
平成17年度第1回タウンミーティング「学生と語る」
~結果報告~
平成17年7月12日(火曜日)、外務省において「平成17年度第1回タウンミーティング『学生と語る』」を開催いたしました。当日は暑さの中、170名を超える方の参加を頂きました。
当日の様子について、アンケートにご協力頂いた参加者の感想を引用しつつ、ご紹介いたします。
全体講演

全体講演は、170名を超える参加者が一堂に会する形で実施されました。
「国際情勢」についての講演(13時20分~13時50分)
イベントの最初は、広報文化交流部 文化交流課 片山和之課長による「国際情勢」についての講演でした。ご自身の経験をもとにした日中関係に関する考察を中心として、日米中の関係など多岐にわたる内容でした。

- 歴史的に大きな事件と、個人の体験がリンクしていて、外交官から見る中国の歴史は新鮮でした。
(津田塾大学・Eさん)
- 対中政策について、私自身感情的になりすぎていたことを痛感しました。
(東京外国語大学・Yさん)
- 外交官は単に国益を考えるだけでなく、相手国の様々な面を見つめながら、日本の将来のために働く仕事だということを学んだ。チャイナ・スクールというと、新聞では悪の代名詞のような扱いだが、信念を持って働く人々だとも考えるようになった。
(東京大学・Mさん)
採用及び研修制度について(13時50分~14時20分)
続いて、大臣官房 人事課 中村浩平課長補佐による採用及び研修制度についての講演が行われました。外務省員の仕事の内容や、外交官となる為の資質についての説明の後、質疑応答が行われました。

- 中村さんの、外交官という仕事にかける情熱がすごく伝わってきた。何十年もかけて自分をみがいてゆく仕事が外交官だという言葉が印象的だった。
(東京大学・Wさん)
- 「外交官として辛かった仕事は?」という質問に対しての答え《奥・井ノ上事件》に外交官としての実情について考えさせられました。
(東京外国語大学・Kさん)
- 外交官という職が、大変やりがいがあり、日本国のために、現場の職員の方がどんなに必死に対応していらっしゃるのかということが強く伝わってきました。
(神奈川大学・Sさん)
「外務公務員の実情」(14時40分~15時10分)
休憩の後、北米局 北米第一課 山田和美事務官より、「外務公務員の実情」についての講演がありました。ご自身の経歴と絡めながら、外務省員の仕事や、外交官として必要な能力、心構えについてお話がありました。

- 外交という仕事を通じて、自分自身をより成長させようとする姿に、とても感動しました。また日本の安全というお仕事に携わり、使命感を持った働きっぷりに、外交官としての強さが伝わりました。
(日本大学大学院・Hさん)
- とても楽しくお仕事をされているというのが伝わってきたため自分も一緒に仕事をしたいと思うようになりました。急にライス氏との食事会にご出席なされるなど、お仕事の一部が拝見できたので貴重な経験になりました。
(慶應義塾大学・Sさん)
- 現場の声が聴けて、ワクワクしました。自分の仕事に誇りを持てているのが素晴らしいです。
(青山学院大学・Yさん)
分科会(15時30分~17時30分)
全体講演終了後、6つの会場に分かれて分科会が行われました。各分科会テーマについての若手省員によるプレゼンテーションの後、ディスカッションや質疑応答が行われました。
「イラク問題」(講師:中東アフリカ局 中東第二課 中川浩一事務官)

- イラク問題の外交最前線におられる方の話はとても貴重だった。イラク問題に対しての一外交官としての本音や実情を伺うことができたし、ご自身のやりがいとされる部分もかなり伝わってきた。
(お茶の水女子大・Iさん)
- 本音で打ち解けた雰囲気で実感を語っていただけたことが本当に良かったです。自分の中で疑問であった、自分の意思に反する政策を推進するというジレンマが、国益に資するというより大きな軸によって解消されるということをうかがい、霧が晴れていくようでした。
(東京大学・Yさん)
「対欧(EU)外交」(講師:欧州局 政策課 大高準一郎課長補佐)

- 実際にEUと外交をしているという経験・実感から来る、確かな分析を聞くことができてよかったです。
(一橋大学・Kさん)
- EU諸国とEUとの外交の違いやEU統合のこれからへの見解はおもしろく拝聴いたしました。幅広い分野のテーマに答えていただき外交官として携わる仕事の分野の広さに驚きました。
(早稲田大学・Mさん)
「国連(1)」(講師:国際社会協力部 人権人道課 大塚建吾課長補佐)

- そもそも我々が守るべき「人権の価値」とは何かについて深く議論が出来、大変勉強になりました。
(東京大学公共政策大学院・Kさん)
- 国連の人権委員会は日本国内のメディアに出ることもあまりないため、それを専門にしている方のお話を伺うことができてとても幸運だと思う。「国益」というものに左右されがちな外交だが、たとえ政治性を帯びても、少しでも普遍的と思われる価値の実現に寄与する仕事はやはり魅力的だと思う。
(東京大学・Mさん)
「国連(2)」(講師:総合外交政策局 総務課 甲木浩太郎課長補佐)

- 何よりも前線に立って実務を行う講師の個人的な意見は、メディアからは知ることが出来ない参考資料となりました。
(上智大学・Sさん)
- 単に理念を語るだけではなく、いかに結果を出していくかを重視する、という実務者の視点を教えられたように思います。
(東京大学・Nさん)
「人間の安全保障」(講師:国際社会協力部 政策課 和田潔課長補佐)

- 不勉強な状態で参加させて頂いたのですが、人間の安全保障観をめぐる日本とカナダの対立等、要点を大変分かり易く話して頂きました。
(神戸大学・Uさん)
- 今まであいまいであった部分がある程度氷解し、これからの勉強に生かせる貴重な体験となった。ポストコンフリクトということで応急処置的な役割だけかと思ったが、各国機関の現地調査をもとに、意味ある草の根支援がされていると感じました。
(東京外国語大学・Sさん)
「国際公務員になるには」
(講師:国際社会協力部 国際機関人事センター 稲賀淑子室長
国連開発計画(UNDP)東京事務所 三上知佐広報・市民社会担当官)

- 現役の国連職員(UNDP)のお話を聞けたことで、キャリア形成・友人関係など具体的な公務員のイメージをもつことができ、有意義でした。
(一橋大学・Iさん)
- 国連をこれまで身近に感じたことはなく、いつも「あこがれはあるけれども、遠い存在」というイメージでした。しかし、今回のディスカッションを通じて、実際に現場で働いている方の意見をうかがい、自分の思っていたこととのちがいにおどろきました。
(早稲田大学・Hさん)
最後に
今回は予想以上に多くの方から参加の申し込みをいただき、ありがとうございました。会場の都合から一部の方にお断り申し上げましたことに、改めてお詫び申し上げます。
また、当日ご協力いただいたアンケートでは、この企画に対するご意見もいただきました。今後少しでも良いものとなるよう、参考とさせていただきます。
当行事は、外務省を志す方だけではなく、外交の最前線で活躍する外務省員の話を聞きたい、同年代の学生との意見交換を通して国際問題の知識を深めたいという方の参加もお待ちしております。
最後になりましたが、学生の方への参加呼びかけにご協力頂いた大学の教職員の皆さま、本当にありがとうございました。