人内閣総理大臣との首脳会談が予定されています。
パキスタンは、1952年に国交を樹立して以来、日本にとって友好的な関係を維持している国で、人口も1億7千万人と今後成長が期待される新興国でもあります。また、地政学的に重要な位置にあって、アフガニスタンを含む国際社会のテロ対策などにおいても重要な国になっています。
(2)山花外務大臣政務官のコロンビア及びメキシコ訪問について
【外務報道官】山花政務官は2月17日(木曜日)から24日(木曜日)まで、コロンビア及びメキシコを訪問されます。
コロンビアでは、既に実質合意済みの日・コロンビア投資協定の早期署名について働きかけを行うほか、今後の二国間経済関係の在り方について、先方政府要人と意見交換する予定です。また、現地に派遣されている青年海外協力隊の活動や我が国による経済協力の現場についても視察する予定です。
メキシコでは、日墨EPAに基づいて設置されている合同委員会及びビジネス環境整備委員会に出席します。また、この機会に併せて開催される、日本経団連とメキシコ側企業団体との共催による「第29回日本メキシコ経済協議会」にも出席し、先方政府や民間関係者との意見交換を行う予定になっています。
(3)第4回NGO海外安全セミナーの開催について
【外務報道官】2月24日(木曜日)、外務省主催で「第4回NGO海外安全セミナー」が三田共用会議所で開催されます。
このセミナーは、アフガニスタン等においてNGO等国際協力活動に従事する邦人がテロに巻き込まれるといった事件がありましたので、そのような事件の再発を防ぐために、情報提供や注意喚起といった既存の施策に加えて、新たに導入した施策の一環として平成20年から毎年開始されており、今回で4回目となります。
今回のセミナーは、海外で活動するNGO関係者を主な対象とし、危険地域を含む海外で活動する国際機関やNGO、我が国企業の安全対策関係者、危機管理企業の専門家を講師として招き、海外での活動を行うにあたっての安全対策に関する事前準備と事件発生時の対応について、それぞれの取組や実例を紹介いただき、「グッドプラクティス」を参加者の方々と共有することを目的としています。
このセミナーは、NGO関係者が主たる対象ですが、海外で活動する企業関係者、報道関係者の参考にもなると思いますので、ご関心のある方はご参加頂ければ幸いです。
【北海道新聞 嶋田記者】昨日、中国企業とロシア企業が北方四島で合弁会社を作るということが発表になりました。また、本日は韓国企業ともそういう話があるということで進んでいるようなのですが、外務省として、事実関係をどの程度把握していて、どう対応していくのかということと、このような場合、現実的に中国政府なり韓国政府なりに日本の立場を説明して自制を求めるということは想定し得るのかどうかについて、教えて下さい。
【外務報道官】報道ベースですが、中国企業、あるいは韓国企業が北方四島や周辺海域でロシアの許可の下で操業しようという動きがあるということは聞いています。事実かどうかについては、外務省として把握していない段階です。一般論として申し上げれば、前原大臣もこの場(会見)で何回か言及されていますが、第三国の国民や企業であっても、ロシアのビザを取得して、我が国固有の領土である北方領土に入域する、もしくはその場で経済活動を行うということは、北方四島に対するロシアの管轄権を前提としたものとなりますので、我が国としては受け入れられないということです。この点については、ロシアで行った日露外相会談後の共同記者会見でも前原大臣から明確に発言をされております。
中国や韓国の政府に働きかけているかということですが、北方領土に関する日本の立場については、これまでいろいろな形で説明してきておりますので、今後とも必要に応じて、意思疎通をしていきたいと考えています。
(1)「外国人の受入れと社会統合のための国際ワークショップ」について
【外務報道官】2月17日(木曜日)、外務省は、上智大学、新宿区及び国際移住機関(IMO)と共催で、昨年度に続いて2回目となる「外国人の受け入れと社会統合のための国際ワークショップ」を上智大学で開催します。現在、我が国においては、人口の減少と少子高齢化の進展等の社会状況を背景として、将来的な外国人政策に関する議論が高まりを見せつつあります。そういう状況を踏まえて、今回のワークショップでは、将来における我が国の外国人政策をテーマとして議論を行います。このテーマについては、経済、雇用、文化、社会、国際関係等、多種多様な論点が存在しますが、このワークショップでの議論を通じて、論点を整理し、その結果を成果物として取りまとめます。この成果物は、将来、外国人政策に関する国民的議論を行う場合の参考資料として活用されることが期待されています。なお、共催者になっていただいています上智大学は、外国人政策に関する豊富な研究実績を持たれていること、また、新宿区は、区内に多様な外国人住民を抱えて、日頃、外国人問題に取り組んでいること、それから、IMOは、諸外国の外国人受入れ政策等、国際的な知見を有していることから、共催団体になっていただきました。この会合には、ドイツ、韓国から専門家をお呼びしておりまして、それぞれの国の外国人政策についても紹介いただくことになっております。
