平成19年10月10日
10月1日(月曜日)及び2日(火曜日)、タンザニア・ダルエスサラームにおいて貿易のための援助アフリカ地域レビュー会合が開催されたところ、その概要以下の通り。
(注)AFTとは、多角的貿易体制から十分な利益を得られていないとの途上国の不満を背景に、貿易自由化だけでなく、供給サイドの支援が必要であるとの認識を踏まえた取り組み。WTO、世銀、OECD/DAC等の国際フォーラムにおいて活発に議論。
10月1日(月曜日)
(1)開会挨拶
(2)全体会合1:AFTの重要性
(3)昼食会:チサノ元モザンビーク大統領挨拶
(4)分科会(東部・南部アフリカ、北部アフリカ、西部・中央アフリカ)
(5)全体会合2:民間セクターの強化
10月2日(火曜日)
(6)全体会合3:アフリカの地域銀行の活用
(7)全体会合4:援助パートナーシップの強化
(8)全体会合5:行動に向けたロードマップ
(9)閉会挨拶
パスカル・ラミーWTO事務局長、ドナルド・カベルカ・アフリカ開発銀行(AfDB)総裁、アブドゥラ・ジャネ国連アフリカ経済委員会(ECA)委員長、ゼーリック世銀総裁(ビデオ・メッセージのみ)、アリ・モハメド・シェイン・タンザニア副大統領、チサノ元モザンビーク大統領に加え、アフリカ諸国からは閣僚級の参加者も出席。アフリカ諸国、ドナー諸国、国際機関、地域開発銀行、民間企業等約200名以上が参加。我が国からは、佐藤啓太郎アフリカ紛争・難民問題兼国連改革担当大使他関係者が出席。
(1)基調講演において、ページ世銀主任エコノミストから、アフリカは、生産段階においては国際的に競争力があるが、間接的費用(運送費等)で競争力を落としているとの問題提起があった。これを受けて、多くの国からインフラ(特に道路、電力)、貿易円滑化等の重要性についての指摘があった。また、被援助国の開発計画の尊重及び連携、被援助国国内の優先順位付け、マインドセットの変更(特に、貿易の国家開発計画における主流化)、政治的リーダーシップの重要性についても多くの参加者から指摘があった。
(2)その他、域内貿易、地域統合の重要性、民間資金の活用の重要性、能力構築の重要性等についても指摘があった。
(3)会合では、複数の国から資金の追加性及び予見可能性が重要であるとの指摘があった。一方、AFTは無償で行われるべきとの議論は一部を除いてほとんどなかった。また、いくつかの国からは、ドナー間の協調の必要性、援助の際の条件が多すぎることが問題であるとの指摘もあった。
(4)会合を通じて、一部、ドナー側のさらなる支援を求める声もあったが、アフリカ側からもAFTが全てを解決するわけではない、自らのオーナーシップが重要であるとの声が挙がる等、全体として、AFTを活用してアフリカの問題を如何に解決すべきかとの側面を中心として議論が行われた。
(5)なお、我が国としては、佐藤大使が「全体会合4:援助パートナーシップの強化」にパネリストの一人として参加して、開発イニシアティブをはじめとする我が国のAFTに向けた取り組みを説明した他、来年のTICADIVに向けた取り組みを紹介。会合出席の様子は、現地の新聞に一面で取り上げられた他、同大使の発言内容がそのまま現地紙で取り上げられる等、我が国の一定の存在感を示すことができたものと考えられる。
(6)我が国としては、本件会合も踏まえ、引き続き、「開発イニシアティブ」を着実に実施し、関連する国際会議への積極的参加を通じ、アフリカ地域を含む全世界の途上国に対するAFTの実施に貢献していく方針。
(1)これまでの関連会合
9月13日(木曜日)、14日(金曜日)
ラテン・アメリカ・カリブ海地域レビュー会合(ペルー、リマ)
9月19日(水曜日)、20日(木曜日)
アジア・太平洋地域レビュー会合(フィリピン、マニラ)
10月1日(月曜日)、2日(火曜日)
アフリカ地域レビュー会合(タンザニア、ダルエスサラーム)
(2)今後の予定
11月20日(火曜日)、21日(水曜日)
グローバル・レビュー会合(スイス、ジュネーブ)