平成20年3月
捜査、訴追その他の刑事手続について、締約国が、条約に基づく義務として共助を実施すること、そのための枠組みとして中央当局を設置し、相互の連絡を直接行うこと等について定める。
近年の国境を越えた犯罪の増加等を受け、2006年7月の杉浦法務大臣(当時)の訪中の際、日中刑事共助条約の締結交渉の早期開始につき中国側と意見の一致をみた。2007年1月の第1回交渉以降、同年4月の温家宝国務院総理訪日時の首脳間の共通認識(注)も踏まえつつ累次交渉を重ねた結果、同年8月に実質的な合意に達し、同年12月の高村外務大臣訪中に際して署名された。
(注)「日中間の刑事司法分野における協力関係を強化していく重要な一環として、日中刑事共助条約締結交渉の年内実質合意に向け努力していくことで一致した。」
この条約は、一方の締約国が他方の締約国の請求に基づき、捜査、訴追その他の刑事手続について共助(注)を実施すること、そのための枠組みとして中央当局(日本:法務大臣又は国家公安委員会等、中国:司法部又は公安部)を設置し、相互の連絡を直接行うこと等を定める。
(注)この条約に定める共助の主なものは、以下のとおり。
1)証拠(証言、供述及び書類、記録その他の物を含む。)の取得
2)人、場所、物の見分
3)人、場所、物又はこれらの所在地の特定
4)被請求国の立法、行政、司法機関又は地方公共団体の保有する物の提供
5)請求国における出頭が求められている者に対する招請についての伝達
6)拘禁されている者の身柄の移送であって証言等の目的のためのもの
7)刑事手続に関する文書の送達
8)犯罪の収益又は道具の没収等に関連する手続についての共助
9)犯罪記録の提供
(1)この条約の締結により、日中双方がより充実した内容の刑事共助を実施することができ、また、その確実性を高めることができる。
(2)この条約の締結に伴い、両国で中央当局を設置し、中央当局間で直接連絡を行うことにより、事務処理の効率化・迅速化が期待できる。
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