平成21年9月23日
9月23日夜、国連総会の機会にニューヨーク国連本部で開催されたG8外相会合の概要は以下の通り。(G8各国の外相(一部代理)とともに、今回は潘基文国連事務総長も出席。我が国より岡田外務大臣が出席。)本会合は、6月にトリエステで行われたG8外相会合、7月にラクイラで行われたG8首脳会合の政治問題の議論のフォローアップとして行われ、主にイラン、アフガニスタンについて議論が行われた。
(1)9月9日にイラン側からEU3+3に提示され、核問題につき言及のなかった新提案についての対応は、今後数ヶ月間が正念場であり、10月1日にEU3+3とイランとの間で行われる協議では、核問題に焦点を当てなければならないとの認識で一致。「対話」と「圧力」によるデュアルトラックアプローチを継続することが引き続き重要、人権や地域の問題をはじめとする核問題以外の諸課題を含めた包括的な交渉を行わなければ解決の糸口は見えてこないとの意見も表明された。
(2)EU3+3のみならず、他の地域国、関係国と連携しつつG8としても団結して努力を行っていく必要があるとの指摘もあった。ただし、問題の解決に向けたチャンスはいつまでも続くわけではなく、時間は限られているとの意見が多く表明された。岡田大臣より、協議を通じてイランの姿勢を判断していくべきであり、EU3+3とイランとの協議では具体的な成果が得られることを期待するが、イランが国際社会の懸念に真剣に応えなければ、厳しい対応を考える必要がある旨述べた。
(3)核軍縮・不拡散の強化についても議論となり、その関連で、イランの核問題とともに深刻な問題である北朝鮮の核開発問題を包括的に取り組む必要があるとの意見が表明された。岡田大臣より、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発は切迫した問題であり、国連安保理決議第1874号があるにもかかわらず進展を見ていない、北朝鮮に対し、六者会合に速やかに復帰するとともに、六者会合の共同声明の完全実施へのコミットメントと前向きかつ具体的な対応を求めていくことが重要である旨述べた。
(1)6月のトリエステで行われたアフガニスタン・パキスタンに関するG8アウトリーチ会合以降、アフガニスタンでは様々な進展があったが、国際社会としては一貫性をもって、国連の協力を得て支援を継続していく必要があることで認識が一致。
(2)アフガニスタンの大統領選挙の結果は、忍耐強く待つ必要があるとの意見が多く表明された。今後、アフガニスタン自身がオーナーシップをもって安定・復興に取り組んでいかなければならない、まずはアフガニスタン政府が自らの課題を明確に示し、着実に進める決意に対し、国際社会が支援を行っていくことが重要であるとの認識で一致。また、アフガニスタンの治安部隊(国軍・警察)の訓練を迅速に進める必要があるとの指摘もあった。
(3)岡田大臣より、アフガニスタンの大統領選挙は様々な困難もあったが進歩である、アフガニスタンの再建はアフガニスタン人自身の手によるべきである旨述べるとともに、鳩山政権としては、アフガニスタンの再建を従来以上に重視していく、元タリバーン兵士が生活できるための食料生産、雇用の創出、職に就くための訓練等、様々な分野での支援パッケージを真剣に検討している旨述べた。
(4)複数の国が提案しているアフガニスタンに関する国際会議については、仮に開催される場合には、アフガニスタン政府が今後取り組む課題についてコミットメントを表明し、それを実施していくためのロードマップが提示されるような会議にすべきとの意見もあった。