平成20年10月21日
(英文はこちら)
議長、
世界人権宣言が採択されて、今年で60年になります。我が国は、人権が普遍的価値であり、世界のあらゆる場所で人権が促進され擁護されなければならないと固く信じるものであります。人権の保護及び促進を国際的に進めていくためには、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の活動が不可欠です。我が国は、人権委員会から人権理事会への移行期において国連人権高等弁務官として様々な功績を残されたアルブール前人権高等弁務官を評価するとともに、ピレー新人権高等弁務官の活躍に期待しており、引き続き最大限の協力をしていきたいと考えています。
議長、
我が国は、6つの主要な国際人権条約を締結し、その国内実施に誠実に努めるのみならず、世界人権宣言採択の翌年から、同宣言採択日である12月10日を最終日とする1週間を毎年「人権週間」と定め、人権尊重の考えを普及・促進させるため、全国的に啓発活動を行ってきました。世界人権宣言採択60周年に当たる本年は、世界人権宣言の意義や重要性を周知する良い機会と捉え、国内でも記念イベントを開催します。
また我が国は、本年4月には、児童の権利条約、武力紛争選択議定書、児童売買選択議定書、女子差別撤廃条約の政府報告書、8月には人種差別撤廃条約の報告書を国連に提出し、本年5月にはUPR審査、先週は自由権規約委員会による政府報告審査を受けました。我が国は引き続き国際人権条約を誠実に履行し、条約審査を通じて条約の国内でのより効果的な実施方法を真摯に検討し、今まで以上に人権が尊重される社会の形成に努めたいと考えています。
議長、
我が国は、人権分野の普遍的な基準・規範の形成における国連の役割を非常に重視しています。昨年、我が国は、強制失踪条約及び障害者権利条約に署名しました。我が国は、これらの条約が人権と基本的自由の完全な保障の確保・促進のために極めて重要であると考えており、今後、可能な限り早期の締結を目指して国内での検討を進めていきます。
議長、
人権理事会は、国際社会が託した期待に応え得る、真に実効的な機関となりうるかの極めて重要な局面にあります。我が国は、理事国の一員として、人権理事会が国際社会に期待された役割を果たせるよう、その活動を支持し続けたいと考えています。
人権理事会の重要な柱の一つとなる普遍的定期的レビュー(UPR)制度が開始され、我が国も、5月にその審査を受けました。UPRは、平等で効率的な、しかし同時に実効性のあるものとなるべきです。UPRが、そのフォローアップも含め人権理事会の有効なツールの一つとなり得ることを心から希望し、各国の審査にも積極的に関与するなど、我が国としても出来る限りの貢献を行う所存です。
議長、
世界人権宣言では、「言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として」宣言されています。つまり、基本的な人権を確保するためには平和や開発等様々な分野での包括的な取り組みが必要なのであり、これは、人間の生存・生活・尊厳に対する広範かつ深刻な脅威から人々を守り、能力強化を通じて人々の豊かな可能性を実現しようとする「人間の安全保障」の実現でもあります。
我が国は、あらゆる人権が擁護・促進され、世界人権宣言に謳われた「恐怖及び欠乏のない世界」が実現していくことを強く希望し、引き続きそのための協力を続けていく考えです。
ありがとうございました。