平成19年9月
外務省では、大学生の国際問題に対する関心と理解を深めるとともに、ディベート能力を高めてもらうことを目的として、平成19年9月22日(土曜日)、東京の大東文化会館にて開催しました。
本年度の論題は、1)「日本政府が、日本の文化を海外で広報する場合に、伝統文化よりも、ポップカルチャーをより重視するべきである。」、2)「地球温暖化対策の実効性を高めるため、途上国(中国、インドを含む。)は、温室効果ガス削減の義務を負うべきである。」の2つでした。討論会当日は、29チームの参加があった意見書審査を経て本選出場権を得た4チーム12名の大学生によって極めて質の高い議論が交わされました。ステージで繰り広げられる白熱した議論に傍聴者も真剣に耳を傾けていました。優勝したのは、聖心女子大学チームでした。
討論会の終了後に行った懇親会には、審査委員や出場者、傍聴者の方々が出席しました。討論内容について議論する人々や、出場チーム同士で歓談する光景も見られ、終始和やかに有意義な意見交換をすることができました。
今回本事業の広報活動にご協力下さいました各大学、大学院、予備校等の教育機関の教職員の皆様に厚く御礼申し上げます。次回もより多くの学生の皆様のご参加を期待しております。
討論会の様子及び結果は次のとおりです。
審査委員の紹介(左から)
高島 肇久 氏 外務省参与
下村 郁夫 氏 政策研究大学院大学教授
柳下 正治 氏 上智大学大学院地球環境学研究科教授
赤松 直美さん 聖心女子大学文学部3年
角南 裕希さん 聖心女子大学文学部3年
牧田 未帆さん 聖心女子大学文学部3年
八塚 正晃さん 慶応義塾大学総合政策学部4年
瀬戸 なつみさん 慶応義塾大学総合政策学部4年
樋口 尚文さん 慶応義塾大学総合政策学部2年
笠井 南芳さん 慶応義塾大学法学部1年
上江州 仁さん 慶応義塾大学法学部1年
栗山 明子さん 青山学院大学経済学部1年
豊田 泰行さん 一橋大学法学部3年
大木 龍さん 早稲田大学法学部3年
井上 翔平さん 一橋大学法学部3年
立場が違うと述べているだけでは議論が発展しません。相手との議論の共有点と見解の違いが生じる分岐点を見つけることができるかできないかが優劣の分かれ目になります。共通の基盤を提示してから、補強・反駁を行えば説得的です。やはり、論題の背景・論点をどれだけ深く勉強して、理解しているかを見せることが一番重要です。論題を十分理解した上で、議論を組み立ててください。今度、私は温暖化対策について、政府、NGO、企業等の間の対話を促進する研究プロジェクトに関わっていきますが、本日の皆さんの議論も参考にしたいと思います。(柳下正治氏)
1.単純なYES,NOで答えることができない問題は、条件付けや場合分けをして議論するようにしましょう。
2.主張を述べる際にメモを読み上げるのは不適切です。箇条書きのメモで流れを確認するのはいいですが、最初の立論はできるだけ暗記しましょう。
3.事前に準備したメモにこだわらずに、議論の流れ(相手方の主張)に応じて主張の力点や攻撃点を変えましょう。
4.問題は事前にわかっていますから、その問題に関する今までの議論は勉強しておきましょう。答えにくい問題が提起されていたら,それを活用すべきです。
5.議論をする際には重要な用語を明確に定義しておくべきです。またその定義の範囲をすべてカバーするように議論すべきです。
6.本題に関する主張は十分開陳する必要がありますが、本題と無関係なことはいわないほうがいいです。譲歩しすぎて論拠が怪しくなったり、揚げ足を取られて不利になることがあります。
7.相手方の弱点はすべて取り上げて攻撃しましょう。また相手方の弱点を突くときには、攻撃のポイントを絞って議論してください。
8.討論の目的はある命題を支持するか否定するかですから、その命題について世間で共有されている論点に時間をかけても無駄です。その先の主張に時間をかけるようにしましょう。(下村郁夫氏)
