在アトランタ総領事
小川 正二
アトランタはジョージア州の州都ですが、同時に最近急速に成長しつつある米国南東部全体の中心都市として目覚ましい発展を遂げています。人口の伸びでみれば、ジョージア州は1990年の約650万人から2003年の868万人へ、アトランタは同期間に約300万人から423万人へと成長してきました。単に数の上での増加だけではなく、人種の多様性でも大きく変化しつつあり、ヒスパニック系、東洋系などの人口増加も顕著で、コスモポリタン的な都市に様変わりしつつあります。
私は当地に着任してまだ3カ月ほどしかたっていませんが、アトランタ郊外にある東洋系食品スーパーマーケットの巨大さと、商品の多様さ、豊富さに圧倒されました。こんな大都会のアトランタですが、同時に南東部特有の緑の濃い自然の美しい土地でもあります。特に3月終わりから4月にかけての早春には花水木、ツツジ、マグノリアなどの花が一斉に咲き乱れ、高級住宅地の景色は天国のような美しさです。
私のアメリカ勤務は3回のニューヨーク勤務(国連代表部)の通算で約10年ですが、アメリカも北東部とここ南東部では全く違う雰囲気、人々の受け入れ方がかなり違うことを感じています。北の方は良く言えばクールであり、外交官、外国人を特別扱いすることはあまりありませんが、ここでは本当に大切にしてくれ、また、我々をビジターではなく、自分たちの仲間として受け入れてくれるような気がします。また、行動のペースも北に比べればスローでゆったり。早いペースに慣れた日本人にはイライラすることもありますが、時間がたち、こちらのペースに慣れれば心地よい気分になります。考えてみれば最近の人口増加は州外から、特に北からの人口流入によるものであり、生粋の南部人以外の人々も多くなっているはずですが、いまだ「南部ホスピタリティー」の伝統が維持されているのは、ここにある程度腰を落ち着けるとその心持ちが生まれてくるからでしょうか。
アトランタはこのように素晴らしいところですが、一つだけ大きな欠点があります。それは交通事情の悪さ。急激な人口増、経済発展に道路の能力が追い付かず、高速、一般の主要道路は常に渋滞の状況にあり、通勤、移動の大きな障害になっています。また、アトランタ周辺の道路はアメリカの他の都市によく見られるような東西南北の碁盤の目状ではなく、曲がりくねった道が多く、さらに途中から道路の名前が変わったりするので、新参者にとってはとても運転が大変な街であることを感じています。