平成20年6月10日
同報告書(IN/IP/18)は、GIの多数国間通報登録制度に関するものとなっている。
(1)参加、登録の結果又は法的効果
意見の隔たりが大きいとして、各提案の文言をそのまま引用するに留めている。
(2)通報及び登録
参加、登録の結果又は法的効果の議論によるとしつつも、詳細な議論が行われたとして、意見の収束及び相違について示している。
(3)その他
手数料、費用、行政負担、登録の期間、登録の修正及び撤回の手続、コンタクトポイント等については更なる議論が必要としている。
同報告書(WT/GC/W/591;TN/C/W/50)は、ヨークサ事務局次長の下で議論が行われた未解決の実施問題(GIの追加的保護の拡大、TRIPS協定とCBDとの関係)(注)に関するものとなっている。
GI対象産品拡大の是非、交渉の対象か否か、一括受諾の対象か否か、モダリティへの盛り込みに関する意見の相違について、賛成派及び反対派の見解を事実ベースでまとめている。
上記1.のGIの追加的保護の拡大と同様に、TRIPS協定改正の必要性、交渉の対象か否か、一括受諾の対象か否か、モダリティへの盛り込みに関する意見の相違について、それぞれの見解を事実ベースでまとめている。
上記1.と2.の論点の関連、更にはこれらと他の論点(GI多数国間通報登録制度を示唆)との関連についても異なる見解が示されたとして、これらを水平プロセスに含めるべきか否かについて意見の相違を示している。
(注)未解決の実施問題
途上国は、ウルグアイ・ラウンド合意の結果であるWTO協定の実施段階に入って様々な困難な問題に直面していることから、右困難を軽減すべく、「途上国は、途上国に対する義務を遅らせ、途上国に特別な配慮を与え、先進国の義務は前倒しすべし」として、WTO協定の改正を主張している。こうした問題を「実施問題」という。
具体的には、2001年のドーハ閣僚会議前に101項目が提起され、そのうち42項目についてはドーハ閣僚会議で結論が出た。残りの59項目を「未解決の実施問題(outstanding implementation issues)」という。未解決の実施問題には、GIの追加的保護の拡大及びTRIPS協定とCBDとの関係が含まれる。