条約

「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」について
(略称:強制失踪条約)

平成24年12月

 国の機関等による強制失踪を犯罪化するとともに、処罰のための国際協力、予防措置等について定める。

1.背景

 特に1970年代、軍事政権下の中南米諸国において、国家権力により身体の自由が不法にはく奪された上で、秘密裡に拘禁される例がみられた。このことに対する反省から、このような国家による不法な拘禁を禁止するとともに、このような行為を「強制失踪犯罪」としてそれを行った個人を処罰することにより再発を実効的に防止するための新たな国際文書を作成する必要性が強く認識されるようになった。

2.条約のポイント

 本条約は、国の機関等が、人の自由をはく奪する行為であって、失踪者の所在を隠蔽すること等を伴い、かつ、法の保護の外に置くことを「強制失踪」と定義するとともに、「強制失踪」の犯罪化及び処罰を確保するための法的枠組み等について定める。

3.締結の意義

(1)強制失踪が犯罪として処罰されるべきものであることが国際社会において確認されるとともに、将来にわたって同様の犯罪が繰り返されることを抑止する意義がある。

(2)また,本条約は拉致問題を含む強制失踪の問題への国際的な関心を高める上でも重要である。このような考えから,我が国は平成21年7月23日に批准書を国連事務総長へ寄託した。
 (なお,本条約が北朝鮮による個別の拉致問題の解決に資するかについては,本条約の遡及適用が認められないこと等から,限界がある。)

4.締結状況等

 本条約は平成22年12月23日に発効。2012年12月現在,署名国は91か国,締約国は37か国(アルゼンチン,アルバニア,アルメニア,イラク,ウルグアイ,エクアドル,オーストリア,オランダ,カザフスタン,ガボン,キューバ,コスタリカ,コロンビア,サモア,ザンビア,スペイン,セネガル,セルビア,チュニジア,チリ,ドイツ,ナイジェリア,パナマ,パラグアイ,フランス,ブラジル,ブルキナファソ,ペルー,ベルギー,ホンジュラス,ボスニア・ヘルツェゴビナ,ボリビア,マリ,メキシコ,モーリタニア,モンテネグロ,日本)である。

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