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平成20年度第1回「外務省セミナー『学生と語る』」
~結果報告~

平成20年8月

 平成20年7月18日(金曜日)、外務省本省において平成20年度第1回「外務省セミナー『学生と語る』」を開催いたしました。

 当日のプログラムとその様子について、アンケートにご協力をいただいた参加者の感想を引用しつつ、紹介します。

1.全体講演

開会挨拶

 始めに、国内広報課長 弦本英一より開会挨拶がありました。

「国際情勢」についての講演(13時35分から~14時35分)

(写真)「国際情勢」についての講演

 最近のアフリカ情勢、TICAD IVについて、中東アフリカ局 アフリカ第一課長 牛尾滋が講演しました。

 牛尾課長は、アフリカの現状を述べ、国際社会の主要な問題がアフリカに集中しているとして、日本政府のアフリカ外交の考え方、中国、アメリカ、西欧のアフリカ外交、とくに資源外交について詳しく解説しました。参加者のアフリカ情勢に対する関心は高く、日本及び中国の対アフリカODA、最近のジンバブエ情勢などに関する質問には丁寧に回答しました。

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<参加者の感想>

「若手省員による体験談」(14時35分~15時20分)

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 続いて、人事課課長補佐 舟津龍一が、外務省の仕事と魅力、求められる人材等について講演しました。

 舟津補佐は、外務省の役割は何か、外交がなぜ重要なのかを冷戦後の国際政治の変化を通して詳しく解説した後、外務省の仕事の目的、国益とは何かについて話しました。また外交政策の立案・実施、「公」と「個」の魅力等について自身の体験を通して話し、最後に外務省で働くために学生としてやっておくべきことは何かなどについて話をしました。

(写真)

<参加者の感想>

2.分科会(15時40分~17時40分)

 全体講演終了後、6つの会場に分かれて分科会が行われました。各分科会のテーマについて外務省員によるプレゼンテーション、質疑応答、ディスカッションが行われました。

「北朝鮮問題」
(講師:アジア大洋州局 北東アジア課 柏原裕課長補佐)

(写真)「アジア外交」

 拉致・核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算した上で国交正常化を実現するという我が国の対北朝鮮外交の基本方針についての説明があり、その上で、日朝協議及び六者会合の経緯について分かりやすい解説がありました。

 参加者は、拉致問題と核問題を共に前進させる必要性と重要性につき理解を深め、そのための方策について議論しました。また、日本から見て六者会合の意義がどこにあるか、米国や北朝鮮にとっての六者会合の意義は何かにつき議論すると同時に、六者会合の最終目標を示した文書である六者会合共同声明(2005年9月に採択)の「深い」読み方について考察を深めました。

<参加者の感想>

「対欧州(EU)外交」
(講師:欧州局 政策課 戸田真介課長補佐)

 「対欧州(EU)外交」の分科会では、まず第1部としてEUがどんな組織なのか、また欧州統合の歴史と現状について、具体例に則した説明があり、その後質疑応答が行われました。

 次に、第2部として、基本的価値を共有し、国際社会の諸課題の解決のために重要な戦略的パートナーであるEUとの関係が、我が国外交にとってどのような意味を持っているのか、参加者との間で議論されました。また、本年4月の日・EU定期首脳協議で発出された共同プレス声明を題材に、日本とEUがどのような分野で交渉や協力を進めているのか、具体的な説明がありました。参加者からは、対EU外交で外務省が果たしている役割や仕事の内容について、活発な質問がありました。

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<参加者の感想>

「中東外交」
(講師:大臣官房 総務課 官澤治郎課長補佐)

(写真)「日米関係」

 「中東外交」に関する分科会では、中東地域の現状、我が国の中東との関係について議論が行われました。

 まず、現在の中東地域は、中東和平、イランの核開発問題、イラン、アフガニスタン等、多くの課題に直面している一方で、これら諸課題を解決するために域内各国、そして国際社会全体で様々な取り組みが行われていることについて説明がありました。参加者からは、現下の油価高騰などの影響もあり、一部の国々においては経済成長も実現しているので、中東地域の有する重要性は増しているとの意見もありました。

