演説

中曽根外務大臣メッセージ

空母「ジョージ・ワシントン」入港式典に際しての
中曽根弘文外務大臣のメッセージ

平成20年9月25日
於:横須賀

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シーファー大使、
ウィンター海軍長官、
蒲谷横須賀市長、
御列席の皆様、

 「ジョージ・ワシントン」入港式典の開催、誠におめでとうございます。私自身はこの式典に参加することは叶いませんが、皆様とともに式典に参加しているとの思いで、日本政府を代表してメッセージを贈らせていただきます。

 まず始めに、「ジョージ・ワシントン」の入港の実現に貢献された日米双方の関係者の方々に謝意を表します。とりわけ、ケリー在日米海軍司令官は、今回の入港の円滑な実現に多大なる尽力をされました。また、今回の「ジョージ・ワシントン」の入港の実現は、蒲谷市長を始めとする横須賀市の協力があってのことです。政府は、引き続き地元横須賀市及び日本国民の皆様の御理解を得られるよう、最大限努力していくことを、ここで改めて申し上げます。

 我が国の外交は、強固な日米同盟をその要(かなめ)としています。皆様もご存じのとおり、北朝鮮の核問題をはじめ、東アジアを巡る安全保障環境は引き続き厳しい状況にあります。その中で、この度、米国建国の父の名を冠する空母「ジョージ・ワシントン」が西太平洋に前方展開することは、強固な日米同盟への米国のコミットメントを象徴的に示すものとして、日本政府として心から歓迎するものであります。

 この「ジョージ・ワシントン」は、西太平洋に前方展開する空母としては、初めての原子力推進艦となります。日本国民は原子力の安全性に強い関心を有しています。今回の入港に際し、米国政府は、「ジョージ・ワシントン」を含めすべての原子力推進艦について、その安全性に関する従来のコミットメントを厳格に遵守し続けることを再確認しています。日本政府としても、引き続き、その安全性確保のため万全を期する考えです。

 明後年の2010年、現行の日米安保条約は署名50周年を迎えます。この半世紀にわたり我が国が平和と繁栄を享受できたのは、日米安保条約の下、この地域に確固たる米軍のプレゼンスが維持されてきたからに他なりません。そして、この瞬間にも、米軍人一人一人が、日米安保体制の下、日本の安全、ひいては世界全体の平和と安全のために、昼夜を分かたず自らの命を賭して尽力されています。このことに改めて敬意を表したいと思います。

 ジョン・ヘイリー艦長をはじめとする「ジョージ・ワシントン」乗組員の皆さんが、日本の文化や習慣を学ばれ、横須賀市民との友好を深め、皆さん一人一人が「制服を着た大使」として、日米親善に貢献されることを期待します。そして、今回の「ジョージ・ワシントン」の入港を受け、乗組員の皆様が良き隣人として日本滞在の楽しい思い出を作られ、横須賀、さらには日本が皆様の第二の故郷(ふるさと)となること、こうして日本を理解するアメリカ人の輪が広がっていくことが日米同盟の大きな財産となることを確信しつつ、私のメッセージとさせていただきます。

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