経済

WTO・LDC閣僚会合
(概要)

平成20年3月

1.日程

 2月27日~29日

2.場所

 レソト(首都マセル)

3.議事日程

 2月27日 LDC・SOM会合

 2月28日 LDC閣僚会合(マセル宣言採択)

 2月29日 LDC及び多角的貿易環境に関する非公式セッション
       (交渉パートナー(日本を含む)等とのオープン・ディスカッション)

4.出席者(29日)

(1)議長:レベサ・レソト貿易産業相

(2)LDC諸国

(3)非LDC途上国

 ブラジル(ウゲネイ寿府大使)、中国(Qui Bohua駐レソト大使)、インド(バティア寿府大使)、南ア(イズマエル寿府大使)等

(4)先進国

 日本(横田大使)、米国(アルガイヤ寿府大使)、EU(マンデルソン委員)、カナダ(ステファンソン寿府大使)、英国(Boateng駐レソト高等弁務官)等

(5)国際機関 等

 WTO(ラミー事務局長)、UNCTAD(スパチャイ事務局長)等

5.議論の概要

(1)ドーハ・ラウンドが2月8日の農業・NAMA改訂議長テキスト発出を受けモダリティ合意に向けて重要な局面を迎える中、本件会合はLDCの立場を推進するためにレソト(WTOにおけるLDC調整国)が主催したもの。28日にはマセルLDC閣僚宣言が採択された。(今次WTO・LDC閣僚会合は、WTO香港閣僚会議(2005年12月)前に開催されたリビングストンWTO・LDC会合(05年6月)以来のもの。)

(2)非LDCのWTOメンバー・国際機関等は、会合最終日(29日)の非公式セッションに参加した。
 日本(横田大使)からは、AFT(貿易のための援助)に関連して、日本のLDC無税無枠の拡充措置が成果をもたらしていることを紹介しつつ、ドーハ・ラウンドにおける進展の有無に関わりなく、「開発イニシアティブ」を引き続き推進していく旨を表明した。ドーハ・ラウンドについては、農業・NAMA(非農産品市場アクセス)・サービス分野における日本の立場をLDCとの関連で簡潔に説明しつつ、ラウンドの成功裡の妥結に向けて最大限の貢献を行う旨を表明した(下記【参考】参照)。

【参考】LDC閣僚会合における横田大使のステートメント(2月29日)(概要)

 高村外務大臣を招待頂き感謝する。残念ながら大臣本人は出席できなかったので代わりに自分がステートメントを行う。

 ドーハ・ラウンドは重要な局面を迎えている。レソト政府が今次会合を開催したことを評価。時間の制約上、開発とラウンド交渉に関する幾つかの点に焦点を絞って発言したい。

 第1に、AFTについて。AFTはドーハ・ラウンドを有益な形で補完するものである。経済成長無しでは貧困削減は達成し得ない。また、成長を実現するためには、貿易の拡大が極めて重要である。これは、日本を含むアジアの経験である。また、オープンな貿易・投資レジームが多くのアジア諸国の急速な経済成長の実現に貢献したことにも留意する必要がある。
 このような考えに基づいて、日本は、ODAを通じて、AFTの分野での支援を行ってきた。昨年11月のAFTグローバル・レビューの機会に示されたOECDの各種統計はこれを実証している。
 2005年12月の香港閣僚会議に際し、日本は、「生産」「流通・販売」「購入」の3つの局面で途上国のキャパビルを行う包括的な支援策として「開発イニシアティブ」を打ち出した。その一環で、07年4月、LDC無税無枠の対象品目をDDAの成果を待つことなくタリフライン・ベースで約98%、LDCからの輸入額ベースで99超%まですでに拡大した。その結果、無税無枠の対象品目として追加された品目のうち農産品の昨年4月~12月の期間のLDC諸国からの輸入額は、対前年同期比で43.4%増加し、さらに全体としてのLDCからの輸入(原油を除く)も前年同期比で31.3%増加した。

 第2に、ラウンド交渉について。まず、農業では、主要3分野(市場アクセス、国内支持、輸出競争)において途上国に対して十分な配慮がなされるべき。LDCについては、市場アクセスにおける譲許税率の引き下げが求められないなどの配慮がなされているが、これに加え、この観点から、日本は、LDCの重視しているSSM(Special Safeguard Mechanism)を支持している。また、日本は、主要な食糧援助ドナーとして、食糧援助の十分な水準を維持し、食糧援助受益国の利益を考慮した、必要な柔軟性が確保されたルール作りに取り組んでいく。
 NAMAでは、LDCはフォーミュラによる関税削減を免除されているので、フォーミュラの係数・柔軟性はLDCには関係しない。LDCがこの事実及び南南貿易の今後の更なる重要性を踏まえ自らの立場を定めることを期待する。
 サービスでは、LDCは、新たなコミットメントを行うことは期待されていないが、サービスにおける十分なレベルの自由化は、経済発展のために重要な外国直接投資を招致するためにも重要な要素の一つである。LDCの自主的な取り組みを期待したい。

 日本としては、ドーハ・ラウンドの成功裡の妥結に向けて最大限の貢献を行う。同時に、キャパビルやインフラ整備までの様々な分野において、また、日本が主催するTICADIVやG8洞爺湖サミットといった枠組みを活用して、LDCをはじめとする途上国を引き続き支援していく。

 最後に、ホスト国レソトの寿府大使であるマルピング大使の御活躍に敬意を表する。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る