
外務報道官談話
パレスチナ挙国一致内閣樹立の合意について
平成19年2月9日
- 我が国は、8日、サウジアラビアのメッカで協議を続けていたアッバース・パレスチナ自治政府大統領と、マシュアル・ハマス政治局長が、パレスチナの政治的混乱を収拾させるべく、挙国一致内閣の樹立について合意したことを、和平プロセス再開に向けた前向きな一歩として評価する。
- 我が国としては、本合意を受け、暴力が終結し、新たな内閣がイスラエルとの和平プロセス前進に取り組むことを強く期待するとともに、今後の動向を引き続き注視していきたい。
- また、我が国は、サウジアラビアによる、挙国一致内閣の樹立に向けた仲介努力を高く評価する。
【参考1】挙国一致内閣樹立の合意(報道等とりまとめ)
- 2月8日、サウジアラビア政府の仲介で、イスラム教聖地メッカで協議を続けていたアッバース・パレスチナ自治政府大統領と、マシュアル・ハマス政治局長(ハマス実質的指導者)は、挙国一致内閣の樹立で合意した。
- 同日、アッバース大統領は、ハニーヤ現首相(ハマス幹部)に対し、組閣を命じる書簡を発出し、パレスチナ基本法が定める期間内(基本法は、大統領による指名から3週間以内、但し更に2週間延長が可能と規定)に次期パレスチナ自治政府内閣を組閣すること、及びアラブ、国連による諸決議やPLOが署名した合意事項を尊重すること等を要請。
【参考2】挙国一致内閣樹立に向けたこれまでの動き
- 昨年6月以降、ファタハ(アッバース大統領の支持基盤)とハマスの間で挙国一致内閣成立に向けて交渉が断続的に行われきたが、度重なる交渉は難航。昨年12月、アッバース大統領は、挙国一致内閣の樹立が最良の解決法としながらも、これ以上の状況の悪化を避けるため、大統領選挙及びPLC(議会に相当)選挙の早期開催を表明。
- ハマス側はこれに反発し、ファタハ、ハマス間での衝突が頻発。1月21日に、シリアでアッバース大統領とマシュアル・ハマス政治局長(実質的指導者)が会談し、内部衝突の停止、挙国一致内閣のための対話継続で合意したが、25日、再び対立が激化し、報道では30人以上が死亡した模様。29日には両派は再び停戦に合意。2月1日にファタハ系治安部隊がガザ・イスラム大学(ハマスの拠点の一つ)を急襲したこと等を契機に再び衝突、死者17人、負傷者200人以上にのぼった。