条約

「領事関係に関する日本国と中華人民共和国との間の協定」について
(略称:日・中領事協定)

平成21年2月

 中国との間で、領事関係に関するウィーン条約の規定の確認・補足等を目的として、領事通報の全件義務化、領事機関の不可侵権の強化等の領事に関する事項について定める。

1.背景

(1)近年、日中間の人的往来の飛躍的な拡大に伴い、中国における邦人保護件数は急激に増加しており、邦人保護を初めとする領事業務を一層効果的、迅速に遂行する必要性が高まったことを受け、領事関係ウィーン条約の規定を確認し、補足すること等を目的とした国際約束の作成に向け、2003年4月から両国間で協議を重ねた結果、2008年3月に実質的な合意に達し、同年10月24日に北京において本協定の署名を行った。

(2)日中間の領事業務を一層円滑に遂行する観点から、本協定を早期に締結することが望ましい。

2.協定のポイント

(1)本協定は、日中両国が共に締約国である領事関係ウィーン条約の規定を確認、補足等するものであり、定義、領事任務の内容等については、領事関係ウィーン条約の規定を基本的にそのまま引用しているほか、本協定により規律されていない事項については、領事関係ウィーン条約により引き続き規律される。

(2)主たる内容

(イ)領事機関の公館及び領事官の住居の不可侵について、外交使節団の公館及び外交官の住居とそれぞれ同水準にまで不可侵の程度を強化している。

(ロ)派遣国の国民が拘禁された場合の接受国の当局から領事機関への通報を、当該国民の要請があるか否かにかかわらず、拘禁の日から4日以内に行う。

(ハ)接受国の地方当局は、領事機関に対し、公共の安全に係る情報を提供し、また、領事機関との間で緊急事態に備えて連絡経路を維持する。

(3)本協定は、香港特別行政区及びマカオ特別行政区にも適用される。

3.締結の意義

 本協定の締結は、日中両国間の領事任務の遂行のために有意義であり、ひいては日中両国間の友好関係及び協力の促進に資することが期待される。

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