平成21年2月
捜査、訴追その他の刑事手続について、締約者が、協定に基づく義務として共助を実施すること、そのための枠組みとして中央当局を設置し、相互の連絡を直接行うこと等について定める。
(1)近年の国境を越えた犯罪の増加等を受け、平成17年11月、香港より我が国に対し刑事共助協定に係る公式協議開始の申入れがあり、平成18年9月の第1回交渉以降、計3回の協議を重ねた結果、平成19年7月、実質的な合意に達し、平成20年5月23日に香港にて本協定の署名を行った。
(2)香港は、アジア地域の金融拠点であることから、マネーロンダリング等の国際組織犯罪、金融犯罪に、日・香港双方が協力して対処する必要性が高く、この協定を早期に締結する必要がある。
(注)香港は、中国の「一国二制度」の下にあり、香港特別行政区基本法に基づき中国政府により刑事共助協定の締結権が付与されるため、独自に我が国との刑事共助協定の締結権限を有する。
この協定は、一方の締約者が他方の締約者の請求に基づき、捜査、訴追その他の刑事手続について共助(注)を実施すること、そのための枠組みとして中央当局(日本:法務大臣又は国家公安委員会等、香港:法務長官等)を設置し、相互の連絡を直接行うこと等を定める。
(注)この協定に定める共助の主なものは、以下のとおり。
1)証言、供述又は物件の取得
2)人、物件又は場所の見分
3)人、物件若しくは場所又はこれらの所在地の特定
4)被請求締約者の当局の保有する物件の提供
5)請求締約者の関係当局への出頭が求められている者に対する招請についての伝達
6)拘禁されている者の身柄の移送であって証言等の目的のためのもの
7)裁判上の文書の送達
8)犯罪の収益又は道具の没収及び保全等についての共助
(1)この協定の締結により、日・香港双方がより充実した内容の刑事共助を実施することができ、また、その確実性を高めることができる。
(2)この協定の締結に伴い、双方で中央当局を設置し、中央当局間で直接連絡を行うことにより、事務処理の効率化・迅速化が期待できる。