新聞・雑誌等への寄稿・投稿

総領事館ほっとライン 第26回 バンクーバー
カナダの中で最も古くから日本との密接な関係を構築

(時事通信「世界週報」2005年10月4日号より転載)

在バンクーバー総領事
多賀 敏行

 バンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア(BC)州はカナダの最西部の太平洋岸に位置する州です。このBC州の南西部にあるバンクーバーは、地理的条件からカナダ太平洋側の玄関口となっています。

 BC州は日系移民や貿易を通し、カナダの中では最も古くからわが国との間で密接な関係を有している州です。歴史的にも在バンクーバー日本国総領事館は、カナダにおけるわが国最初の在外公館であり、1889年(明治22年)6月に設置されています。

全人口の4分の1を占める移民

 バンクーバー市の人口は約58万人、周辺都市を含めたグレーター・バンクーバー地域の人口は約213万人です。グレーター・バンクーバー地域にはBC州全人口(419万人)の半数が集中しています。

 BC州には全人口の約4分の1に相当する約100万人の移民がいます。BC州は歴史的にアジア系移民を多数受け入れてきました。特に1967年の移民制度改正、1997年の香港中国返還を契機に中国、香港からの移民が増加し、40万人からなる中国人系コミュニティーが形成されるに至っています。他にもインド系(約18万人)、フィリピン系(約18万人)、韓国系(約3万人)人口も多く、アジアとのつながりはBC州の大きな特徴となっています。

日本との姉妹都市提携が盛ん

 BC州における在留邦人数は、約2万2000人です。そのうちバンクーバーには約1万9900人が在住しています。また、BC州の日系カナダ人は約3万7000人で、その約70%以上がグレーター・バンクーバー地域に移住しています。

 バンクーバーはアジアからカナダ、米国へ入る玄関口となっており、成田、関西空港との間で直行便が運航されています。またカナディアンロッキーや北米最大のスキー場で2010年冬期オリンピックが開催されることとなったウィスラー、さらにはBC州の州都ビクトリアへの玄関口でもあることから、日本人観光客数(約24万人、2004年)は米国からの観光客に次いで第2位となっています。

 また、BC州では日本の都市との姉妹都市提携も盛んで、現在その数は34組(カナダ全体の約半数)にも及んでいます。なお、バンクーバー市は横浜市と姉妹都市関係にあり、この6月には中田宏横浜市長がバンクーバー市を訪問し、40周年記念行事に出席しましたが、私も中田市長とバンクーバー市長はじめ市民との熱い交流の現場に参加することができ、勇気づけられました。

 在留邦人により組織されている団体としては、日本人駐在員を中心として組織されているバンクーバー貿易懇話会(73社参加)はじめ、大小様々な団体から、各種サークルまで幅広く存在し活発に活動しており、総領事館も側面的に協力を行っております。

在留邦人数は世界の都市で8番目

 多くの日本人にとってカナダは安全な国とのイメージがあり、また、標準的な美しい英語が話されているということから、多くの修学旅行の中高校生たちやワーキングホリデーや語学留学の若者たちがバンクーバーを訪れています。

 幸いここのところ大きな凶悪事件に巻き込まれたというケースはありませんが、若者たちの中には、窃盗、カード詐欺、暴行の被害にあったり、交通事故に巻き込まれたりするケースがあり、さらに、ステイ先との住宅・賃貸契約上の問題などのトラブルは数多く発生しています。当総領事館に相談に来られた方にはトラブル解決のためのアドバイスをし、無事解決につながり、感謝されることもありますが、一方で、残念なことにカナダの法律や限られた滞在期間内の制約から、ご本人の満足ゆく結果が得られないこともあります。滞在者の方は警戒心を緩めることなく、慎重に行動することが望まれます。

 全世界の都市の中で在留邦人数の多さから言ってバンクーバーは8番目です。このように邦人の数が多いこと、そして、その中で永住者、あるいは永住希望者の割合が高いことから、婚姻、出生など身分関係に関する領事事務の種類は多岐にわたっております。

 なお、去る8月31日から9月4日までの5日間、当総領事館で第44回衆議院選挙の在外公館投票を実施しました。館員全員が選挙事務にかかわり、事前に何回もシミュレーションを繰り返し、やや緊張しながら本番に臨みました。幸い問題はなく投票は滞りなく終了し、全員ほっとしているところです。

 館員一同、邦人の皆様のニーズにできる限り応え、頼りがいのある総領事館と言ってもらえるよう日々努力しております。

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