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平成18年度第2回タウンミーティング「学生と語る」
~結果報告~

 平成18年1月10日(水曜日)、外務省において「平成18年度第1回タウンミーティング『学生と語る』」を開催致しました。当日は厳しい寒さの中、140名を超える学生の皆様にご参加頂きました。

 当日の様子について参加者の感想を引用しつつ、ご紹介致します。

(写真)開会挨拶

開会挨拶

(大臣官房 国内広報課 平下文康課長)

 まず、国内広報課 平下文康課長より開会挨拶がありました。

 皆様には外務省の国際会議場にお集まり頂きました。

全体講演

「国際情勢」についての講演(13時20分~14時00分)
(講師:国際協力局 高橋礼一郎参事官)

 全体講演は全参加者を対象に、外務省の国際会議場で行われました。

 最初の講演は、国際協力局 高橋礼一郎参事官による「国際情勢」についての講演でした。

(写真)「国際情勢」についての講演

 高橋参事官の講演は、通信・交通の発達に伴う外交のあり方の変化や、情報収集の重要性など、外務省の仕事の概要や外交全般に関する内容でした。

 外交官が交渉する時代から、総理や大臣が直接交渉する時代なる中で、現代における外務省の仕事の焦点とは情報を収集し、分析し、適切に伝達し、さらにそれに基づいて政策の選択肢を提示することである旨お話し頂きました。

 講演の終盤には満州事変に関する配付資料にも触れ、有田駐オーストリア公使(当時)があくまでも「国際協調主義」の下に「断然たる」態度で事変の拡大を阻止するよう幣原喜重郎外相(当時)に意見具申していたことについて、軍の独走の中で外交の役割について無力感もある中で当時外務省に勇気をもって、正論を語るべく、最後まで努力していた先輩もいたのだということを皆様にも知って頂きたいというお話がありました。

<参加者の感想>


「外務公務員の実情」(14時00分~14時35分)
(講師:中東アフリカ局 アフリカ第二課 木下 義貴事務官)

(写真)「外務公務員の実情」

 続いて、中東アフリカ局 アフリカ第二課 木下 義貴事務官より、「外務公務員の実情」についての講演がありました。実体験に基づき、外務公務員の国内外の仕事の実態や、研修期間についてお話し頂きました。

 若手でも責任ある仕事を任されることや、研修が終わったらすぐに日本を代表する外交官としての自覚が必要であることなどについてのお話がありました。外交政策の実施には多くの人が携わり、それぞれの意見が協議により反映されることなど、外務省の仕事をイメージしやすい講演だったことと思います。

<参加者の感想>


採用及び研修制度について(14時50分~15時20分)
(講師:大臣官房 人事課 高羽陽課長補佐)

(写真)採用及び研修制度について

 休憩の後、大臣官房 人事課 高羽陽課長補佐による採用及び研修制度についての講演が行われました。外務省員の仕事内容や、外交官に必要な資質(使命感、責任感、柔軟性)などについてのお話がありました。

 また、外務省の実務研修と語学研修制度の紹介がありました。

 実務研修はハードであるが、そのような中でも、語学研修の時間を週二回確保して、研修生の語学力の向上を図っていることなど、具体的な内容の講演でした。

<参加者の感想>

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分科会(15時35分~17時30分)

 全体講演終了後、6つの会場に分かれて分科会が行われました。各分科会テーマについての若手省員によるプレゼンテーションの後、意見交換や質疑応答が行われました。

「対米外交」(講師:北米局 北米第一課 吉武 将吾課長補佐)

