
コンゴ民主共和国 大統領選挙第2回投票コンゴ民主共和国国際平和協力隊(日本政府派遣選挙監視団)所感
平成18年10月31日、キンシャサにて
- 10月25日から31日にかけ、日本政府により派遣されたコンゴ民主共和国国際平和協力隊(以下「当監視団」という。)5名は、コンゴ民主共和国(以下「コンゴ(民)」という。)の首都キンシャサ市内の中心部ゴンベ地区を主要な活動地域として同国の大統領選挙第2回投票(決選投票)の監視活動に従事した。当監視団は、今次選挙の事前の準備状況、投票日(10月29日)における投票所の開所、投票、閉所、開票の状況、また、その後に行われた集計作業の状況を含め、投票日前後の一連の選挙プロセスの監視を行った(投票日当日には、当方の選挙監視要員は市内の6施設に設置された計43の投票所を訪問した。)。
- 当監視団の活動は、時間的、地域的に限られたものではあったが、これまで見聞した範囲においては、多少の技術的な問題を除いて、一連の選挙プロセスは法令等に則って概ね適正に行われていたと認められた。投票日当日は激しい雷雨の下、午前5時頃より当監視団は活動を開始したが、道もぬかるんでいる中で投票所に足を運ぶ市民や、雨漏りもひどく廊下も水浸しになっている投票所において忍耐強く作業を行っていた職員の姿に感銘を受けた。
- 7月の選挙は独立以来初の本格的な民主的選挙として評価されるが、今回の選挙は、事前準備、投票や開票、集計オペレーションの点で改善が見られたこと、また投票所においてコンゴ(民)人の地元選挙監視員の数が増えていたこと等により、この国において民主主義が根付きつつあることを実感した。投票に参加したコンゴ(民)国民、民主的な選挙の実施に向けて多大な努力を払ったコンゴ(民)暫定政府及び独立選挙委員会に敬意を表するとともに、選挙を支援した国連コンゴ(民)ミッション(MONUC)をはじめとする国際社会の貢献を評価する。
- 今次選挙は、一部の地方で事件の発生はあったものの、全般的に平穏な状況下で実施されたことを歓迎する。7月の選挙後、一部の政治勢力間で緊張が高まる等憂慮すべき事態も起こったが、事態は更なる悪化に陥ることなく、今次選挙が概ね順調に実施された背景には、混乱ではなく、平和と安定を実現したいというコンゴ(民)国民自身の強い意思の存在があったと考えている。
- コンゴ(民)が豊富な天然資源を利用して経済・社会の発展を図っていくためにも平和と安定の実現が不可欠であるが、そのためには、コンゴ(民)国民が一丸となって、民主的な国づくりをたゆまず前進させていくことが重要である。今次選挙もまさにこのための大きな一歩であり、7月の選挙に引き続き、日本から選挙監視団が派遣されたことは、コンゴ(民)国民を支援したいという日本の真摯な希望の現れである。
- これまで幾多の困難を克服して進めてきた民主的な政治プロセスは、コンゴ(民)の国づくりと将来の発展の根幹をなすものであり、決して後戻りさせてはならないと考える。この観点からも、今回の選挙において個別の違反や不正行為が提起された場合には、暴力ではなく、法に従って適切な措置が行われることが極めて重要である。当監視団としては、公正かつ透明な過程を経て確定された選挙の結果を全ての関係者が受け入れることを含め、コンゴ(民)国民が力を合わせて民主的な国づくりを新たな段階へと進めていくことを期待している。