談話・コメント

外務報道官談話

最近のイスラエル・パレスチナ情勢について

平成19年5月21日

  1. 我が国は、最近のガザ地区の情勢を深く憂慮する。我が国は、パレスチナ武装勢力によるイスラエル領へのロケット攻撃に対し強い遺憾の意を表明するとともに、イスラエルに対し、無辜のパレスチナ人の生命や、生活インフラへの損害を回避するよう要請する。
  2. このような事態は、平和を望む多数のイスラエル・パレスチナ一般市民の生命を脅かすものであり、「二国家解決」に基づくパレスチナ問題解決への人々の希望に反するものである。
  3. 我が国は、事態の更なる悪化をもたらさないよう、イスラエル・パレスチナ双方に対し、最大限の自制をもって対応することを強く求める。我が国は、引き続き、中東和平プロセスの一刻も早い再開に向け積極的に取り組むとともに、パレスチナ内部の対立を克服し、イスラエルとの和平に取り組むアッバース・パレスチナ自治政府大統領の努力を支援していく考えである。

【参考】最近のイスラエル・パレスチナ情勢
(ファタハとハマスの衝突)

  1. ファタハとハマスの衝突

    (1)5月に入っても、パレスチナ、特にガザ地区の治安の悪化は継続。派閥間の衝突や、パレスチナ武装勢力によるイスラエルに対するロケット攻撃が継続。

    (2)このような事態の悪化を受け、5月10日、アッバース大統領傘下の治安部隊がガザ地区に展開したところ、ハマスは右措置を非難し、ファタハとハマスの対立が再燃。13日より、ガザ地区において両派の武力衝突が発生し、14日、カワスミ内務庁長官(独立系)は、両派から十分な協力が得られないとして抗議し、辞任が確定(:辞表提出は4月23日)。その後も両派の間で衝突と停戦が繰り返され、19日に、5度目となる停戦が発表されたが、依然予断を許さない状況。なお、アッバース・パレスチナ自治政府保健庁によると、13日から16日の間の衝突により47人が死亡、210名が負傷。

  2. ハマスによるイスラエル攻撃及びイスラエル軍による軍事行動

    (1)5月15日、ファタハとハマスの衝突が激しくなる中、再びハマス軍事部門はカッサーム・ロケットによるイスラエルへの攻撃を実施。同日から3日間で約40発のロケットがイスラエル領内に着弾し、イスラエル人約30人が負傷。

    (2)これに対し、16日、イスラエル軍は、ハマス治安本部を空爆、少なくとも4人死亡、40名以上が負傷。また、17日には同軍の戦車数台が、ガザ地区北部に侵攻し、境界付近に展開。その後もハマスのカッサーム・ロケット攻撃とイスラエル軍による空爆は継続。イスラエル放送によると、イスラエル軍の攻撃による死者は30名を超える。20日にはイスラエル軍の空爆により、ハマス所属の国会議員家族8名が死亡した。

    (3)20日、イスラエルの治安閣議では、ガザ空爆とハマス活動家の暗殺作戦強化を決定。

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