「対米外交」に関する分科会では、日米関係の現状と今後の課題について、(1)二国間関係、(2)国際社会の諸課題への対応、(3)日米間のチャネルの強化・拡充の観点からの説明と質疑応答を行いました。二国間関係では、日米間の戦略対話、日米安保体制、日米経済のそれぞれについて、これまでの成果と今後日米で取り組むべき課題についての概略を説明しました。国際社会の諸課題への対応では、中国、北朝鮮等の東アジア情勢、イラク、イラン等の中東情勢に加え、国連安保理改革などを取り上げ、日米の取組のあり方について説明と議論を行いました。さらに、日米間のチャネルの強化・拡充では、「次世代」を含む人的交流が日米関係の基盤となっており、その強化に取り組む必要性について述べました。
 その後、「米国追従の日米同盟関係を脱却し、それぞれの国益に基づき率直に議論し合える、対等で持続可能な日米関係の構築が必要である」という意見について、賛成と反対の立場に分かれて、議論を行いました。参加者は、一般論としての議論のみならず、個別事例に基づき具体的な意見交換を積極的に行いました。
 日本外交の要である日米同盟について、こうした意見交換を通じて、理解が深まったのではないかと感じました。

(写真)「対米外交」

<参加者の感想>

「対中外交」
(講師:国際情報統括官組織 第三国際情報官室 林 和孝事務官)

対中外交の分科会は、国際情報統括官組織 第三国際情報官室 林和孝事務官が講師を務めました。
 まず、安倍総理訪中以前の日中関係は政治面では停滞していたが、経済や民間交流等幅広い分野でかつて無いほど緊密な関係が構築されてきたことに関して、客観的データ(貿易・投資統計の推移、中国の技術導入状況、人的往来状況等)に基づいた説明がありました。
 次に、政治面での関係停滞にもかかわらず、経済面等での関係緊密化が進んだ背景として、中国の側から見れば、日本との関係を重視せざるを得ないことがあることを、中国の内政事情等から説明しました。
 以上のような、日中関係の客観的現状、中国の対日政策の現状を踏まえた上で、日本としてはどのように対中関係を築いていくべきかに関して、ディスカッションが行われました。

(写真)「対中外交」

<参加者の感想>

「ODA」(講師:国際協力局 無償資金・技術協力課 江碕 智三郎課長補佐)

この分科会では、「日本にとって『戦略的ODA』とは何か」とのテーマの下、議論が行われました。まず、議論に先立って、参加者の情報・知識の共有を図るため、講師から、ODAの意義、政策立案の基本的枠組み、ODAの形態、予算及び国際社会における多様化するニーズの実態などにつき説明がありました。
  討議においては、参加者より近年のODA予算の削減傾向に懸念が示されるとともに、ODAをより効果的・効率的に実施していくための方途につき様々な意見が出されました。また、ODAの実態をより積極的に広報していくことや、外交戦略の中に一層効果的にODAを組み入れた形で援助を行っていくことなどにつき提案がなされました。

(写真)「ODA」

<参加者の感想>

「人間の安全保障」(講師:国際協力局 多国間協力課 山田 潤事務官)

この分科会では、約20名が参加者する中、日本外交の柱の一つである「人間の安全保障」についてプレゼンテーションと質疑応答を行いました。まず、プレゼンテーションでは、人間の安全保障の概念、概念が登場した国際社会の背景及び概念の外交政策への適用について説明を行いました。
  その後、質疑応答では、「日本政府による人間の安全保障基金や国際機関への拠出金が近年減少する中でどのように日本の影響力を確保するのか」といった日本外交が直面する厳しい現実を踏まえた質問や、「人間の安全保障と(人道的介入を是認する)『保護する責任』の概念の棲み分けがどのように行われているのか」といった専門的な質問が出され、参加された学生の方々の関心や知識のレベルの高さに驚かされました。こうした学生の方々の関心は実務担当者にとって励みになりました。

(写真)「人間の安全保障」

<参加者の感想>

「国際公務員になるには」
(講師:総合外交政策局 国際機関人事センター 松原 昭室長
    国連開発計画(UNDP)東京事務所 横井 水穂プログラム・マネージャー)

