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第67回国連総会第3委員会における
鷲見政府代表顧問ステートメント(和文骨子)
議題27「社会開発」
平成24年10月9日
(英語版)
(はじめに)
- 経済的・社会的不平等,改善しない雇用状況,停滞する経済は,人々のエンパワーメントを停滞させている。先進国も含め,世界の多くの国で,貧富の差が拡大し,「社会の二極化」が拡大している。国際社会全体がこの問題に対して協力して包括的に対処する必要がある。
- 特に,この問題による影響を受けるのは社会的弱者である。社会の多様化を考慮し,一人一人のすべての人権と基本的自由が尊重され,個人のエンパワーメントを促進する社会を作らなければならない。
(青年)
- 昨年は,中東・北アフリカや世界の様々な地域で,社会に参画する青年の力がはっきりと認識された。青年が自らの力を発揮して社会に参画することのできる環境を国際社会が作ることが必要。
- 青年の雇用は,世界各地で深刻であり,これは社会的安定と経済成長につながる喫緊の課題である。不安定な経済・金融情勢により,この問題はさらに悪化している。
- 本年6月,日本政府は,自ら職業人生を切り拓ける骨太な若者への育ちを社会全体で支援するための中長期戦略である「若者雇用戦略」を策定した。本戦略に基づき,高校・大学等での初年次からの教育活動全体を通じた体系的・系統的なキャリア教育の充実を図る。また,学校とハローワークが協力し,雇用のミスマッチの解消を図る。さらに,地域レベルでの若者の雇用支援事務所を設置し,キャリア・アップ支援を図る。
(障害者)
- 障害者の権利促進に対するモメンタムはここ数年で高まってきている。障害者権利条約は2006年に国連総会で採択されて以降,着実に締約国の数を伸ばしている。我が国は2007年に同条約に署名し,締結に向けた国内準備を進めている。その中で,2011年の障害者基本法の改正に基づき,本年5月,障害者施策を監視する機能を併せ持ち,障害者自身も委員として参画する「障害者政策委員会」を設置した。
- 2013年9月には,障害と開発に関するハイレベル会合が開催される。開発努力のあらゆる側面における障害者のアクセシビリティと包摂を確保するための努力を強化出来るよう,我が国は議論に積極的に参加したい。
(高齢者)
- 我々は,急速に進む高齢者社会に備え,高齢者の人権とエンパワーメントを促進する社会を実現することが重要。マドリッド行動計画は,世界の高齢化に合わせた政策を策定し実施する際の指針となるものである。我が国は,来年行われる第2回マドリッド行動計画のレビューを重視している。
(人間の安全保障)
- 本年9月,国連総会本会議で,私たち全ての加盟国は,人間の安全保障に関する共通理解に合意するという大きな進展を成し遂げた。人間の安全保障は,人間一人ひとりに着目しつつ,生存,生活,尊厳に対する広範かつ深刻な脅威に対処するアプローチであり,保護や能力強化を通じて人づくり,社会づくりを促す考え方である。今回合意した共通理解を基に,国連の3つの柱である,平和と安全,開発,人権が相互に連関し,補強し合うことを認識しつつ,人間の安全保障を推進することが重要。このために,我が国は,本年約1000万ドルを人間の安全保障基金に拠出することとした。
(ボランティア)
- ボランティアは社会参加を促し,人と人の絆を深めるものである。日伯両国は,第3委員会において「ボランティア主流化」決議案を【提出する予定である】。この決議は,国際的課題に対するボランティアの主流化と,多様なボランティア間の政策調整の強化に重点を置いている。多くの国がこの決議を支持することを期待する。
(おわりに)
- 社会のグローバル化や相互依存が深まる中,国際社会全体が社会的弱者を支援し,かれらの社会的統合とエンパワーメントを進めることが重要であり,我が国も引き続きこの課題に取り組んでいく。