
WTOサービス・クラスター会合(6月22~29日)の概要
平成21年7月1日
- 6月22日(月曜日)から29日(月曜日)までジュネーブにおいて、WTOサービス・クラスター会合(注1)が開催された。今回の会合においては、サービス貿易理事会特別会合、定例会合、全4つの下部組織(国内規制作業部会、GATSルール作業部会、特定約束委員会、金融サービス委員会)の会合に加え、5つの分野別フレンズ会合(観光、電気通信、コンピュータ関連サービス、金融、法律)及び世界銀行によるサービス貿易関連データに関するセミナーが開催された。
- サービス貿易理事会定例会合の場で、観光、電気通信、コンピュータ関連サービスの3分野について、WTO事務局が作成した分析ペーパーを基に議論が行われた。我が国は、関心分野である電気通信、コンピュータ関連サービスに関し、それぞれが他のサービス産業の基盤となる社会的インフラとしての重要性を持っていること等を強調して議論をリードした。また、4月に27のサービス分野の外資規制撤廃を発表したマレーシアの自由化措置を評価するとともに、他の国がマレーシアに続くよう呼びかけた。
- 次回クラスター会合は、10月上旬に開催され、サービス貿易理事会定例会合で、建設、建築、4つのサービス貿易の形態(モード)(注2)について議論が行われることとなった。その後、11月、2月、3月と順次クラスター会合が開催され、全ての主要分野が網羅される予定である。
- 今回の会合において、表面上は静かな形で技術的作業(注:例えば、ドーハ・ラウンド終結後に出来る新しい約束表と今までの約束表との法的関係の整理等)が淡々と進められた。同時に、WTOのドーハ・ラウンド交渉が動き始めるかもしれないとの政治的な勢いの兆しが見えつつある中、そうした政治的な勢いやそれを受けた農業、NAMA(非農産品市場アクセス)の交渉の進展が少しでもあり次第、サービス交渉が遅れをとることがなく、スピード感を持って進むことが出来るよう、本格的な市場アクセス交渉の準備をすべきとの認識が各代表団の間で少しずつ強まりつつあると感じられる会合となった。
(注1:WTOサービス交渉に関連する各種会合を纏めて開催しており、これらの会合を一括して「サービス・クラスター会合」と称している)
(注2:WTOにおいて以下の4つに分類されるサービス貿易の形態。国境を越える取引(第1モード)、海外における消費(第2モード)、業務上の拠点を通じてのサービス提供(第3モード)及び自然人の移動によるサービス提供(第4モード))