
感染症との闘い(仮訳〔骨子〕)
1.序文
- 感染症は、世界における主要な死亡原因であるのみならず、経済、社会の発展及びミレニアム開発目標の達成を阻害。
- 感染症対策には、保健情報へのアクセス、保健システム能力、保健関係者の育成、衛生・水の改善等の包括的なアプローチが必要。
- G8は、感染症のモニタリングの強化、科学的研究の強化、鳥インフルエンザへの効率的な対応、三大感染症対策の履行、予防・治療へのアクセス改善等の分野において具体的進展を遂げるべく決意。
2.感染症サーベイランス及びモニタリングの世界ネットワーク強化
- 即時の報告、検体の共有、データの交換を含む効果的な感染症モニタリングが地理的空白なしに実施されることが感染症対策・予防には不可欠。
- 改定・国際保健規則の鳥及び流行性インフルエンザ関連条項の即刻実施を支持。
- WHOの世界的伝染病発生警戒・対応ネットワーク(GOARN)を継続して支援。
- 国際的監視システム強化のため国際社会に対し、情報の即時開示・提供、監視能力強化等を要請。
- WHO、OIE(国際獣疫事務局)、FAO(国際連合食糧農業機関)が共に作業することによる世界早期警報システム等を通じた関係機関の協力の改善。
- 開発途上国との科学・臨床研究における協力促進、特に専門家、研究所間のパートナーシップを奨励。
3.高病原性鳥インフルエンザとの闘い及びヒトへの大流行への世界的準備体制の強化
- 高病原性鳥インフルエンザの世界的蔓延、新型インフルエンザ流行の可能性を踏まえ、社会・商業活動の継続性確保を含めた万全な対策・準備が重要。
- 獣疫対策を強化し、野生動物の管理向上、ウィルスの探知能力・研究の改善、良い農業慣行の啓蒙等の動物間の流行封じ込め計画を支援することが必要。
- 新型インフルエンザの発生に対し即時に対応することが必要。「迅速な対応及び封じ込めに関する取決め」の策定をWHOが加速するよう呼びかけ。
- 鳥インフルエンザの被害を受けている開発途上国における包括的支援が重要であり、2006年1月の北京会合でのコミットメントを、早期に実行するようドナー国に要請。
- 各種対策の調整が必要であり、国連、世銀、鳥及び新型インフルエンザに関する国際パートナーシップ(IPAPI)を継続して支持・奨励。
- G8は、WHO、FAO等の関連国連機関と連携した抑制戦略及び準備計画の更新、抗ウィルス薬の備蓄・生産能力の拡大、医薬品会社と協力しワクチンの生産能力向上・次世代ワクチンの開発促進に向けたオプションの検討、啓発活動の支援、早期の情報・検体の交換促進、国際的な監視能力の強化等を実施。
- 流行時の早期対応のため、各国間で準備、予防、対応、封じ込め活動の更なる調整を行うことを合意。
4.HIV/エイズ、結核、マラリア対策
- G8は、グレンイーグルズ・サミット及び国連エイズ総会政治宣言にて示された、2010年までの包括的予防プログラム、治療、ケア及びサポートへの普遍的なアクセスに向け対策を拡大するとの目標、HIV/エイズ関連MDG等の達成に向け引き続きコミット。
- G8は、HIV/エイズ対策において、社会的最弱者の予防・治療・ケアへのアクセス促進、貧困国における保健システム能力の育成、啓発活動の促進等の原則を遵守。
- 世界基金は重要な手段。G8は他のドナー国・関係者と協力して、世界基金の活動のために必要な資金を集める。
- 三大感染症による被害は特にアフリカにおいて甚大。G8はアフリカ諸国、アフリカ連合(AU)とのパートナーシップを再確認し、NEPADの目標が達成されるよう共に継続して努力。
- 2015年までに、結核による死亡者を1990年と比較して半減させることを目標とするストップ結核世界計画への支持を表明。
- マラリア対策においてG8は、マラリアの負担を2010年までに半減するとのアフリカ諸国の目標達成のため共に努力し、マラリア流行阻止のための活動を強化することを合意し、子供たちを救うためにロールバック・マラリア・パートナーシップの枠組での努力を歓迎。
- 三大感染症対策に関する定期的なレビューをコミットする。
5.ポリオ撲滅
- 国際社会の努力によりポリオは撲滅寸前であり、G8は関係者とともに資金不足を埋め、近い将来に撲滅宣言ができるよう努力を継続する。
6.麻疹、その他の予防可能な感染症
- 麻疹イニシアティブを継続して支援し、麻疹関連の子供の死亡を着実に減少させ、やがて麻疹を撲滅することを目指す。
- 肺炎、下痢、その他の「顧みられない疾病」対策に向け更に努力する。
7.予防・治療・ケアへのアクセス
- 必須薬輸入のためTRIPS協定等における柔軟性の活用可能性に留意。
- 保健システムの強化のための包括的支援の継続を合意。保健関係者を訓練し、展開し、確保することの重要性を継続して主張。
- 感染症対策の資金確保のため諸々の革新的資金メカニズムが進展していることを留意。
- 途上国における医療保険制度の拡充のための更なる議論を奨励し、OECD及び関連機関による本分野における活動を慫慂。
- 各国政府に対し、貧しい人々の医療費削減、効果的治療へのアクセス改善のため、医薬品等の関税・非関税障壁の撤廃を検討するよう奨励。
8.自然・人的災害の保健への影響
- OCHAを通じた国連による人道緊急支援調整の重要性を指摘、更なる効率化を要請。
- 特に途上国における災害への準備・保健システム能力向上のための行動を支持。
- 自然・人的災害による保健への被害の緩和のため、早期対応チームの効果的活用等を含む既存のネットワークを強化する。
付属
(各国の感染症分野における支援策について記述。)