G7 / G8

中東
(仮訳)

サンクトペテルブルク、2006年7月16日

 本日、我々G8首脳は、中東情勢、特に全ての側の文民犠牲者の増加とインフラへの損害に対し、一層の懸念を表明する。我々は、平和を回復するための努力を追求するという決意において結束している。我々は、現在この地域にいる国連事務総長のミッションを全面的に支持する。

 この地域における問題の根本原因は、包括的な中東和平が存在していないことである。

 現下の危機は、地域を不安定化させ、パレスチナ、イスラエル及びレバノンの人々の民主主義と平和への希望をくじこうという、過激派勢力の企てに起因している。ガザにおいては、ハマスの一部がイスラエル領へのロケット攻撃を行い、イスラエル兵士一名を拉致した。レバノンにおいては、ヒズボッラーが、ブルーラインに違反して、レバノン領内からイスラエルを攻撃し、イスラエル兵士を殺害、捕捉した。これは、2005年のシリアによる撤退とともに始まった前向きな流れを逆行させ、民主的に選出されたファード・セニオラ首相の政府を弱体化させている。

 こうした過激分子及び彼らの支援者が、中東を混乱に陥れ、より広範な紛争を引き起こすことは許されない。過激派は、即座に攻撃を中止しなければならない。

 イスラエルが、自衛権を行使する一方で、自国の行動の戦略的及び人道的帰結を認識することもまた決定的に重要である。我々はイスラエルに対し、無辜の市民の犠牲者や民生施設への損害を回避し、またレバノン政府を不安定化させるような行動を差し控えるよう努め、最大限自制するよう求める。

 最も喫緊の優先課題は、持続可能で、より永続的な解決の基礎となる、暴力の停止のための条件を作り出すことである。このためには、我々の判断では、以下のことが必要である。

 これらの紛争を解決するための枠組は、すでに国際的なコンセンサスにより確立されている。

 レバノンにおいては、国連安保理決議1559及び1680が、この危機を引き起こした根底にある諸条件を取り上げている。我々は、国連安保理に対し、これらの決議の完全な実施のための計画を策定するよう求める。

 我々は、国連安保理決議1559の履行にあたり、レバノン政府が自国の全領域に主権を行使することについて全面的な支持を与える。これには全国、特に南部に対するレバノン軍の展開、及び民兵の武装解除が含まれる。我々は、国際治安/監視プレゼンスの可能性についての国連安保理による検討を歓迎するであろう。

 我々はまた、レバノン・イスラエル当局間の、双方の全ての関心事項に関する政治的対話の開始を支持する。更に、適切な時期にドナー会議を開催することを含め、我々はレバノン国民の経済的、人道的なニーズを支援する。

 ガザにおいては、イスラエルの撤退は、ロードマップの下での二国家解決策へ向けて更なる一歩を踏み出す機会を提供した。全てのパレスチナ側当事者は、イスラエルの存在を受け入れ、暴力を拒否し、ロードマップを含むこれまでの全ての合意と義務を受け入れるべきである。イスラエル側の方は、最終的な解決を害し得る一方的な行動を差し控え、誠実に交渉することに同意する必要がある。

 我々の目標は、現在の暴力の即時終了と、パレスチナ人同士、及びパレスチナとイスラエルとの間での、治安協力及び政治的な関与の再開である。このためには、以下のことが必要である。

 これらの提案は、関連の国連安保理決議に従い、中東に平穏を取り戻し、持続可能な平和に向けた進歩の基礎を提供しようとする、現在行われている国際的努力に対する我々の貢献である。「カルテット」は引き続き中心的役割を果たす。G8は、エジプト、サウジアラビア、ヨルダン及び他の責任ある地域主体による、地域を平和に戻すための前向きな努力を歓迎する。我々は、今週後半の、事務総長ミッションの安保理に対する報告に期待しており、この報告は我々の共通の目的を達成するための枠組を提供し得るものと信じる。

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