
WTOドーハ・ラウンド(ルール交渉議長テキストの提示)
平成19年12月3日
外務省、財務省、農林水産省、経済産業省
- 11月30日(日本時間12月1日)、ヴァイエス・ルール交渉議長より、ルール(アンチ・ダンピング(AD)、一般補助金、漁業補助金)に関する議長テキストが発出された。
- 議長テキストの個別論点についてはテキストを更に精査する必要があるが、とりあえずのところ、
(1)アンチ・ダンピングについては、アンチ・ダンピング措置の失効(サンセット)に関する規律の強化などは評価できる一方、ゼロイングの一部容認など貿易自由化を進める努力と相容れない点については強く懸念。
(2)一方、漁業補助金については、我が国が主張してきた禁止すべき補助金を限定する構造になっており、我が国の主張に一定の配慮が払われている点もあるが、個別の論点については大変厳しい内容も含まれている。
- ルール交渉議長自らが、テキストの全体が「暫定的」なものであり、今後の交渉に向けた「第一歩」に過ぎないとしているところであり、我が国としても、多角的貿易体制の発展に資するルールの強化を実現すべく、今後の交渉において、引き続き努力していく考え。
【参考1】ルール議長テキスト(11月30日発出)のポイント
1.AD(アンチ・ダンピング)
- サンセット:AD措置の賦課から10年間で、措置が失効することを規定。ただし、措置失効後2年以内であれば、再度調査を行い、措置を賦課することが比較的容易となる規定が挿入されている。
- 公共の利益:AD措置の影響を受ける利害関係者(例えば消費者団体など)の意見を調査当局が勘案することを義務付け。
- ゼロイング:(上級委員会の判断を一部覆して)ゼロイングを一部容認。
2.漁業補助金
- 漁船建造補助金、漁船改造補助金、価格支持補助金、漁港施設関係補助金、操業経費補助金など、禁止される補助金を列挙。
- 一方で、漁船や乗員の安全確保、漁業が環境に与える影響緩和技術の導入、資源管理の実施、再就職用職業訓練補助金等、禁止の例外となる補助金も列挙されている。
- 漁船建造補助金、漁船近代化補助金などについては、途上国であっても、EEZ内での漁船にのみに許容。
3.一般補助金
- 漁業補助金(上記2.)を除き、禁止補助金は拡大されていないが、補助金の性質に応じて利益の算定の方法についての規定等を追加している。