イベント・募集案内

平成20年度第2回「外務省セミナー『学生と語る』」
~結果報告~

平成21年1月

 平成21年1月9日(金曜日)、京都において平成20年度第2回「外務省セミナー『学生と語る』」を開催いたしました。

 当日のプログラムとその様子について、アンケートにご協力をいただいた参加者の感想を引用しつつ、紹介します。

1.全体講演

「国際情勢」についての講演(12時00分から~13時30分)

 「国際情勢と日本外交」と題し、総合外交政策局 政策企画室長 小野日子が講演しました。

 小野室長は、日本を取り巻く国際情勢について日米同盟、朝鮮半島情勢、対中関係やロシア、EU、中東、アフリカなどの状況と今後の課題について概観した後、地球温暖化、核不拡散、開発問題等のグローバルな課題に日本はどう取り組むべきかを詳しく解説しました。なかでも地球温暖化問題については、日本は気候変動枠組条約の議長国として条約取り纏めに尽力したことをはじめ、優れた省エネ技術等を有する環境立国として主導的な役割を果たしており、将来の枠組み作りにおいて、日本がどう取り組むか、国際社会の注目を集めていること等を説明しました。

(写真) (写真)

<参加者の感想>

「若手省員による体験談」(13時30分~14時15分)

 続いて、人事課課長補佐 舟津龍一が、外務省の仕事と魅力、求められる人材等について講演しました。

 舟津補佐は外務省員の仕事の目的を「外務省設置法」に基づいて説明した後、具体的な事例を挙げて紹介。その中で、情報収集、情報の分析、政策立案、交渉、政策の実施、政策の評価の6つの業務について詳しく説明されました。さらに外務省の仕事の魅力を「公の魅力」と「個の魅力」に焦点を当てて語り、求められる人材については「日本」に対する熱意やintegrityある人材が求められると述べました。

(写真) (写真)

<参加者の感想>

2.分科会(14時30分~16時30分)

 全体講演終了後、6つの会場に分かれて分科会が行われました。各分科会のテーマについて外務省員によるプレゼンテーション、質疑応答、ディスカッションが行われました。

「アジア外交」
(講師:アジア大洋州局 地域政策課 中島英登事務官)

 日本の対アジア政策に関するプレゼンテーションの後、質疑応答が行われました。まずプレゼンテーションでは、日本にとってのアジア外交の重要性を強調しつつ、日中・日韓関係、北朝鮮問題、東アジア地域協力について、講師自身の業務における経験も踏まえた説明を行いました。プレゼンテーションを受けて、参加者から、「近年頻繁に起こっている首相交代に伴って対アジア外交はどう変遷してきたのか」、「アジア外交を重視することと日米関係を重視することは両立するのか」、「米国のオバマ新政権発足を受けて日本の対アジア外交は変化するのか」、「現下の金融危機への対応に関して日本はアジアにおいてどのような立場にあるのか」、「中国及び韓国との歴史問題へどう対応するのか」といった質問がなされ、活発な質疑応答が行われました。

(写真) (写真)

<参加者の感想>

「資源外交」
(講師:経済局 経済安全保障課 井上隼一事務官)

 資源問題に対する出席者の関心事項について聴取した後、我が国の資源外交に関するプレゼンテーションを行いました。ここでは、我が国のエネルギー・資源事情、特に輸入依存度の高さ、最近の原油価格の動向、エネルギー・資源を巡る様々な多国間枠組み、気候変動とエネルギー効率の問題等を説明し、我が国が直面する課題と挑戦を明らかにした後、資源外交の目標として、1)資源・エネルギー安定供給の確保、2)安定的な資源・エネルギー市場形成、3)エネルギー効率向上の世界への伝播、につき具体的に説明を行いました。また、食料問題に関し、穀物が国際的戦略物資となりつつある状況を説明しました。これを受けて、出席者から、米国や中国、ロシアの動向、資源外交の費用対効果、資源価格高騰への対応等について様々な質問があり、また、日本の省エネ技術等を使って如何に戦略的な資源外交を行うかについて活発な意見交換が行われました。

(写真) (写真)

<参加者の感想>

「経済連携協定(EPA)」
(講師:国際法局 経済条約課 神田鉄平課長補佐)

