演説

国連の場における演説

防災と気候変動に関する閣僚級会合
奥田紀宏国際連合日本政府代表部大使ステートメント(仮訳)

平成20年9月29日

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議長、
御列席の皆様、

 はじめに、本日の会合の開催に対し国連事務総長に敬意を表すとともに、この重要な会合において発言の機会を得ましたことを光栄に思います。

 気候変動は、人間の安全保障や持続可能な開発に直結する重要な課題です。気候変動の影響の一つとして、自然災害は、サイクロン、洪水、干魃のような形で、世界的に益々増加・深刻化してきております。これら災害は、人々の生活と財産に対して、特に、後発開発途上国を含め災害に脆弱な国において甚大な被害を引き起こしています。我々はこれら災害による被害を軽減するために今すぐ行動を起こすべきです。特に、気候変動に適応するに当たり、我々は災害リスク削減のためにより厳しく対策を講じなくてはいけません。

議長、
 まず、防災のためにとるべきいくつかの対策について述べたいと思います。第1に開発政策において防災を主流化することが急務です。その意味で、我々は、防災を、持続可能な開発及び貧困撲滅のための措置に体系的に統合し、その実施ための具体的な優先事項を特定した兵庫行動枠組2005-20015を地球規模で実施していく必要があります。第2に、防災のためのもう一つの重要な措置は、より科学的でより正確なデータの集積です。それは、より精度の高い災害リスクの評価と気候変動の影響を含む自然災害の発生の高度な予測を可能とするでしょう。第3に、途上国、特に後発開発途上国は、気候変動の悪影響に対して脆弱であるので、我々は、資金動員に積極的に取り組むべきです。資金動員は、防災対策を含む気候変動の悪影響に対する適応措置を促進するために国際的に重要な事項です。

議長、
 我が国は、古来より、その位置、地形、地質、気象などの自然条件から様々な種類の自然災害に苦しんできました。これら災害に関する長年の経験を基に、防災に関する知見・技術を蓄積し、防災文化を育みました。今日、防災分野において国際的に主導する国である我が国は、我が国が有する防災に関する知見・技術を世界の他の災害に苦しむ国々においても活かすことを目指して、国際防災協力を推進してきております。

 我々人類が自然と共生していく限り、我々は、常に自然災害に対処しなくてはなりません。我が国は、全ての関係者に対して、防災を、気候変動と密接に関連する課題の一つとして、優先的に取り組むよう呼びかけます。そうすることによって、我々は災害に強い国、コミュニティーを構築することができるのです。

 ありがとうございました。

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