平成20年11月6日
カルザイ大統領
カーディリ運輸航空大臣
御列席の皆様
はじめに、麻生総理大臣の特使として、この度アフガニスタンを訪問し、カブール国際空港ターミナル建設計画の竣工式という記念すべき式典に出席できることを嬉しく思います。
アフガニスタンの紛争が終了した7年近く前、日本は、平和と復興に向けたアフガニスタン国民の努力をいち早く支持し、2002年2月に、その後の復興プロセスの端緒となるアフガニスタン復興支援国際会議を東京で主催しました。1990年代に国連難民高等弁務官として600万人のアフガン難民の保護に関わっていた私自身も、東京会議の共同議長を喜んで務めました。その後も、最初はアフガニスタン支援総理特別代表として、また、現在はJICA理事長として、アフガニスタンの平和と復興に携わってきました。
2002年の東京会議以降、これまでにアフガニスタンは、統治機構の設立から物的及び社会的インフラに至るまで多くのことを成し遂げました。実際、昨年12月にアフガニスタンを訪れた際、カブール市内が活気に溢れ、アフガニスタンがしっかりと前進しているのを見て、大変嬉しく思いました。
復興支援では、これまで約14.5億ドルの支援を実施し、今後はパリ会合で表明した5.5億ドルを着実に実施していきます。また、治安・テロ対策では、日本は国連と共に元兵士の武装解除を主導し、現在DIAGのプロセスを実施しています。また、インド洋における海上阻止活動への補給支援を実施しており、これらを「車の両輪」としてテロとの闘いに貢献しています。
この機会に、日本の他の取組についても紹介させて頂きます。日本は、教育、職業訓練、保健、農業、水供給、下水道、地方及び都市開発に集中的に取り組んできました。この空港の他にも、日本の支援により、これまで500以上の学校が建設・修復されました。JICAは、人口を吸収しきれずインフラが古くなったカブールにおいて、カブール首都圏開発マスタープラン調査を集中的に実施しています。日本の支援が今日の切実なニーズに応えるとともに、将来の機会を創出していくものと信じています。
カブール空港は国際社会との交流の窓口であり、復興を支える生命線です。日本はカブール空港整備に対して積極的に支援を行ってきました。2003年以降、機材及び空港車両を供与してき。今回は総額約3,000万ドルの国際ターミナル整備が完了したのに加え、空港管理職員のキャパシティ・ビルディングにも協力しています。
カブールに降り立つ外国人は最初にこのターミナルからカブールを目にします。アフガン国民にとってはこのターミナルは外国への窓口であり、目に見える復興の成果の象徴です。かかるターミナルが無事に完成したことを喜ばしく思います。治安が引き続き不安定な中、このターミナルは復興と前進の確固たる象徴です。建設工事を担った大日本土木、江平建設及び日本国際協力システム(JICS)、安全確保にご協力頂いたアフガニスタン政府関係者及びISAF関係者に対して感謝の意を述べたいと思います。こうした全ての努力の総体が本日の祝福に値します。
最後に、アフガニスタンの国造りは、国民のオーナーシップに基づき進められなければ達成できません。アフガン国民が復興を希望する限り、日本政府及び日本国民はアフガン国民の主体的な努力に対して可能な限りの支援をおこなっていきます。本日、竣工を迎えたこのターミナルが、コミュニケーション及び物流の拠点として有効な役割を担い、日本とアフガニスタンの協力、そしてアフガン国民の希望の象徴となることを期待しています。
ご清聴ありがとうございました。