
外務報道官談話
国際刑事裁判所(ICC)によるスーダン大統領に対する逮捕状発付について
平成21年3月4日
- 3月4日(水曜日)、国際刑事裁判所(ICC)予審裁判部は、オマル・ハサン・アフマド・アル・バシール(Mr. Omer Hassan Ahmed Al-Bashir)・スーダン大統領に対する逮捕状発付を決定しました。我が国はICC締約国であり、ICCの独立性及びその決定を尊重します。
- 我が国は、今回の決定がダルフール和平プロセスに影響することのないよう期待します。今回の決定にかかわらず、スーダン政府には、文民やPKO要員の安全を確保する責任を全うすることを求めます。またスーダン政府及び反政府勢力の双方に対し、AU・国連との協力関係、南北和平プロセス、ダルフール和平プロセス、人道・治安情勢に悪影響を及ぼすような行動を自制するよう求めます。
- 我が国は、ダルフールにおける「和平」と「正義」を両立させる道を国際社会が一致して、粘り強く探っていくことが必要であると考えます。
- 我が国は、今後もスーダンにおける和平プロセスを支援していくとともに、スーダン政府の責任のある対応を引き続き促していく考えです。
【参考】ICCによるスーダン・ダルフールに関する事態の捜査・訴追の経緯
- 2003年より、スーダン西部ダルフール地域において、政府の支援を受けたアラブ系民兵(ジャンジャウィード)と反政府勢力の間での戦闘が激化。現在は、政府軍と反政府勢力、反政府勢力間の抗争や反政府勢力の人道支援機関に対する襲撃などが頻発しており、現地の治安・人道状況は劣悪。現在までに約20万人の死者、約200万人の難民・国内避難民が発生したと言われている。
- 2005年3月、国連安保理は、このダルフール地域における事態をICC検察官に付託する決議第1593号を採択(賛成11(含:日本)、反対0、棄権4)。2007年2月、同検察官は現職閣僚を含む2名の被疑者を特定し、逮捕状の発付を請求。ICC予審裁判部は逮捕状を発付するも、スーダン政府は協力を拒絶(現在まで逮捕されず)。
- 2008年7月、ICC検察官は、集団殺害犯罪、人道に対する犯罪及び戦争犯罪の容疑で、バシール・スーダン大統領に対する逮捕状をICC予審裁判部に請求。
- 3月4日午後2時(オランダ時間)、ICCは、予審裁判部第1部がバシール大統領に対する検察局からの逮捕状発付請求に基づき、人道に対する犯罪及び戦争犯罪の容疑に関する逮捕状を発付する旨決定を行ったと発表。