(2)第3回ARF(ASEAN地域フォーラム)海上安全保障会期間会合(ISM)の開催について
【外務報道官】2月14日(月曜日)及び15日(火曜日)の両日、三田共用会議所において、第3回ARF海上安全保障会期間会合が開催されます。この会期間会合というのは、ARFでは毎年閣僚会合が行われていますが、その中間でいくつかの専門的なテーマについて議論を行う会合です。この海上安全保障以外に、災害救難、テロ・国際犯罪、不拡散・軍縮等のテーマについての会期間会合もあります。この海上安全保障に関する会期間会合は、3年前のARF関係会合において、インドネシアが提案し設置されたもので、現在、日本、インドネシア、ニュージーランドが共同議長を務めてきております。今回の会合には、ARF参加国政府のうち、23か国とEUから局長級及び軍関係者が参加します。この会合では、海上安全保障のテーマについて、意見交換を行いますが、過去2回の会合の議論を締めくくり、今後優先的に取り組んでいくべき課題を確定する予定になっております。
【共同通信 斎藤記者】杉山アジア太洋州局長と鶴岡総政局長が訪米されます。その後に梅本北米局長、防衛省の高見沢局長が訪米されます。2つある訳ですが、それぞれの目的と協議の見通しについてご説明願います。
【外務報道官】それぞれの担当局長が、それぞれの所管テーマについて米国のカウンターパート等と様々な議論を行っているということです。ご指摘のとおり、鶴岡総政局長は8日から、杉山アジア太洋州局長は9日から米国に出張して、米政府関係者と意見交換を行うことになっております。日米間では、いろいろなテーマについて、いろいろなやり取りをしておりますが、私の方から、ここで詳細に申し上げるのは、事柄の内容上、差し控えたいと思います。
【朝日新聞 大島記者】ロシアですが、7日に日本のロシア大使館前で、ロシア国旗を侮辱する行為があったとして、日本側に当局の処罰をロシア側が求めているという報道がありますが、日本政府として事実関係をどう把握しているのかということと、ロシア側の要求に対して日本政府としてどのように対応されるのか、お願いします。
【外務報道官】ご指摘のあった件については、ロシア政府から日本政府に外交ルートを通じて申し入れがありました。それを受けて、日本政府としては、事実関係を確認しています。事実関係を確認した上で、日本政府として適切な対応をとっていきたいと考えております。
【朝日新聞 大島記者】現段階で、ロシアが主張するロシア国旗を侮辱する行為とは、どういうことがあったのか、ロシア側としては、こういうことがあったと言っているのかも知れませんが、全くまだ把握されていないということでしょうか。
【外務報道官】報道とか、いろいろな情報はありますけれども、まだ、我々としてはきちんと事実確認ができておりませんので、事実確認をしっかりした上で、その後の対応を考えていきたいということです。
【琉球新報 稲福記者】先日の予算委員会の方で、確か小野寺議員だったと思うのですが、日米地位協定の改定について外務省に確認したら、「そのようなことを米国と話し合っている事実はない」という回答だったとおっしゃっていたのですが、この件に関して事実かどうか、確認したいのですが。
【外務報道官】沖縄における米軍を巡るさまざまな問題について、いろいろな議論があるというのは事実ですが、日本政府として現時点では地位協定の運用の改善をもって対応するというのを基本方針にしており、地位協定の改定そのものについて米国側と議論したということはありません。
【琉球新報 稲福記者】先日、鳩山前総理が講演の中で、「私は改定を指示した。それで具体的に行動してもらった」というように言っているのですが、それは日米地位協定の改定を提案するというところまでいかなかったということなのでしょうか。
【外務報道官】鳩山前総理が何をおっしゃったのか確認しておりませんので、コメントは差し控えたいと思います。
