(参考)
1. 国民投票の結果(速報)
現地テレビ局の出口調査によれば、新憲法案に対する支持率は、58.3%であり、モラレス大統領は新憲法が承認されたとして勝利宣言を行った。公式発表までには、1週間程度かかる見通し。
なお、新憲法案によれば、次期大統領選挙・総選挙は、本年12月6日に実施予定。
2. 新憲法制定を巡る経緯
(1)モラレス大統領は、2005年12月の大統領選挙時から憲法改正を公約とし、大統領に就任後も、先住民の権利拡大、地方分権推進、農地改革をその柱として掲げてきた。
(2)その後、この3点は政府と東部4県を中心とする反対勢力の対立の争点となり、憲法改正国民投票は度々延期されてきた。2008年5月~6月には更に急進的な地方自治を要求する東部4県が独自の自治憲章の制定の是非を問う県民投票を実施し(いずれも80%以上の賛成を獲得)、同年8月には、大統領、副大統領及び各県知事に対する不信任国民投票が実施されたが(その結果、大統領及び副大統領は信任(支持率67%)、ポトシ県、オルロ県及び東部4県知事も信任)、同投票後も政府・与党と東部4県・野党の間には対話が成立せず、対立は一時更に激化した。
(3)2008年9月、南米諸国連合(UNASUR)を始めとする国際社会の働きかけにより、漸く両者は対話を再開し、同10月新憲法案の内容につき政治合意を見、今般の国民投票実施に至った。
3. 新憲法案の概要
(1)先住民の権利拡大:下院における先住民の比例的参加の保障、先住民裁判権の導入等、疎外されてきた先住民の権利を保障・拡大。
(2)地方分権推進:先住民族固有の規範による自治を認める。また、地方自治体の長に対する直接選挙制を導入。さらに、2006年の地方自治に係る国民投票において、賛成多数となった東部4県(東部のサンタクルス県、ベニ県、パンド県及びタリハ県)は本憲法施行直後から地方自治を導入可。また、自治憲章に大統領令を上回る優位性を付与。
(3)農地改革・土地所有制限:土地無し農民・先住民に土地を分配する観点から、土地所有に上限(5,000ヘクタール)を設定。但し、適用を新憲法施行後に取得する土地に限定し、経済的・社会的機能を果たしている限りは、接収されない。
(4)国家制度:大統領、国会議員とも1回のみ連続再選可(注:現行憲法下では、大統領は連続再選不可、国会議員は再選可)。
(5)天然資源・外国投資:天然資源の所有権は国家の独占的な権限であり、その使用・開発権は、憲法及び法律に従って決定される。技術・経済・環境に関する規則が遵守されない場合には、権利が剥奪又は取り消される。天然資源開発は、国家の主導の下、地域住民との協議に付される。自国の投資は外国投資に優先する。