平成21年8月
平成21年7月24日(金曜日)、外務省において平成21年度第1回「外務省セミナー『学生と語る』」を開催いたしました。
当日のプログラムとその様子について、アンケートにご協力をいただいた参加者の感想を引用しつつ、紹介します。
はじめに、国際情勢の大きな流れ、特にパラダイム・シフトの起きる間隔が短くなっていると語った後、日本のODA政策の実績、地域別配分、政策枠組等について解説。続いて平成21年度のODA政策の重点事項を説明、なかでも最重点事項として位置づけられているアフガニスタン・パキスタン支援および環境・気候変動に関する取組について詳説しました。さらに日本のODA予算はこの12年間で4割減となり、2001年の9.11以降、国際社会はテロ対策として貧困対策が必要だとしてODAを増額している中で、日本だけが減少していると指摘。ODAは重要な外交手段であり、国内の厳しい財政状況はあるものの、日本が国際社会の中で果たそうとする責任を考えれば相応の貢献が必要だと強調しました。
<参加者の感想>
チャグチャランPRTの文民支援参加への経緯を語った後、現地での具体的な業務を紹介。チャグチャランPRTでの活動は、ひいては日本のアフガニスタン支援の評価につながる新しい取組であると語りました。
<参加者の感想>
講師自身の語学研修、在外勤務の体験を通して外務省で働くことの魅力を紹介するとともに、採用に関する制度、外交官に求められる資質、よくある質問等について、自身の経験を交えてわかりやすく説明しました。
<参加者の感想>
全体講演終了後、6つの会場に分かれて分科会が行われました。各分科会では、外務省員によるプレゼンテーション、質疑応答、参加者によるディスカッションが行われました。
冒頭、近代における日韓関係を俯瞰しつつ、国交正常化の過程における両国間の共通の課題に触れた上で、李明博大統領就任以降の日韓関係について、「シャトル首脳外交」、経済関係、文化交流等、種々のトピックに触れながら説明が行われました。その後、日韓間の共通の課題について、具体的な題材について説明を行いつつ、参加者が討論形式で自由に意見を述べ合いました。
朝鮮半島について関心を持っている参加者が多かったこともあってか、極めて活発な議論が行われ、実際の外交実務をも見据えた非常に有意義な議論が行われ、最後に講師から簡単なアドバイスがありました。
<参加者の感想>
国際社会において国際法が果たしている意義と役割、主権国家の並立する国際社会の基本構造とその反映としての国際法の特殊性や限界について概観した上で、日本が国際法の策定や適用、履行確保等の各場面でどのように主体的に関わっているのか、その中で直面する課題や今後のあり得べき方向性は何なのかといった点について、領土問題や戦後処理問題、北朝鮮によるミサイル発射等の具体的事例における対応を紹介しつつ、説明がなされました。
後半で行われた参加型の政策シミュレーションでは、国際刑事裁判所(ICC)による国家元首に対する逮捕状発付の事例を題材として取り上げ、参加者との間で様々な法的・政策的論点を検討しながら、同裁判所の意義や限界、日本が果たしうる役割について積極的な議論と考察がなされました。
<参加者の感想>
日本が外交政策上、力を入れている対アフリカ外交につき、各種統計資料をまじえつつ、変わりつつあるアフリカの姿やアフリカが依然として抱える諸課題につき概観するとともに、TICADやG8サミット等を通じた日本及び国際社会のアフリカ問題への取組について説明しました。
質疑応答では、資源や一次産品の輸出だけに依存しないアフリカ自身の経済的自立を促す支援の重要性、持続的な開発の実現に向けた汚職の撲滅や良い統治の促進、旧宗主国でない日本ならではのアフリカとの関わり方、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けた二国間、多国間の取組の役割分担、アフリカに関する日本国民の関心をより高めるための広報の強化等につき、率直な意見や質問が寄せられました。
<参加者の感想>
この分科会では、地政学的重要性を有し、その大きな潜在性とともに国際社会での存在感を増してきている南西アジア地域、とりわけグローバル・パワーとして台頭するインド及びテロ対策等国際社会の平和と安定のためにも重要なパキスタンと日本の関係について説明しました。参加者に自由な発言を求めながら、まずは南西アジア全体を概観し、インドに関しては「戦略的グローバル・パートナーシップ」の下の日印間の幅広い協力、パキスタンに関しては「テロとの闘い」における重要性、同国とアフガニスタンとの国境地域におけるテロ対策と国内避難民問題や日本の支援の取組を中心に説明を行いました。その後の質疑応答では、今後の同地域の方向性等につき学生から鋭い質問が寄せられ、活発な議論が行われました。
<参加者の感想>
地球環境問題に対する国際社会の取組の柱である多数国間環境条約について、その特質や実効性確保のための資金メカニズム等を概観するとともに、地球環境問題に対する日本の具体的取組・貢献について、途上国への資金・技術面での支援や生物多様性条約締約国会議の開催等を例に説明と意見交換が行われました。参加者からは、地球環境問題に関する幅広い課題について、様々な質問や意見が述べられました。
<参加者の感想>
講師からは、(1)ブッシュ政権8年間とオバマ政権半年間の日米関係の現状についての説明、(2)本年後半のオバマ米大統領訪日や来年の日米安全保障条約50周年に向け、日米同盟をどのように強化していくかといった点についての説明がありました。
参加者からは、日米安保体制、北朝鮮問題への対応、日米交流の強化など様々な観点から質問がなされ、また、参加者同士での積極的な意見交換が行われました。
<参加者の感想>
分科会終了後に行われた懇親会には、参加者に加え川村外務副報道官をはじめ分科会講師、入省1年目の若手省員など50名近くの外務省員が参加しました。参加学生と外務省員が熱心に語り合う姿が会場の随所に見られました。
その様子については下記の写真をご覧下さい。
今回の「外務省セミナー『学生と語る』」には200名以上の応募がありました。会場の都合により残念ながらご参加頂けなかった方々には深くお詫び申し上げます。
ご参加頂いた方々のアンケートでは、参加して良かったという感想をはじめ分科会テーマ、議論の進め方などについて様々なご意見、ご提案をいただきました。今年度は9月14日(月曜日)に第2回を京都(会場:京都テルサ)、第3回は12月22日(火曜日)に東京(外務省)にて開催を予定しております。アンケートに寄せられたご意見、ご提案を参考に本事業をさらに充実・発展させて参りたいと思います。
今回、本事業の広報活動にご協力いただきました各大学、大学院、予備校等の教育機関の教職員の皆様に厚く御礼申し上げます。