【琉球新報 稲福記者】先ほどの外務報道官の言葉の中で、沖縄を巡る米軍の問題でいろいろ協議しているとおっしゃっていたのですが、日米地位協定は特に沖縄に限ったことではなくて日本全体に米軍基地があるわけですけれども、日米地位協定の改定を外務省としては、沖縄の問題として捉えているのでしょうか。
【外務報道官】そういう趣旨ではございません。ご指摘のとおり、日米地位協定は沖縄のみならず日本全土にある米軍に関する協定ですので、そのような趣旨で捉えています。
【毎日新聞 西岡記者】ARFの関係で、北朝鮮からの代表団は来るのでしょうか。
【外務報道官】ARFの事務局は招待状を北朝鮮を含め加盟国全部に配布したようですが、今回は北朝鮮の出席の登録はありません。
【共同通信 斎藤記者】今回、実際に参加するのは何カ国ぐらいになるのか。それから、取り組んでいく課題を決定するとありますが、この決定というのはもう少し具体的に何を指すのか。つまり一定程度の拘束力を持つものなのかどうか、その辺を教えてください。
【外務報道官】ARFはご存じのとおり26カ国及びEUが構成メンバーです。そのうち今回出席代表者を送ってきますのが、23カ国とEUからです。欠席は、北朝鮮、スリランカ及びモンゴルです。
それから、今後優先的に取り組んでいくべき課題についてですが、これは海上安全保障会期間会合の場において今後優先的に取り組んでいく課題を特定して、ワークプランを作っていくということです。メンバー国を拘束するという趣旨ではなく、会合において、どういうテーマについて議論していくかという方向性を見出していこうという話です。
海上安全保障は、若干わかりにくい面もあろうかと思いますが、中身はテロとか海賊などを含めて、この地域の自由で安全な航行を確保していく、またそのための海上保安の実務機関の能力向上等も含めて、ベストプラクティスを共有し、相互に協力できる点は協力するというようなことを議論すると聞いております。
そういうテーマについて、今回議論をして、どういう分野に優先をおきながら、今後の議題にしていくかということが決まってくるということです。
【朝日新聞 大島記者】エジプト情勢ですが、ムバラク大統領が9月の大統領選挙に立候補しないということを表明されて、ただ、市民の間では即時辞任というのを求める動きというのが依然と続いている状況ですが、日本政府、外務省として現在、現状について、どのような見解をお持ちなのかお願いします。
【外務報道官】エジプト情勢は、大規模なデモが続いたり、またムバラク大統領がテレビ演説でいくつかの具体的な改革措置に言及されたり、また、米国のオバマ大統領がエジプト情勢について緊急演説をしたり等、いろいろな動きがあります。日本政府の立場は、もう暫くしたら、外務大臣談話という形で表明をさせていただきたいと思いますので、そちらの方を参照いただければ幸いです。
【毎日新聞 犬飼記者】本日中に出る予定ですか。
【外務報道官】本日中に出す予定にしております。
【共同通信 斎藤記者】細かいことですが、金曜日であるとか、出すタイミングは決めていますか。
【外務報道官】大臣のご了承が得られれば、発出したいと思います。大臣は国会に出られているので、ご了承が得にくい状況でありますが、大臣のご了承が得られ次第、大臣談話という形で日本政府の見解を表明したいと考えております。
【毎日新聞 犬飼記者】昨日、菅直人首相が「新政権への推移」という言葉を使われたりとか、あるいは、前原大臣の昨日の会見で、仮に、と前置きしながら、政権交代が行われた場合の受け皿について言及されております。オバマ大統領も「秩序ある移行」という表現をされているのですが、米英もそうですが、日本としてもある程度、次の新しい体制を睨んだような見通しを持っていらっしゃるのでしょうか。
【外務報道官】その辺の見通しや、考え方を盛り込んだ大臣談話を出しますので、そちらの方を参照いただきたいと思います。
【共同通信 斎藤記者】現時点までの邦人保護関係のデータ、それから緊急対策本部で今後の邦人救出の関係で新しいオペレーションを考えているものがもしあれば、ご紹介いただきたいと思います。
【外務報道官】邦人保護の関係は、観光客の方への対応と、それから、現地に長期に滞在している方への対応と2つあると思います。観光客の方については、政府のチャーター便や商業便により出国が進んでおります。日本時間の2月2日朝の時点で、エジプトに滞在しておられる邦人ツアー観光客約300人、内、カイロには約60人、残りの方はルクソール等の観光地に滞在されているということですが、我々が得ている情報ですと、これらの方々も、本日または明日位には順次出国されると聞いております。
