条約

「東南アジアにおける友好協力条約を改正する第三議定書」について
(略称:TAC第三議定書)

平成24年6月

 東南アジア地域における平和、友好及び協力を促進するために、東南アジアにおける友好協力条約の締約国に専ら主権国家によって構成される地域機関を加えるための改正について定める。

1.背景

 昭和51年に東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国が締結した東南アジアにおける友好協力条約(TAC)(注)は、いわゆる「設立条約」を有さないASEAN加盟国にとって相互の友好関係に法的基礎を与える基本文書の一つと認識されており、ASEAN加盟国は、この条約を東南アジアにおいて友好協力関係を構築するためのコミットメントを象徴する文書として政治的に重視している。ASEANが東アジアにおける地域協力の中心的存在として、東南アジア以外へのアウトリーチ活動を活発化させるに伴い、TACへの域外国の加入手続が整備された(我が国は平成16年に締結)が、TAC加入の希望を有する欧州連合(EU)の加入を可能とするためには、新たな議定書が必要であったところ、平成22年7月23日にハノイにおいて開催されたASEAN関連外相会議において、TACの締約国に専ら主権国家によって構成される地域機関を加えるための改正について定めるTAC第三議定書が作成され、我が国については岡田外務大臣(当時)が署名を行った。

(注)東南アジアにおける友好協力条約(Treaty of Amity and Cooperation in Southeast Asia)は、多様な東南アジア地域の平和・安定の促進を目指し、経済、社会等各分野における一般的な協力の原則を定めるもの。現在までのところ、TAC締約国数は28。

2.議定書のポイント

 TACを以下のとおり改正する。

  1. (1)TACに加入できる主体に、専ら主権国家によって構成される地域機関を加える。
  2. (2)専ら主権国家によって構成される地域機関が一定の場合に理事会の構成員になることを可能とするため、理事会の構成員となるための条件を改める。

3.締結の意義

  1. (1)人権、法の支配等の普遍的価値を共有するEUが、TACへの加入を通じ、ASEANを含むTAC締約国との協力関係を深めることは、「開かれた地域主義」を原則として、普遍的価値の尊重及びグローバルなルールの遵守に立脚しつつ、地球規模の課題を含む個別分野での協力を促進するという我が国の東アジアにおける地域協力の基本的な政策方針と合致する。
  2. (2)第三議定書の発効は、我が国を含む第三議定書の全ての締約国による批准を要するところ、我が国による早期の批准は、我が国とASEANとの関係、EUとの関係強化にも資する。

4.締結状況等

平成24年6月8日効力発生。

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