 また、歴史的な視点から我が国の対中東外交に関して説明がありました。その上で、我が国がどのように中東外交を進めていくべきか、参加者の間で自由な意見交換が行われ、今後は、エネルギー分野に限られない重層的な関係を構築していくべきとの意見が多く聞かれました。

<参加者の感想>

「日本の安全保障」
(講師:総合外交政策局 安全保障政策課 今田克彦課長補佐)

(写真)「人間の安全保障」

 国家安全保障(National Security)とは何か、「国家安全保障」の中で外交が占めるべきウェイト、外交と軍事力の関係、政府が「日本国の安全保障」に係る責任を果たす上で外務省に与えられている責任・役割とは何かといった観点をテーマとしてとりあげました。まず、外務省に与えられた任務とは何か、外交政策とは何かといった一般論について法的観点を含め確認した上で、抽象論をより具体的な形で理解するための題材として、1)北朝鮮による核実験実施発表に対する日本政府の反応、2)日本が平和協力国家を目指す意義、3)インド洋における補給支援活動等の意義、4)空港の完全民営化と安全保障の関係といった具体的な政策課題を取り上げ、参加者の意見を求めながら対話形式で説明を行いました。案件の性格上かなり抽象的な議論になりましたが、各課題等について参加者から自ら思うところなどについて積極的な発言があり、短時間ながら、実のある議論ができました。

<参加者の感想>

「ODA」
(講師:国際協力局 政策課 塚本康弘課長補佐)

 我が国のODA政策に関するプレゼンテーションの後、質疑応答を行いました。まず、プレゼンテーションでは、世界の貧困問題の現状、日本が援助を実施する理由、ODAの定義・実績、ODA政策の基本的枠組、我が国の援助の特色、2008年の取組について説明がありました。具体的には、貧困問題の現状ではデータやバングラデシュ等の具体事例等が挙げられ、また日本が援助を実施する理由としては、巡り巡って日本のためになるという考え方について、そして2008年は開発に関して我が国にとって非常に重要な年であること等について説明がされました。これを受けて、「ODA広報にどのように取り組んでいるのか」、「民間資金とODAの連携はどのように進んでいるのか」、「日本とドナーとの援助協調はどのように実施しているのか」、「日本の援助の特色は何か」といった質問があり、議論が進められました。

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<参加者の感想>

「広報・文化交流」
(広報文化交流部 総合計画課 齊藤順子課長補佐)

(写真)「人間の安全保障」

 「広報・文化交流」の分科会では、まず、パブリック・ディプロマシーとは何か、外務省において広報文化交流事業がどのように実施されているかについての説明が行われました。その後、参加学生同士で、「日本の魅力は何か」、「どのような方法で海外に日本の魅力を伝えたらいいか」、「国際社会に日本をアピールするための課題は何か」についてディスカッションを行い、様々な意見が出されました。

 更に、講師から、日本文化の発信の事例や海外における対日世論調査結果を紹介しつつ、外務省が日本の対外発信力の強化にむけて取り組んでいる課題について説明し、活発に質疑応答が行われました。

<参加者の感想>

3.懇親会(18時05分~19時35分)

 分科会後に行われた懇親会には、兒玉外務報道官をはじめ幹部省員から入省1年目の若手省員まで60名以上の外務省員が参加しました。ソフトドリンクを片手に、参加学生の質問や意見に耳を傾け、真剣に答えている姿が会場の随所に見られました。とくに今年は多くの女性省員の方が参加され、参加者の半数以上を占める女子学生から熱心な質問を受けていました。

 その様子については下記の写真をご覧下さい。

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最後に

 今回の「外務省セミナー『学生と語る』」には240名以上の応募がありました。会場の都合等によりご参加頂けなかった方々に改めてお詫び申し上げます。

 ご参加頂いた方々のアンケートでは、参加して良かったという感想をはじめ分科会テーマ、議論の進め方などについて様々なご意見、ご提案をいただきました。今後、第2回を明年1月に京都で、第3回を3月に東京(本省)で開催を予定しておりますので、アンケートに寄せられたご意見、ご提案を参考に本事業をさらに充実・発展させて参りたいと思います。

 今回、本事業の広報活動にご協力いただきました各大学、大学院、予備校等の教育機関の教職員の皆様に厚く御礼申し上げます。

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