各チームとも非常に優秀でした。1年生だけのチームもあって、ここまで準備してきたことに驚きました。大学が異なるチームの皆さんは、準備のための時間と場所を確保するためのご苦労があったのではないかと思います。このフォーラムは、将来、政府間交渉や国際機関、NGOあるいは企業等において情報発信し、合意形成を行っていくことのできる人材育成を視野に入れています。皆さんのこれからの活躍を期待しています。(高島肇久氏)
日時:平成19年9月22日(土曜日)13時00分~
場所:大東文化会館
※大東文化会館…東京都板橋区徳丸2-4-21
電話 03-5399-7399
東武東上線、東武練馬駅北口より徒歩5分
1:「日本政府が、日本の文化を海外で広報する場合に、伝統文化よりも、ポップカルチャーをより重視するべきである。」
2:「地球温暖化対策の実効性を高めるため、途上国(中国、インドを含む。)は、温室効果ガス削減の義務を負うべきである。」
※チームの構成は、全員が同じ大学・大学院在籍者でなくとも可とします。
※原則3名ですが、2名しか集まらない場合も可とします。
※事前審査を行い、上位4チームが本選出場権を獲得します。討論会本選(準決勝2試合および決勝戦)では、論題1ないし2について議論をして頂き、優勝チームを決定します。準決勝と決勝の論題は異なり、どちらの論題になるかは当日発表します。
※出場者の交通費は支給します(但し、通常の居住地から会場までの外務省規定額となりますのでご了承ください)。
1.肯定側立論 (5分)
2.否定側立論 (5分)
3.作戦タイム (1分)
4.否定側反論 (4分)
5.肯定側反論 (4分)
6.否定側反論 (4分)
7.肯定側反論 (4分)
8.作戦タイム (2分)
9.肯定側最終プレゼンテーション(8分)
10.否定側最終プレゼンテーション(8分)(実質45分)
※討論においては、日本の国益及び日本国民の利益を増進するとの観点を踏まえつつ、国際社会における課題をいかに解決すべきかとの問題意識から、具体的かつ論理的な立証を心掛けるものとします。
※反論は相手側のプレゼンテーションで提示された議論を受けて論を深めるものとします。最終プレゼンテーションでは、立論及び反論を踏まえたものとしそれまでの発言で触れられた点と全く関連のない議論は提示できません。
※試合中、チーム・メンバー以外の者から助言を受けることは禁止します。
※発言の速度や発声方法のために発言が聞き取りにくい場合、審査員が注意することがあります。
※討論は口頭のみで行うものとし、プレゼンテーション等において、パワーポイントやパネル等の使用を含む資料の提示は行わないものとします。なお、資料を引用する際には、その出典を口頭で明らかにして下さい。
時間 | 内容 |
---|---|
12時30分~ | 開場、受付開始 |
13時00分~13時20分 | 開会式 |
13時20分~14時10分 | 準決勝第1試合 |
14時15分~15時05分 | 準決勝第2試合 |
15時05分~15時15分 | 休憩 |
15時15分~15時20分 | 決勝戦進出チーム発表 |
15時20分~16時10分 | 決勝戦 |
16時10分~16時25分 | 休憩及び最終審査 |
16時25分~16時55分 | 決勝戦結果発表、表彰、講評 |
17時00分~17時30分 | 懇親会 |
※報道関係者による取材が行われる場合があります。また、外務省が広報目的で、大会当日の様子を撮影したビデオ、写真等を利用することがあります。予めご了承下さい。
『外務大臣賞』1チーム:賞状、トロフィー、記念品
『優秀賞』1チーム:賞状、トロフィー、記念品
『奨励賞』2チーム:賞状、記念品
討論会当日の傍聴者の参加を歓迎します。会場の座席の都合上、事前に申し込まれた方を優先させていただきます。傍聴を希望される方は、氏名・所属・連絡先(住所、電話番号、メールアドレス)を明記し、「傍聴希望」とお書きの上、以下の宛先までお申し込み下さい。(宛先省略)
※記載頂いた個人情報は適切に管理し、本事業を遂行するための連絡先情報として利用させて頂きます。御本人の同意なしに目的以外に使用することはありません。
外務省 大臣官房 国内広報課 03-3580-3311(内線2684)