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平成20年度第3回「外務省セミナー『学生と語る』」
~結果報告~

平成21年4月

 平成21年3月19日(木曜日)、外務省本省において平成20年度第3回「外務省セミナー『学生と語る』」を開催いたしました。

 当日のプログラムとその様子について、アンケートにご協力をいただいた参加者の感想を引用しつつ、紹介します。

1.全体講演

開会挨拶
(大臣官房 国内広報課 弦本英一課長)


「国際情勢」についての講演(13時35分から~14時35分)
(経済局 政策課 三澤康課長)

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 三澤課長は、1989年オーストリア大使館勤務当時にベルリンの壁の崩壊、ルーマニア・チャウチェスク政権の崩壊を、1998年のインドネシア大使館勤務当時にアジア通貨危機と30年続いたスハルト政権の崩壊をそれぞれ間近で経験したことを通じて、「国際情勢は、半年前、1年前には予想できないことが起こりうる」と語りました。さらに今日の経済危機について「かつて世界経済はプラザ合意のように5か国で対応していたが、ロンドン金融サミットでは31の国や機関の代表で対応することとなり、そこでどのようなメッセージを発信できるかが問われている」と語りました。

(写真)

〈参加者の感想〉

「安全保障政策と海賊対策」(14時35分~14時40分)
(総合外交政策局 安全保障政策課兼海上安全保障政策室 今田克彦課長補佐)

(写真)

 今田課長補佐は国家の安全保障の意義について解説した上で、ソマリア沖の海賊対策について「これは日本国民の生命、財産の保護という日本自身の安全保障の問題」としてその重要性を語りました。

〈参加者の感想〉

「省員による体験談『ゼロからわかる外務省』」(14時40分~15時20分)
(欧州局 ロシア課 小野 健課長補佐)

(写真)

 小野課長補佐は、はじめに外務省で働くことについて、在外公館と本省での業務の違いを説明し、続いて外務省員の実際の仕事を、講師自身が携わった直近の案件を例に解説しました。具体的には 1)情報収集 2)情報の分析 3)政策立案 4)交渉 5)政策の実施 6)政策の評価の6つの業務について詳説し、さらに外務省の魅力とは何か、求められる資質とは何か等についても講演しました。

〈参加者の感想〉

2.分科会(15時40分~17時40分)

 全体講演終了後、6つの会場に分かれて分科会が行われました。各分科会では、テーマについて外務省員によるプレゼンテーション、質疑応答、ディスカッションが行われました。

「対中外交」
(講師:アジア大洋州局 中国・モンゴル課 太田 学課長補佐)

(写真)

 対中外交に関する参加学生の関心分野やそれに対する考え方、意見の発表を行いながら、これからの日中関係の在り方、グローバルな広がりの中での対中外交の在り方等について、外交戦略的な観点も踏まえつつ、意見交換が行われました。日中の二国間関係にとどまらず、国際的な問題に取り組んでいくという両国関係についての歴史的な経緯や大きな流れを踏まえつつ、現在両国が直面している個別の問題や論点についての解説等も行われました。

 この分科会では、安全保障、交流事業、経済関係といった幅広い日中関係をできる限り広い視点で捉え、それぞれの意義や問題点を考えていくとの観点から、積極的な議論が行われるとともに、参加者からも様々な発言がありました。

(写真)

〈参加者の感想〉

「米オバマ政権と日本外交」
(講師:北米局 北米第一課 山本武臣課長補佐)

(写真)

 オバマ米新政権下の日米関係の現状と今後について、(1)日米安保体制、日米経済を含む二国間関係、(2)北朝鮮、中国、ASEANを含むアジア太平洋地域情勢、(3)金融・世界経済、アフガニスタン・パキスタン、気候変動・エネルギー、アフリカ開発等のグローバルな課題への対処を中心に説明と議論が行われました。参加者からは、これらの幅広い課題に関する具体的な日米協力のあり方について積極的な意見交換がありました。

〈参加者の感想〉

「変容する国際システムと国連の役割」
(講師:総合外交政策局 国連企画調整課 中井裕一課長補佐)

(写真)

