
平成18年度第1回タウンミーティング「学生と語る」
~結果報告~
平成18年7月14日(金曜日)、外務省において「平成18年度第1回タウンミーティング『学生と語る』」を開催いたしました。当日は暑さの中、130名を超える方の参加を頂きました。
当日の様子について参加者の感想を引用しつつ、ご紹介いたします。
全体講演
「国際情勢」についての講演(13時20分~13時50分)

全体講演は全参加者を対象に、外務省の国際会議場で行われました。
最初の講演は、経済協力局 政策課 上村司課長による「国際情勢」についての講演でした。イラク勤務経験を軸とした中東関係に関する考察を中心として、戦略的な外交や日本の支援のあり方など多岐にわたる内容でした。
- イラク問題の複雑さ、またイラクの強い市民社会が崩れつつある状況において、日本のODAが果たせる役割は何かということを考えさせられました。(都留文科大学・Sさん)
- メディアを通じて得られる情報は、一側面でしかないということを実感しました。(慶應義塾大学・Kさん)
- アラブ世界のアイデンティティは国ではなくアラブという地域に、さらにはイスラムであるという事に帰属するという話に興味を持ちました。新しい世界の見方が提示され、非常にためになりました。(学習院大学・Sさん)
「外務公務員の実情」(13時50分~14時20分)

続いて、軍縮不拡散・科学部 不拡散・科学原子力課 佐藤慎市事務官より、「外務公務員の実情」についての講演がありました。実体験をもとにして、外務省員の仕事や、外交官として必要な能力、心構えについてお話がありました。
- 「外交官には体力が必要」「仕事が辛くても意識が高い人たちが周りにいるので、やめたいと思ったことはない」など、本音が聞けてよかったです。(国際基督教大学・Iさん)
- 「言葉を大切にする」という考え方に、強く共感しました。また、仕事に関するビジョンの持ち方から、佐藤さんの強い好奇心を感じました。私もそうした気持ちをもって働きたいです。(東京外国語大学・Tさん)
- 外務公務員のイメージが変わりました。実体験を聞いて、適応能力が大きいことと、自分が成長するために変化することは重要だと思いました。(青山学院大学・Yさん)
採用及び研修制度について(14時40分~15時10分)

休憩の後、大臣官房 人事課 小野健課長補佐による採用及び研修制度についての講演が行われました。外務省員の仕事内容や、外交官となる為の資質についての説明の後、質疑応答が行われました。
- 外務省で必要とされる人材について、人事課の方の率直な意見が聞けて参考になりました。(神戸大学・Kさん)
- 小野さんが携わった北オセチア共和国のお話は大変印象深く、テロがいかに国を壊していくのか、そしていかに日本が援助をしなければならないかを改めて感じました。(東京大学・Mさん)
分科会(15時30分~17時30分)
全体講演終了後、5つの会場に分かれて分科会が行われました。各分科会テーマについての若手省員によるプレゼンテーションの後、ディスカッションや質疑応答が行われました。
「アフリカ経済協力」(講師:経済協力局 国別開発協力第二課 北川裕久事務官)

- 日本のアフリカ経済協力の現状と課題についてODAを軸にしてわかりやすい説明がありました。なぜアフリカを支援するのかという問いに対して「相互依存関係にある我々の責務」という、表面的な定義ではない北川さんの強いメッセージが伝わってきました。(お茶の水女子大学・Iさん)
「対欧州(EU)外交」(講師:経済局 経済統合体課 谷内一智課長補佐)

- 講義、グループワーク、自由討論と、内容が豊富で満足できました。特にASEMについて日頃から疑問に思っていた事柄に一つ一つ答えてもらい、大変勉強になりました。(東京大学・Bさん)
- 対欧州また東アジア政策にも話が及び、とても充実した時間でした。グループ討論を通じて、実際に外務省内でどのような提案をし、施策につなげていくかという過程を知ることができて、とても貴重な経験でした。(慶應義塾大学・Kさん)
「国連外交」(講師:総合外交政策局 国連政策課 吉廣朋子事務官)

- 北朝鮮のミサイル問題や、平和構築委員会の話題など、非常にタイムリーな話題に関して多くの時間話して下さり、とても有意義でした。国連改革の話題では192ヵ国の加盟国を有する国連という場での「外交術」をお話し頂き、その視点・考え方・取り組み方等、興味深かったです。(東京大学・Hさん)
「日本の安全保障」(講師:北米局 日米安全保障条約課 前田修司課長補佐)

- 実務を行う外務省員ならではの視点での話が聞けて良かったです。特に二律背反と思うものでも、理論の立て方次第で物事の解決が可能であるというお話は新しい発見でした。(お茶の水女子大学・Tさん)
- 模擬的な事例をもとにグループでディスカッションを行ったことで、知的好奇心が刺激されました。(立命館大学・Hさん)
「国際公務員になるには」
(講師:国際社会協力部 国際機関人事センター 稲賀淑子室長
WFP国連世界食糧計画横浜事務所 中井恒二郎援助関係官

- 外務省と国連の関係や両機関の相違点のお話は非常に興味深く、現役の国連職員の方のお話を聞く機会があって良かったです。これからのキャリアパスについて具体的に考えるきっかけとなりました。(早稲田大学・Sさん)
- 「地球益」を考える国際公務員という仕事に非常に惹かれました。日本政府でも様々な形で国際機関への門戸を開いているのだということがわかりました。(海外の大学・Yさん)
最後に
毎回多数の参加申し込みを頂いておりますが、今回も会場の都合等により、希望者全員に参加して頂くことができなかったことをお詫び申し上げます。
今回ご参加頂けなかった皆様はもちろん、外交官や国際公務員を志す方だけではなく、「外交の最前線で活躍する外務省員の話を聞きたい」、「同年代の学生との意見交換を通じて国際問題の知識を深めたい」という方の、次回以降の積極的なご参加をお待ちしております。
なお、当日ご協力頂いたアンケートでは、運営方法等についての貴重なご意見やご要望を頂きました。今後、本事業がより良いものとなるよう、参考とさせていただきます。
最後になりましたが、各大学の教職員の皆様には、お忙しい中、学生の皆さんへの呼びかけにご協力頂きました。この場を借りて心よりお礼申し上げます。
本年度の「学生と語る」は、第2回を11~12月頃に関西地方で、第3回を年明けに東京にて開催する予定です。詳細が決定次第、随時外務省ホームページでお知らせしますので、お見逃しなく!