経済

インド主催WTO非公式閣僚会合(9月3日、4日)の概要

平成21年9月4日

 9月3日及び4日、ニューデリーにてWTO非公式閣僚会合が開催されたところ、概要は以下のとおり。

1. 参加国等

(1)インド政府が主催。WTOにおける主要国ならびに途上国グループの代表となる国々として計35ヵ国を招待。この内、約20ヵ国から閣僚が出席。WTO事務局からはラミー事務局長と一部の交渉会合の議長が出席した。

(2)我が国からは、北島ジュネーブ代表部大使、石毛経済産業審議官、山田農林水産審議官が出席。

(3)閣僚会合では、全体の議事進行をシャルマ印商工相が行い、ラミー事務局長及び各交渉議長による状況説明の後、各国代表(閣僚や高級事務レベル)がそれぞれの立場につき発言した。

(4)会合終了後、主催国であるインドのシャルマ商工大臣が記者会見を行い、会合結果を総括した(以下3.参照)。

2. 会合における議論のポイント

(1)今回の閣僚会合では、本年7月のラクイラ・サミットにおいて「ドーハ・ラウンド交渉の2010年までの妥結の追求」が合意されたことを受けて、その実現のために今後どのように交渉を進めてくべきかについて専ら議論された。(各交渉における個別の問題等については議論されず。)

(2)具体的には、今後のあり得べき高級事務レベルによる会合のタイミング、全加盟国が参画するマルチのプロセスの重要性、二国間協議が果たす役割、農業・NAMA(非農産品市場アクセス)以外の交渉(ルール、サービス、貿易円滑化等)の交渉加速の必要性、等の諸点が議論された。

(3)我が国からは、交渉プロセスを明確化すべきこと、閣僚会合の開催には内容の十分な進展が必要であること、ラウンド合意は全加盟国共通の責務であること等を主張した。

3. 議長とりまとめ

(1)4日午後、2日間の議論を総括して主催国であるインドのシャルマ商工大臣より、記者会見にて会合の総括が行われた。

(2)シャルマ大臣による総括のポイントは以下のとおり。

(イ)今回の閣僚会合は、昨年7月のジュネーブにおける閣僚会合以来、初めてWTOにおける全ての主要国並びに途上国の各グループを代表する諸国の参加を得て、ドーハ・ラウンド交渉を再活性化させることを議論し、交渉を力強く進めていくことで意見の一致を見た。

(ロ)今後の交渉の取り進めとしては、(i)9月14日の週にジュネーブにおいて高級事務レベルによる会合を開催し、作業工程を詰めていくこと、(ii)交渉は、昨年12月までの成果を交渉の土台としていくこと、 (iii)マルチを主たるプロセスとして議論の透明性を確保しつつ、他のやり方(二国間・複数国間の協議)を通じて各国間の理解を深めていくこと、(iv)LDC諸国に配慮すること、(v)2010年までの妥結に向けて閣僚は引き続き進捗状況をレビューしていくこと、である。

4. 今後の動きについて

(1)今次閣僚会合での議論を踏まえ、ジュネーブで9月14日の週に高級事務レベルによる会合が開催されることとなる。

(2)この他にも、9月21日の週から既に幾つかの交渉会合(実務レベル)が予定されている。

(3)なお、11月30日から12月2日の日程で、WTO定例閣僚会議がジュネーブで開催される予定。これは、WTOの活動全般を定期的(:協定上は2年に1回)にレビューするもの。ドーハ・ラウンド交渉についても進捗状況等の評価が行われる見通し。

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