「国際公務員になるには」の分科会は、総合外交政策局 国際機関人事センター 松原昭室長及び国連開発計画(UNDP)東京事務所 横井水穂プログラム・マネージャーが講師を務めました。
  まず、「国際公務員になるには」とのテーマの下、まず、松原国際機関人事センター室長より、(1)国際公務員とは、(2)日本の国際社会における人的貢献等の観点から国際機関の邦人職員増強が我が国外交上の政策目標となっていること、(3)国際公務員に求められる人材像、(4)JPOプログラムを中心とした国際公務員になるための具体的方策、(5)外務省国際機関人事センターの業務、につき説明がありました。
  続いて、JPOから国際公務員となった横井UNDP東京事務所プロジェクト・マネジャーより、(1)国連職員としての自らの具体的経験、(2)職場としての国連、(3)国連で働くときの心構え、(3)国連で働くためのステップ等につき説明がありました。 最後に、質疑応答を行いました。

(写真)「国際公務員になるには」

<参加者の感想>

文化交流
(講師:広報文化交流部 総合計画課 高橋 徳嗣課長補佐)

文化交流の分科会は広報文化交流部 総合計画課 高橋 徳嗣課長補佐が講師を務めました。講師より文化交流の現状、現代国際社会における意義、今後の課題に分けて説明がありました。
  文化交流の現状としては、外務省の実施体制、在外公館における事業例、国際交流基金との役割分担、広報文化交流の手段とその外交上の意義、予算配分等について説明がありました。
  また、文化交流の現代国際社会における意義として、国際社会におけるソフトパワーの重要性の増大、ITやマスメディアの発達等の近年の状況変化を踏まえ、各国市民の外交上の影響力が高まってきたことを受けて、パブリック・ディプロマシーの意義を強調するとともに、国のイメージが重用視されていることが紹介されました。BBCワールドサービスの世論調査結果や「クール・ジャパン」と言われる世界的な現代日本文化ブームを指摘しつつ、日本が国際的に好印象を有する国であることが説明されました。
 さらに、今後の課題として、日本は、効果的にパブリック・ディプロマシーを展開する素地を有するも、国際放送、日本語教育といったツールの基盤が弱く、強化が必要であるとのお話がありました。また、対日認識が中国と韓国のみで極端に否定的であるので、相手国市民を巻き込んだ取組を強化していく必要があるとの説明がありました。
 参加者からは、最近の対中関心の高まりの中での日本語教育等の状況変化、文化交流の在り方の中長期的変遷、地方における国際交流の進展状況等について質問がありました。

(写真)文化交流

<参加者の感想>

懇親会(18時00分~19時30分)

 分科会の後に行われた懇親会には、国際協力局 高橋参事官、谷口外務副報道官をはじめとする幹部職員から入省1年目の若手職員まで、多くの外務省職員が参加し、学生の皆様と語りました。写真でその様子をご覧下さい。約一時間半にわたり、学生の皆様と外務省職員が生き生きと語る姿が講堂の随所で見られました。

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最後に

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 今回の「タウンミーティング『学生と語る』」は260通以上の応募があり、内143名の方に参加して頂きました。会場の都合等により、ご参加頂けなかった方々に改めてお詫び申し上げます。

 なお、今回全てのプログラムに共通して「時間をもっと取って欲しい」というご意見が多く見られました。また、「もっと議論したかった」というご意見も多数頂きました。皆様から頂いたご意見を参考に、今後ますます「タウンミーティング『学生と語る』」を充実・発展させていきたいと思います。

 外務省職員や国際公務員を目指す方はもちろん、外交の現場を覗いてみたい方、視野を広げたい方、同年代の学生と語り合いたい方など、様々な学生の皆様のご参加を今後もお待ちしております。

 末筆ながら、今回広報活動にご協力頂きました各大学・大学院等の教育機関の教職員の皆様に厚く御礼申し上げます。また、参加して下さった学生の皆様、本当にありがとうございました。

 なお、次回の「平成18年度第3回タウンミーティング『学生と語る』」は1月26日、京都での開催を予定しております。開催概要は追って報告致します。お楽しみに!!

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