議長,
我が国は,すべての人権及び基本的自由は国際社会の正当な関心事項であり,その保障は国家の基本的な責務であるという考えの下,それぞれの国・地域の特殊性や様々な歴史的・文化的背景を踏まえ,対話と協力の姿勢に立って,国際社会の人権の保護・促進に積極的に取り組んでまいりました。
普遍的な価値である人権及び基本的自由が各国において十分に保障されることは,平和で繁栄した社会の確立,ひいては,国際社会の平和と安定に資するものと認識しており,そのためには,各国が主要人権条約を締結し,その実施に努めることが重要と考えております。
我が国が締結している国際人権諸条約について,その国内実施に誠実に取り組んでいます。本年4月には,市民的及び政治的権利に関する国際規約の政府報告を行いました。さらに,本年9月には,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約第13条2(b)及び(c)の留保を撤回しました。
各国による人権諸条約の履行を確保し,人権状況の改善を達成するために人権条約体が果たす役割は大きく,我が国として,人権条約体強化の政府間プロセスを重視しています。現在の条約体の抱える中心的な問題は,政府報告審査等,各人権条約で明示的に規定された活動が十分に実施できていないことにあると考えます。各条約体の効率性が向上し,その活動が各国の人権状況の改善に効果的に資するよう,我が国として,引き続き本プロセスに建設的に参加していきます。
議長,
我が国は,普遍的に人権を促進する上での人権理事会の役割を評価しています。特に,対話及び協力を通じて,各国の人権状況の改善を促していく有意義な制度であるUPR(普遍的・定期的レビュー)を重視しています。我が国は,UPRをより実効的なメカニズムとするために有益との考えに基づき,昨年自主的なフォローアップを行いました。このような取組が加盟国の間で主流化していくことを期待しています。今月末には我が国に対する第2回UPR審査が行われますが,引き続きUPRに協力を行っていく所存です。
議長,
我が国は,2010年12月に策定した第3次男女共同参画基本計画に基づき,様々な分野で男女共同参画社会の実現に取り組んでいます。同計画においては,女子差別撤廃条約4条で言及されている暫定的特別措置について,より多くの数値目標を設定するなど取組を強化しており,このことは女子差別撤廃委員会からも歓迎するとの評価を受けました。30年にわたり指導的役割を果たしてきた女子差別撤廃委員会の活動に敬意を表すると共に,我が国としても引き続き同委員会と積極的に協力していく考えです。
我が国は,2007年に障害者権利条約に署名を行って以降,障害者やその家族を含む多方面の関係者の意見を参考にしつつ,本条約の締結のための国内準備を進めております。その中で,2011年7月に障害者基本法を改正し,本年5月,基本計画の策定のほかに,国内政策実施の監視機能も併せ持ち,障害者自身も委員として含む「障害者政策委員会」を設置しました。また,条約の趣旨を反映させ,国内法に「合理的配慮」の概念を含めた初めての例として,障害者に対する差別等を禁止する観点から,社会的障壁の除去の実施について「必要かつ合理的な配慮」がなされなければならない旨同基本法に規定しました。法改正等を通じ,引き続き,障害者の権利の保護のために取り組む所存です。
議長,
我が国は,今後とも人権の保護・促進のための国際的な枠組みへの改革努力を支持すると共に,そのための議論に積極的に参加する所存です。その観点から,人権理事会の取組に貢献すべく,本年の人権理事会理事国選挙への立候補を表明しております。また,こうした枠組みが効果的に実施されるよう,すべてのパートナーと協力していきます。
ありがとうございました。