演説

高村外務大臣演説

高村外務大臣 新年のご挨拶

平成20年1月1日

 明けましておめでとうございます。謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 皆様方には旧年中、日本外交を力強く前進させる上で多大の御協力を賜りました。新年は、更に倍旧の御支援をお願い申し上げたいと存じます。

 2008年、我が国は5月に横浜で第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)を、7月に北海道・洞爺湖でG8サミット、これに先立つ6月に京都でG8外相会合を開催します。TICADは我が国を舞台とする5年に1度の会議で、G8サミットを日本が主催するのは8年に1度のことですから、両方を同じ年に開くのは40年に1度ということになります。今最も若い外務省員が、引退の間際、もう1回経験できるかどうかという滅多にない星回りです。両者を成功させるべく、私としても外務省員の先頭に立ってまいりますが、皆様にも御支援をお願いしなければならないゆえんです。

 この度ほぼ8年振りで外務大臣を拝命し、いくつか気づいたことがありました。その一つは、我が国が担う国際的責任が質・量ともに重大なものとなり、外相が負うべき責務もそれだけ重いものとなったということです。

 私は今回、大臣認証式のその日、外交旅券を手にするかしないうちから米国訪問の途につきました。日米同盟の大切さを、身をもって証明するためでありました。

 米国との関係は、申すまでもなく我が国外交の要です。人と人の交流を含め、日米関係を強くしていくのに骨身を惜しむべきではありません。強い日米同盟をよりどころとしてアジア諸国との関係をなお一層深化させること、その先に安定的で開かれた、繁栄と発展のアジアをつくっていくことは、日米共通の利益です。こういう積極的なアジア外交が、ひるがえって日米同盟の更なる強化に繋がるという、日米同盟とアジア政策の共鳴を図りたいものです。就任当日の訪米に、私はそんな思いを託したつもりでありました。

 また多国間外交を我が国が主役として担う機会も増えています。EASと称する東アジア首脳会議はその一つ。日本が主導し発足させたものです。この度は気候変動、エネルギー安全保障といったグローバルな課題を正にアジア自身の課題として取り組んでいく上で、日本として相応の貢献ができたと密かに自負しています。その後、関係閣僚の方々と共に中国を訪問し、日中ハイレベル経済対話の共同議長として、日中両国の戦略的互恵関係の推進に弾みをつけることができたと考えています。

 課題が山積する中、外交力の強化、すなわち外交の足腰を固めるための努力が必要であることは論を待たないところです。また、応援してくださる方々の期待に応えるため、外務省員たる者、今まで以上に精励しなくてはなりません。

 新年はこのように、誠に働き甲斐に満ちた年となるでありましょう。テロとの闘いや朝鮮半島をめぐる問題を精一杯やらねばならないことも、また言うまでもありません。読者諸賢に重ねてお力添えをお願いいたしますとともに、皆様の御多幸を心よりお祈り申し上げます。

このページのトップへ戻る
高村外務大臣演説平成20年演説目次へ戻る