 日本が経済外交の柱の一つとして積極的に取り組んできている経済連携協定(EPA)について、はじめにその特長や日本の外交戦略における位置付けを概観しました。そして、諸外国の自由貿易協定(FTA)との比較も織り交ぜつつ、これまでに日本が締結したEPAの内容を振り返りました。最後に、今後の展望として、広域経済連携構想の見通しや米国新政権下での日米EPA/FTAの可能性といった論点を題材に取り上げました。

 この分科会では、日本のEPAを可能な限り広い視点で取り上げることを目的に、日本外交の基本的スタンスを意識した議論が行われたほか、看護師・介護福祉士候補者の受入れや米国新政権の誕生といった時事的な要素にも焦点が当てられ、参加者からは様々な論点について鋭い指摘が多数寄せられました。

(写真) (写真)

<参加者の感想>

「対アフリカ経済協力」
(講師:国際協力局 国別開発協力第二課 黒宮貴義課長補佐)

 はじめに経済協力の目的、現状、仕組、地域別の実績などについて説明がありました。その上で、明暗2つの面をもつアフリカの現状(経済成長を遂げる国が少なくない一方で発展を阻害する深刻な問題を抱える国も多い)と我が国の対アフリカ支援、2008年5月に開催された第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)の概要、同会議で我が国が表明した対アフリカ支援策についての説明が行われました。

 後半では、新聞記事などを材料にしつつ、我が国の対アフリカ支援は1)インフラ支援を中心にすべき、2)基礎生活分野支援を中心にすべき、の2つの立場につき、どちらの立場が適当か、なぜその立場をとるのかを参加者が発表する形で議論を行いました。

(写真) (写真)

<参加者の感想>

「環境問題」
(講師:国際協力局 地球環境課 菊地信之課長補佐)

 まず、講師より、環境問題の国際関係における位置づけ及び外交との関わりに焦点を当てて、地球環境問題及び同問題を巡る外交の特徴について説明がありました。引き続き、多国間環境条約交渉のシミュレーションが行われ、特定の状況下で、如何にして交渉に関する政策の検討と決定が行われるかについて、各参加者に、実際の交渉準備のための作業を経験して頂きました。最後に、シミュレーションを踏まえた上で、再度地球環境問題を巡る外交の特徴に関して再考しました。この演習を通じて、環境問題を巡る外交が、錯綜する様々な要素、利益、主体の中で、複眼的な視野を維持しつつ、自国の統一的な立場を作り上げ、主張していくという複雑な作業を要するものであることの一端を、参加者が実感する機会となったと思われます。

(写真) (写真)

<参加者の感想>

「人間の安全保障」
(国際協力局 多国間協力課 吉廣朋子課長補佐)

 はじめに、世界の貧困問題の現状について参加学生へのクイズ形式で概観した上で、講師から、我が国が外交政策の主要な柱の一つとして推進している「人間の安全保障」について、その定義や、国際社会での普及に向けた日本の取組、日本の国際協力における「人間の安全保障」の実践、更なる普及に向けた今後の課題などについて説明がありました。また、これに関連して、日本が国際機関と積極的に協力・連携していくことの重要性についても言及がありました。これを受けて、参加学生から、「人間の安全保障において人権はどのように位置づけられているのか」「この理念の下で難民問題に対していかなる対応が可能か」、「ODAの低下は、人間の安全保障の実現にとって望ましくないのではないか」など様々な質問が提起され、活発なやり取りが行われました。

(写真) (写真)

<参加者の感想>

最後に

 今回の「外務省セミナー『学生と語る』」には関西地域を中心に115名の学生の参加がありました。

 ご参加頂いた方々のアンケートでは、参加して良かったという感想をはじめ分科会テーマ、議論の進め方、開催時期などについて様々なご意見、ご提案をいただきました。

平成21年度においては、本事業は3回の開催を予定しております。アンケートに寄せられたご意見、ご提案を参考に本事業をさらに充実・発展させて参りたいと思います。

 今回、本事業の広報活動にご協力いただきました各大学、大学院、予備校等の教育機関の教職員の皆様に厚く御礼申し上げます。

このページのトップへ戻る
外務省セミナー「学生と語る」 | 目次へ戻る