それから、現地に長期滞在されている邦人の方との関係ですが、2月1日付で危険情報を更新いたしまして、これまでエジプト全土に対する「渡航の延期をお勧めします」ということだったのですが、これに加えて滞在中の方に対しても「事情が許す限り早期の退避を検討して下さい」という文言を加えております。
我々としては、滞在されている方も、やむを得ず滞在する場合には、夜間の外出禁止令を守るとか、不測の事態に巻き込まれないように極力外出を控えるとか、外出する場合も大勢の人が集まる場所を避けるとか、十分な安全対策を講じていただきたいと思っております。引き続き在エジプト大使館を通じて、滞在されている邦人の方には治安情勢の情報の提供とか、様々な支援活動をしていきたいと考えております。
【毎日新聞 犬飼記者】残りの観光客は、いつくらいまでに出られるような見通しでしょうか。
【外務報道官】私どもとしては、できるだけ早くということで働きかけをしておりまして、ここ一日二日の間には、殆どの方が国外に出られるのではないかと期待しています。
【共同通信 斎藤記者】邦人の安全とは別に、経済関係ですが、もちろんエジプトにも日本の企業関係者がいると思うのですが、エジプト周辺、中東情勢全般を睨んで、何か現在検討しているようなことがあるのかどうか、どう対応するのかどうか、この辺り、何かご見解がありましたらお願いします。
【外務報道官】外務省としても、エジプト、あるいは近隣諸国に進出されている企業とさまざまな形で連絡を取っており、現地の情勢についての情報提供とか、必要なことがあれば、外務省として大使館等を通じて支援をするということをお伝えしております。現時点で、情報提供に加えて何か具体的な行動をとったとか、とる予定があるということはないと思います。
【毎日新聞 犬飼記者】本日発出される外務大臣談話に出るのかもしれませんが、エジプトの話もそうですが、これがヨルダンでも首相が代わったり、日本とつながりの深い東の方の国、サウジアラビアとか、日本の石油の安全保障にもかなり係ってくるような部分にも飛び火するのではないかということはあると思うのですが、それに対する懸念はどのように考えていらっしゃいますか。
【外務報道官】ご指摘のとおり、中東は日本にとって重要な石油・天然ガスの供給源であり、地域の安定が即日本の国益、経済的な活動に響いてくるということなので、我々としても、注視して事態をフォローしている状況にあります。ただ、エジプトの情勢が今後どうなるのか、また、近隣国にどういう形で波及していくのかというのは、なかなか専門家の中でもいろいろ意見も分かれていますし、確定的にこうだということは言えないと思いますが、いずれにせよ、我々としては、引き続き情勢を真剣にフォローしており、必要な取るべき対応があれば、取っていくという姿勢でおります。
【毎日新聞 犬飼記者】その他の国々でも、チュニジアから始まって、我々にとっても非常に重要な価値観である民主化というものを要求しているわけですが、そういったことに対し、一方で、混乱をできるだけ収拾して、いかに安定した政権を作るかという2つの課題があって、なかなか難しいと思います。
日本としては、民主化要求、政治改革というものを、そういった波及が懸念される国々に対しては、できるだけ早く手を打った方がいいとお考えなのでしょうか。
【外務報道官】一国の政治体制をどうするかということは、それぞれの国民が決めるというのが基本ですので、我々としては、国民が平和的にかつ民主的に意見を表明でき、それが反映される政府ができあがり、その政府が安定的なものであるということは非常に大事だと考えております。そういう観点にたって、日本としては必要な外交的な措置を取っていくということになると思います。ただ、繰り返しになりますが、基本はやはりそれぞれの国の国民が、国の針路、政権の在り方などについては決定をしていくべきだと考えています。
【琉球新報 稲福記者】米海軍の日本の提供水域外の爆撃訓練について、昨日、質問趣意書に対する回答が出されているのですが、その中で「提供水域外で行う場合は、妥当な配慮を払うべきだ」と答えていらっしゃるのですが、爆撃訓練を提供水域外でやることについて排除はしないということでしょうか。
【外務報道官】その問題について、十分用意しておりませんので、この場でお答えすることができません。
質問趣意書を確認した上で、追ってお答えしたいと思います。
(補足説明) 国際法上、ある沿岸国の排他的経済水域(EEZ)において、外国は、当該沿岸国の国際法上の権利及び義務に妥当な考慮を払う限りにおいて、軍事訓練を行うことが許容されています。