歴史的な観点から、今日の国際社会はどのように変化しているのか、また、そのような変化の中で、国連を始めとする国際機関は今後どのような役割を果たしていくべきなのかといった点について、参加者と意見交換しながらプレゼンテーションが行われました。参加者からは、日本が国連安保理常任理事国入りすることの意義、環境や開発、人権といった国際的な課題に対する国連・国際機関の取組などについて様々な質問や意見が述べられるなど、活発な意見交換が行われました。

〈参加者の感想〉

「軍縮のこれから」
(講師:軍縮不拡散・科学部 軍備管理軍縮課 浪岡大介課長補佐)

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 日本の外交政策の大きな柱の一つとして取り組んできている核軍縮について、世界の核保有国の現状とNPT体制の概観を行った上で、同体制が直面する今日的な課題と核軍縮に向けた最近の機運の高まり、日本の基本的な立場・取組に言及しつつ、今後のあり得べき核軍縮の方向性について説明がありました。

 この分科会では、随時、参加者に自由な発言や意見を求めながら、討論形式で実施したところ、参加者からは、米国の拡大抑止の下で日本が核軍縮を進めることの意義、唯一の被爆国として核兵器廃絶を追求する上で市民社会との連携、核軍縮政策についての国民への説明責任、最先端の科学技術を踏まえた宇宙空間における軍縮の可能性といった様々な論点について鋭い質問や意見が多数寄せられました。

〈参加者の感想〉

「日本の国際協力~政府開発援助(ODA)」
(講師:国際協力局 政策課 鈴木晶子事務官)

(写真)

 この分科会においては、まずDACにおけるODAの定義、実施スキームの概要、日本のODA実績及び地域・スキーム別配分等を概観し、次いで我が国のODA政策の枠組み、政策決定プロセス、ODA大綱に規定される理念・原則、平成20年度の政策的重点事項について、G8洞爺湖サミットやTICADIVの成果についても触れつつ説明が行われました。その後、近年減少傾向にあるODA予算の現状について、日本が近年行った国際公約、他の主要援助国との比較等を踏まえて説明し、最後に昨年10月に誕生した新JICAについて取り上げました。

 この分科会は、日本の重要な外交手段であるODAについて、政策・実施の枠組み、予算、ODA改革という切り口から可能な限り幅広い視点で議論を行う事を目的とし、参加者からはNGO、民間企業等との連携、今後のアフリカ支援のあり方など、近年の我が国ODAの中心的な課題について活発な議論が行われました。

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〈参加者の感想〉

「日本の中東外交」
(中東アフリカ局 中東第一課 山田哲也課長補佐)

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 中東の中でも特に中東和平を取り上げ、初めにイスラエル・パレスチナ紛争の歴史的経緯について概観した後、そもそも日本が中東外交を行うことにどういう意義があるのか、中東和平においてどのような役割を果たせるのかという観点から、参加者が自由に議論しました。最後に講師から、日本は中東外交にどう取り組もうとしているのか、実例を挙げつつ紹介がありました。

 参加者からは、「草の根レベルの交流を広げることが、ひいては日本とアラブの関係の深化や地域の安定につながる」、「日本は技術力と経済力という強みを活かして国づくりを支援することができる」といったアイディアが飛び出し、中東との意外な距離の近さを感じられたようでした。

〈参加者の感想〉

3.懇親会(18時05分~19時35分)

 分科会終了後に行われた懇親会には、兒玉外務報道官をはじめ幹部省員から入省1年目の若手省員まで40名近くの外務省員が参加しました。参加学生と外務省員が熱心に語り合う姿が会場の随所に見られました。

その様子については下記の写真をご覧下さい。

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最後に

 今回の「外務省セミナー『学生と語る』」には会場の都合により残念ながらご参加頂けなかった方々を含め150名以上の応募がありました。

 ご参加頂いた方々のアンケートでは、参加して良かったという感想をはじめ分科会テーマ、議論の進め方などについて様々なご意見、ご提案をいただきました。平成21年度は7月に第1回を東京(本省)、第2回は9月に京都、第3回は12月に東京(本省)にて開催を予定しております。アンケートに寄せられたご意見、ご提案を参考に本事業をさらに充実・発展させて参りたいと思います。

 今回、本事業の広報活動にご協力いただきました各大学、大学院、予備校等の教育機関の教職員の皆様に厚く御礼申し上げます。

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