談話・コメント

外務報道官談話

イランの核問題に関するIAEA理事会決議の採択について

平成17年9月25日

  1. 9月24日(土曜日)、ウィーンで開催された国際原子力機関(IAEA)理事会において、イランの保障措置協定違反を認定するとともに、イランに対してIAEAへの更なる協力とウラン濃縮関連・再処理活動の再停止等を求める内容を含む理事会決議が、理事国の多数の支持を得て採択された。
     これは、国際社会がイランに対して明確なメッセージを発出したものであり、イランの核問題を引き続き交渉によって解決していくための重要なステップとしてわが国としても評価する。イランが今回の決議を重く受け止め、真摯に対応することを強く期待する。
  2. わが国としては、イランが、ウラン転換活動を含め、すべてのウラン濃縮関連・再処理活動の例外なき停止をはじめとする、累次のIAEA理事会決議のすべての要求事項を誠実に履行するとともに、EU3との交渉プロセスに復帰することを改めて強く求めるものである。

(参考)IAEA理事会決議のポイント

  1. 2003年11月10日付のIAEA事務局長報告(GOV/2003/75)で詳述された、NPT保障措置協定を遵守する自らの義務に対するイランの数多くの不備(failures)及び違反(breaches)が、IAEA憲章第12条Cにおける違反(non compliance)を構成することを認定する(finds)。
  2. また、上記事務局長報告において言及されたイランの核活動の隠蔽の歴史、これらの核活動の性質、2002年9月以降、IAEAがイランの申告を検証する過程で明らかになった諸問題、及び、その結果としてイランの核計画がもっぱら平和的目的であるとの信頼が欠如していることが、国際の平和及び安全の維持に関する主要な責任を負う機関である安全保障理事会の権限内の問題を引き起こしたことを認定する(finds)。
  3. 事務局長に対して、この決議及び過去の諸決議を履行するための努力を継続し、2005年9月2日付のIAEA事務局長報告(GOV/2005/67)において提起された諸問題に関する今後のいかなる進展を含め、再度理事会に報告を行うよう要請する(requests)。
    理事会は、IAEA憲章第12条Cの下で要求される報告(report)及び同憲章第3条B4の下で要求される通告(notification)の時期及び内容を検討する (will address)。
  4. 事務局長が未解決の諸問題を解決し、必要な保証を提供することを助けるため、イランに対して、以下のことを求める(urges)。

    (1)(2005年9月2日付の)IAEA事務局長報告で求められているように、保障措置協定及び追加議定書の正式な要求事項を超え、個人、調達に係る文書、汎用品、軍が所有する一部の作業場や研究開発区域へのアクセスを含む、透明性のための措置を実施すること。

    (2)2005年8月11日の理事会決議(GOV/2005/64)にあるような、すべての濃縮関連活動及び再処理活動の完全かつ継続的な停止を再度行う(re-establish)こと。

    (3)重水減速研究炉の建設を再考する(reconsider)こと。

    (4)追加議定書を早期に批准し、かつ、完全に実施すること。

    (5)追加議定書の批准を完了するまでの間、引き続き、イランが2003年12月18日に署名した同議定書の規定に従って行動すること。

  5. イランに対して、自らのコミットメントを完全に遵守し、過去2年間、良好な進展を遂げてきた交渉プロセスに復帰するよう求める(calls on)。
  6. 事務局長に対して、イランとのIAEA保障措置協定を実施し、同協定に対する追加議定書を暫定的に実施し、イランの過去の核活動のすべての側面の歴史及び性質のIAEAによる再現を可能にするために要求される、追加的な透明性のための措置を追求し、生じている信頼の欠如を補うために、努力を継続するよう要請する(requests)。
  7. 本件について引き続き把握しておくことを決定する(decides)。
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