談話・コメント

外務報道官談話

アルメニアにおける非常事態について

平成20年3月2日
  1. 3月1日(現地時間)、アルメニアの首都エレヴァンにおいて、2月19日に行われた大統領選挙の結果に対して抗議デモを行っていた野党勢力と治安当局との間で衝突が発生したことを受け、コチャリャン大統領が20日間を期限とする非常事態令を発出したことにつき、我が国は憂慮の念を以て事態を注視している。
  2. 我が国は、アルメニアが進めてきた民主化・市場経済化のための改革努力を一貫して支持してきた。政権側と野党側双方が自制しつつ対話を行うことにより、情勢が平和的に安定化し、同国が今後とも改革の推進に努めていくことを強く期待する。

【参考1】非常事態令発出の経緯

(1)2月19日、アルメニアでは、任期満了に伴う大統領選挙が行われ、与党候補のサルキシャン首相が得票率52.8%で当選し、テル・ペトロシャン候補(初代大統領)は次点となった(得票率21.5%)。欧州安全保障協力機構(OSCE)等の組織した国際選挙監視団は、選挙が概ね国際基準に合致していた旨評価した。しかし、テル・ペトロシャン候補の支持者は、右選挙結果が不正であるとして、選挙直後からデモ・集会等の抗議行動を継続していた。また、バイブルチャン外務次官、ジャンギリャン検事副総長など政府高官が相次いでテル・ペトロシャン候補支持を表明し、罷免されるという事態となっていた。

(2)3月1日早朝、エレヴァン市内の自由広場で行われていたテル・ペトロシャン陣営の集会に対して、治安部隊が強制解散措置を発動。警察側の説明によれば、野党側が集会参加者に武器を配布し、大規模な騒乱を計画しているという情報を入手したため、検査の実施を試みたところ、これに集会参加者側が石と瓶を投げて抵抗したため、強制解散に踏み切った由。その後、一部の集会参加者は、自由広場からフランス大使館前に移動して集会を続け、これに対し、1日12時頃、警察部隊が強制排除を行い、再び衝突した。同日夜9時30分頃、コチャリャン大統領がエレヴァン市に非常事態令を発した。

【参考2】今次非常事態令の概要

 報道によれば、非常事態令により、首都において集会、デモ行進等が禁止される他、政党及び社会団体による事態打開を阻害する活動の中止、マスコミによる報道の制限、許可なきビラ作成の禁止、人の移動・交通の制限等が行われる。

【参考3】負傷者数等

 アルメニア保健省の発表によれば、衝突の結果、31名が負傷した(市民1人が死亡したとの一部報道もあるが、警察はこれを否定)。また、テル・ペトロシャン元大統領が自宅軟禁されているほか、最高検察庁報道官によれば、警察は15名を拘束し、大規模騒乱、違法な武器所持等の刑法違反により告発する由。

【参考4】在留邦人の安否確認

 在ロシア日本大使館より、アルメニア在留邦人(2名)の安否は電話にて確認済み。

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