経済

「貿易のための援助」(AfT)アジア太平洋地域レビュー会合(概要と評価)

平成21年6月5日

 5月28日(木曜日)及び29日(金曜日)、カンボジアのシェム・リアップにおいて「貿易のための援助」(AfT)アジア太平洋地域レビュー会合が開催されたところ、概要以下のとおり。

(注)AfT(Aid for Trade)とは途上国が世界貿易機関(WTO)の多角的貿易体制から利益を得て、経済成長を達成することを目的とした、貿易分野でのキャパビルやインフラ供与。

1.日程

(1)5月28日(木曜日)ハイレベル・セグメント

(イ)(セッション1)オープニング・セッション

(ロ)(セッション2)グローバル・レビュー会合に向けた今後の方針とメッセージ

(2)5月29日(金曜日)専門家レベル・セグメント

(イ)RTG共同議長のステートメント

(ロ)(セッション3)世界金融危機:その影響と対応

(ハ)(セッション4)南々協力の促進とAfTの地域アプローチ

(ニ)(セッション5)AfTのツールとしての民間セクターの促進

(ホ)(セッション6)貿易の国家開発戦略への主流化

(ヘ)総括及び閉会の辞

2.参加者

 ホスト国カンボジアのプラシッド上級大臣兼商業大臣等の閣僚級出席者やラミーWTO事務局長、黒田ADB総裁等の国際機関関係者、民間セクター関係者等約150名が参加。我が国からは、篠原在カンボジア大使(我が方代表団長)他関係者が出席。

(注)ビヤケット・ラオス産業商業大臣、チュ・ベトナム産業貿易副大臣、ザウ・ミャンマー国家計画・経済開発副大臣、フランシスITC事務局長等。

3.主たる議論と評価について

(1)全ての参加者から、世界経済危機の中で貿易量が落ち込む中、「貿易のための援助」(AfT)を通じての途上国支援の必要性が一層高まっており、7月6日、7日の第2回AfTグローバル・レビュー会合における議論が重要であるとの認識が示された。

(2)また多くの参加者から、AfTにおいて、貿易の国家開発戦略への主流化、モニタリング・評価、南南協力、民間セクターの取組を進めていくことの重要性、アジアの多様性を踏まえた政策立案の重要性、さらに貿易金融等の関連分野での取り組みの重要性についての指摘がなされた。更に、アジア太平洋地域における地域専門家グループ(RTG)による議論に期待が示された。

(3)また多くの参加者からWTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結や保護主義の抑止が現下の世界経済危機への対策として重要との認識が示された。

(4)我が国は、ハイレベル・セッションにおいて、本使よりカンボジアの繊維産業の困難な状況等を例に挙げつつ、AfTの途上国支援における有効性を説明し、また我が国としての今後のASEAN地域等への取り組みについても説明したところ、ホスト国カンボジア政府をはじめ多くの出席者から好意的な反応が示された。

(5)我が国は、開発イニシアティブを通じAfTを実施してきており、2005年のWTO香港閣僚会議の際のコミットメントも着実に果たしてきている。世界経済・金融危機により各国の財政状況が悪化することが避けられない中で、今後も開発イニシアティブを継続していくことを累次表明している。我が国としては、本件会合も踏まえ、引き続き、AfTの主流化、モニタリング、評価、援助協調等を通じ援助の効率化にも努める考えであり、貿易金融等の関連分野についても積極的に貢献していく考えである。

4.貿易のための援助関連のこれまでの会合と今後の予定

(1)これまでの関連会合

3月3日 アジア・太平洋地域専門家会合(フィリピン)

4月6日及び7日 アフリカ地域レビュー会合(ザンビア)

5月7日及び8日 ラテン・アメリカ地域レビュー会合(ジャマイカ)

(2)今後の日程

7月6日及び7日 第2回グローバル・レビュー会合(閣僚級、ジュネーブ)

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