平成21年10月
平成21年9月14日(月曜日)、京都において平成21年度第2回「外務省セミナー『学生と語る』」を開催いたしました。
その様子について、アンケートにご協力をいただいた参加者の感想を引用しつつ、紹介します。
(大臣官房 国内広報課 佐久間研二課長)
入省後の経歴、経験談を簡単に述べた後、世界における核軍縮の歴史的経緯を概観し、核兵器不拡散条約(NPT)体制とその課題、最近の核軍縮を巡る世界の動き、日本の基本的立場と核軍縮・不拡散への取組について、詳しく解説しました。また、日本の安全に直結する核問題として、北朝鮮の核・ミサイル問題をあげ、包括的な話し合いのできる六者会合の重要性を説明しました。
<参加者の感想>
「明日の日本外交を担う皆様へ」と題して、外務省の組織について簡単に説明した後、自身の語学研修、在外勤務の体験を通して外務省で働くことの魅力を紹介するとともに、採用に関する制度、外交官に求められる資質、よくある質問等について、自身の経験を交えてわかりやすく説明しました。
<参加者の感想>
(15時00分~16時30分)
全体講演終了後、6つの会場に分かれて分科会が行われました。各分科会のテーマについて外務省員によるプレゼンテーション、質疑応答、ディスカッションが行われました。
国際社会における国際機関の責務、国際公務員の責務、職務及び採用方法並びに準備の仕方、国際公務員に求められる人材像、邦人国際公務員の現状及び今後の増加の必要性、国際機関人事センターの支援等について、VTRを鑑賞した後、各種資料を交えつつ、説明しました。
分科会の質疑応答では、外交官出身の国際公務員とそれ以外の国際公務員との責務の違い、具体的なキャリアプランの立て方、理系ポストの種類、大学院のネームバリューの重要性、国際公務員就職に有利な大学院の専攻先の有無、必要不可欠な語学のレベル、JPO派遣制度における派遣先決定への候補者の関与の程度、JPO派遣制度受験生の年齢分布、国際機関で勤務することのやりがい等につき、率直な意見や質問が寄せられました。
<参加者の感想>
冷戦終結後の日本と欧州を取り巻く国際社会の変化及び第二次世界大戦後の欧州統合の経緯について概略説明するとともに、政治、経済、安全保障の面から日本と欧州がどのような関係にあるのかを説明しました。また、経済面で近年のBRICs諸国の台頭及び2008年の経済危機の発生により、日本と欧州の置かれた国際環境の変化が政治面等にどのように影響するのかについて参加者と意見交換を行いました。その上で日・EUの国際場裡での協力の現状と目的について説明しました。
質疑応答では、「日・EU協力のための行動計画」に基づき日・EU間で幅広い分野での協力関係が構築されているが、特に人的・文化的交流の促進の目的及び方法について質問があり、日・欧州間の人的交流の現状について説明するとともに欧州諸国の文化政策と日本の政策の現状について比較を行いました。また、世界経済危機によりユーロの影響力がどのようになるか質問があり、昨年の経済危機における欧州諸国の対応ぶり及びユーロの今後の可能性について議論しました。
<参加者の感想>
日本と中国の経済的、人的な関わりについて、数字の面からも概観するとともに、東シナ海資源開発問題を始めとする日中間での懸案の存在も踏まえ、成長する隣国としての中国とどのような外交を行っていくかについて説明しました。
質疑応答では、こうした説明を踏まえつつ、歴史問題の克服、世界の中での日中関係の在り方、米中関係との関係、将来のアジアにおける日中の協力の在り方など、参加者の皆さんの見解も共有しながら、広い分野について活発に意見交換を行いました。
<参加者の感想>
日本のODAの実績、地域別配分、政策枠組について説明した後、平成21年度のODA政策の重点事項について、特にアフガニスタン・パキスタン支援、ソマリア沖海賊対策、アフリカ支援、環境・気候変動問題を例に、ODAがどのような取り組みを行っているのか、その外交政策上の意義は何かについて解説しました。さらに、ODA予算の動向、諸外国の取り組み状況を紹介しました。
その後、質疑応答も交えつつ、アフリカ支援等を例にODAのあり方について参加者が意見を述べ合い、日本のODAの今後の方向性・目標について様々な見解が披露されました。
<参加者の感想>
メコン地域諸国の現状及び日本とメコン地域との関係・協力について、資料を用いて説明と意見交換を行いました。具体的には、(1)親日的なメコン地域諸国は、我が国外交の重要な資産であり、ODAや経済連携の推進を含め二国間関係の強化に引き続き取り組んでいること、(2)日CLV(カンボジア、ラオス及びベトナム)、日メコン(CLV及びタイ、ミャンマー)の枠組みを通じ、東西経済回廊整備等、メコン地域開発による地域内格差是正に取り組み、ASEAN統合を支援していること等を説明しました。
参加者からは、メコン地域におけるタイの役割、ミャンマーの民主化に向けた日本の取組、日本のアジア外交におけるメコンの位置づけと日米同盟の関係などについて質問や意見が出されました。
<参加者の感想>
分科会の前半は、近年主要国を中心に注目されるようになった「パブリック・ディプロマシー」や「ソフト・パワー」といった考え方を紹介しつつ、わが国の外交政策における広報文化交流の意義、相手国の有識者に対する政策発信から一般市民に向けた日本文化紹介にいたるわが国の具体的な取り組みについて、講師自身の経験も交えながら説明しました。
後半のディスカッションでは、わが国はソフト・パワーとハード・パワーをどのように効果的に組み合わせた外交を展開すべきか、ソフト・パワーとして活用すべき日本の魅力とは何か(伝統文化、ポップ・カルチャー、先端技術、価値観、外交政策等)、といったテーマにつき、参加者より様々な意見や質問が寄せられました。
<参加者の感想>
今回の「外務省セミナー『学生と語る』」には関西地域を中心に89名の学生にご参加頂きました。
ご参加頂いた方々からは、本事業について、様々な意見が寄せられました。頂いたご意見を参考に、本事業をさらに充実・発展させて参りたいと思います。
次回の「外務省セミナー『学生と語る』」は、平成21年12月22日、外務省において開催予定です。皆様のご応募をお待ちしております。
最後に、今回、本事業の広報活動にご協力いただきました各大学、大学院、予備校等の教育機関の教職員の皆様に厚く御礼申し上げます。