経済

WTOサービス・クラスター会合(11月2日~13日)の概要

平成21年11月16日

  1. 11月2日(月曜日)から13日(金曜日)までジュネーブにおいて、2009年に入って4回目のWTOサービス・クラスター会合(注1)が開催された。今回の会合においては、サービス貿易理事会特別会合、定例会合、4つすべての下部組織(国内規制作業部会、GATSルール作業部会、特定約束委員会、金融サービス委員会)の通常の会合に加え、中国に関する経過的審査メカニズムのサービス関連部分の会合も開催された。我が国を含めた主要国は、市場アクセス交渉を目的とする多くの二国間協議(注:我が国代表団は、9か国(中国、インド、ブラジル、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、カナダ、ニュージーランド)と協議実施)を行った。また、我が国が主催する建設、海運を含め13の分野別(建設、海運、金融、エネルギー、法律、会計、郵便・クーリエ、建築、環境、電気通信、航空、自然人の移動(第4モード)、越境取引(第1モード)(注2))のフレンズ会合が開催された。
  2. 我が国が実施した市場アクセス交渉のための二国間協議においては、事前に質問状を用意し、相手国に準備をしてもらうことにしたこともあり、日本の関心分野に関する市場アクセスについて詳細に亘る議論を通じ、自由化に向けた各国の立場等について明確化を図ることができた。また、一部の国からは主に自然人の移動(第4モード)(注2)を中心に、我が国が更なる約束を行うことへの要望も表明された。
  3. 分野別フレンズ会合においては、如何に今後の作業を効果的に進めていくのかについて活発な議論が行われた。我が国が提唱した、関心国に対する要望事項とその要望に応える関心国側の対応とのギャップについてまとめるフォーマットに対する肯定的な評価が多く聞かれ、この日本フォーマットが幾つかの分野別フレンズ会合でも採用されることとなった。
  4. 次回クラスター会合は、2010年2月初旬に開催されることとなった。次回会合においては、市場アクセスに関する二国間協議に加えて、今回は行われなかった分野別の分析ペーパー(次回は金融、第3モード(注2)、音響・映像の予定)を巡る議論も再開される見通しとなっている。
  5. 今回の会合においては、本年9月から毎月開催されている高級事務レベルの会合において、WTO市場アクセス交渉の3本柱の一つであるサービス交渉の現状をいかに扱い、政治的ガイダンスを得るのが望ましいかについてもサービス交渉推進派の間で議論された。今回、二国間協議の形で本格的な市場アクセス交渉が開始されたこともあり、こうした二国間協議のプロセスや高級事務レベルの関与等を通じて実質的な交渉の成果を徐々にでも出していく必要があるとの認識が、各代表団の間で相当程度共有された。

注1:WTOサービス交渉に関連する各種会合をまとめて開催しており、これらの会合を一括して「サービス・クラスター会合」と称している。)

注2:WTOサービス貿易一般協定では、サービス貿易の形態(モード)が4つに分けられ、自然人の移動によるサービス提供は第4モード、国境を越えたサービス提供は第1モード、拠点設置を通じたサービス提供は第3モードと呼ばれている。)

このページのトップへ戻る
目次へ戻る