【参考1】非常事態令発出の経緯
(1)2月19日、アルメニアでは、任期満了に伴う大統領選挙が行われ、与党候補のサルキシャン首相が得票率52.8%で当選し、テル・ペトロシャン候補(初代大統領)は次点となった(得票率21.5%)。欧州安全保障協力機構(OSCE)等の組織した国際選挙監視団は、選挙が概ね国際基準に合致していた旨評価した。しかし、テル・ペトロシャン候補の支持者は、右選挙結果が不正であるとして、選挙直後からデモ・集会等の抗議行動を継続していた。また、バイブルチャン外務次官、ジャンギリャン検事副総長など政府高官が相次いでテル・ペトロシャン候補支持を表明し、罷免されるという事態となっていた。
(2)3月1日早朝、エレヴァン市内の自由広場で行われていたテル・ペトロシャン陣営の集会に対して、治安部隊が強制解散措置を発動。警察側の説明によれば、野党側が集会参加者に武器を配布し、大規模な騒乱を計画しているという情報を入手したため、検査の実施を試みたところ、これに集会参加者側が石と瓶を投げて抵抗したため、強制解散に踏み切った由。その後、一部の集会参加者は、自由広場からフランス大使館前に移動して集会を続け、これに対し、1日12時頃、警察部隊が強制排除を行い、再び衝突した。同日夜9時30分頃、コチャリャン大統領がエレヴァン市に非常事態令を発した。
【参考2】今次非常事態令の概要
報道によれば、非常事態令により、首都において集会、デモ行進等が禁止される他、政党及び社会団体による事態打開を阻害する活動の中止、マスコミによる報道の制限、許可なきビラ作成の禁止、人の移動・交通の制限等が行われる。
【参考3】負傷者数等
アルメニア保健省の発表によれば、衝突の結果、31名が負傷した(市民1人が死亡したとの一部報道もあるが、警察はこれを否定)。また、テル・ペトロシャン元大統領が自宅軟禁されているほか、最高検察庁報道官によれば、警察は15名を拘束し、大規模騒乱、違法な武器所持等の刑法違反により告発する由。
【参考4】在留邦人の安否確認
在ロシア日本大使館より、アルメニア在留邦人(2名)の安否は電話にて確認済み。