2011年1月に正式に活動を開始したUN Womenが,戦略計画の6分野それぞれにおいて現場における成果をあげてきていることを歓迎。また,UN Womenがシステムレベルの行動計画(SWAP)の策定に加え,各国レベルでも国連システムによるジェンダーに対する取組を主導していることを評価。我が国は,執行理事国として,引き続き積極的に貢献していく所存である。
我が国は,昨年3月の東日本大震災からの復興プロセスにおいて,男女共同参画の視点を重視している。この努力の一環として,我が国は第56回国連婦人の地位委員会において「自然災害におけるとジェンダー平等と女性のエンパワーメント」決議を提出した。また,我が国は,2010年12月に策定した第3次男女共同参画基本計画に基づき,様々な分野で男女共同参画社会の実現に取り組んでいる。特に,第3次計画に基づく暫定的措置の取組強化については,我が国が昨年女子差別撤廃委員会に提出したフォローアップ情報の中でも報告し,委員会から高い評価を受けた。
更に,我が国は,経済社会分野における女性の活躍を促進することが日本の再生に不可欠であるとの認識に立ち,関係閣僚会議において,(1)男性の意識改革,(2)思い切ったポジティブ・アクション,(3)公務員から率先して取り組む,を3つの柱とした「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画を策定した。具体的取組が既に示されているものについて「日本再生戦略」(2012年7月閣議決定)の工程表に反映されており,それ以外の部分についても本年中にその行程表を取りまとめ,取組を進めていく予定である。
国際社会では,ジェンダーを含むミレニアム開発目標(MDGs)の2015年までの達成に向けた努力が続けられている。この一環として,我が国は,教育分野においては,2011年から5年間で35億ドルの支援を実施することを表明。スクール・フォー・オール・モデルを通じ,学校・コミュニティ・行政が一体となって包括的な学習環境改善を行い,女子生徒を含むすべての子どもたちに質の高い教育環境を提供することを目指している。保健分野においては, 2011年から5年間で50億ドルの支援を実施することを表明し,産前から産後までの切れ目のない手当てを確保する母子保健支援モデル”EMBRACE(エンブレイス)”を通じ,他の開発パートナーとともに,43万人の妊産婦の命を救うことを目指している。
我が国は,「人間の安全保障」を外交の柱として推進してきた。第66会期国連総会において,加盟国が人間の安全保障に関する共通理解に合意する決議を採択したことは大きな前進である。人間の安全保障の理念の下に,女性や脆弱な立場に置かれた個人を適切に保護し,彼ら自身の持つ豊かな可能性を実現し,能動的に社会参画していけるよう能力強化を図っていくことが重要。そのために我が国は国連人間の安全保障基金への拠出を通じた事業も数多く支援してきている。例えば,特に女性は人身取引の被害を受けやすいが,2011年に承認された「インドネシアにおける人身取引被害者の保護と能力強化」プロジェクトでは,政府やNGO,医療関係者等の能力強化を実施したり,学校教員やコミュニティリーダーに対して啓発や能力強化を行ったりすることにより,人身取引の被害者を適切に保護し,また予防するためのコミュニティ全体の能力強化を図るという包括的なアプローチによる支援を実現している。
女性・平和・安全に関する安保理決議1325の履行は国際社会の最重要課題であり,事務総長が策定した同決議の履行指標が早期にグローバル及び各国レベルで活用されることを期待する。加えて,我が国は,政治的・経済的移行期の国々の国づくりにおける,憲法・法律の制定・改正及び政治プロセスへの女性の参画を確保することの重要性を強く認識している。一例として,アフガニスタンでは,国際協力機構(JICA)を通じて,これまで10年に亘って女性課題省の体制整備を支援してきており,女性課題省を中心とした職員の行政能力の向上,そして貧困女性の社会的・経済的状況の改善に関する支援を行ってきている。
我が国は,加盟国,国際機関,市民社会とともに,より一層ジェンダー平等と女性のエンパワーメントの実現を目指していく決意を表明している。